PGAツアーでミニドライバーが再度注目されている
PGAツアーの「ロケットクラシック」でツアー初優勝を達成したマイケル・トルビョンセン。そして、すっかり世界トップランカーとして定着したトミー・フリートウッド。年齢もキャリアも異なるこの2人のバッグを覗くと、ティーショットのクラブに明確な共通点が存在する。

マイケル・トルビョンセン:名門スタンフォード大出身。2024年にPGAユニバーシティで年間1位となり、翌年のPGAツアー出場権を獲得。トータルドライビングのランキングは、2026年のPGAツアーにおいても12位と上位につける(写真/Getty Images)
それが、最新のメインドライバー「Qi4D LS」と「r7 クアッド ミニドライバー」を同時に投入している点だ。
「ドライバー&3番ウッド(以下3W)」の組み合わせで戦う選手が多いが、その一方でトルビョンセンやフリートウッドのように、ミニドライバーを忍ばせる選手が増えていることも事実。両者がなぜ3Wを外し、あえて「大小2本のドライバー」という組み合わせを選んでいるのだろうか。
フリートウッドが明かす「ミニドライバー」を選択する理由
3Wの代わりにミニドライバーをバッグへ入れる理由について、フリートウッドは確たる理由を持っている。彼はミニドライバーを投入した際、その狙いを次のように語っている。

ティーショットでもフェアウェイからでもミニドライバーを駆使するトミー・フリートウッド(写真/Getty Images)
「フェアウェイを絶対に外したくないホールで、私は3Wよりもドライバーでコントロールショットを打つ方が得意でした。ドライバーのフェースを開いてカット気味に打ったり、少し短く持ってコントロールしたりするやり方です。しかし本来、3Wはパー5の2打目などで270~280ヤードを飛ばすためのクラブであり、ティーショットでフェアウェイに運ぶための道具としては必ずしも最適ではありませんでした」
さらにフリートウッドは、ミニドライバーの役割をウェッジセッティングに例えてこう解説する。
「ミニドライバーは、普通のドライバーよりも少し飛距離が落ちるかわりに、何も考えずに振っても真っすぐ飛んでくれる。ウェッジと同じで、飛距離を打ち分けるためにコントロールショットを作るくらいなら、そのまま素直に振って狙った距離と弾道が出るクラブを最初から入れておくほうが再現性は高くなります。フェアウェイからも打てますし、十分な高さとスピンが得られるので非常に扱いやすいクラブです」
つまりフリートウッドにとって「r7 クアッド ミニドライバー」は、打ち方を細かく調整して打つ「器用なコントロールショット」を不要にし、フルスウィングするだけで正確に狙ったラインへ球を運べる“オートマチック化”できるギアなのだ。
初優勝したトルビョンセンの「二段構え」戦略
このフリートウッドのロジックは、初優勝を挙げた24歳のマイケル・トルビョンセンの戦術とも一致する。
トルビョンセンはボール初速が180マイル/時(約80.4m/s)を超える爆発的なパワーを持つ。メインドライバーである「Qi4D LS」(9度)は、第5世代のカーボンフェースによる高初速と低スピン性能を備えており、彼のハードなスウィングを受け止めて最大飛距離を生み出す一本だ。優勝した大会でもティーショットの貢献度(SG:Off the Tee)で全体4位を記録するなど大きく貢献した。
しかし、コース内にはフェアウェイが絞られているなど、より精度の高いティーショットが求められるホールが存在する。そこでトルビョンセンが頼りにしたのが「r7 クアッド ミニドライバー(13.5度)」だ。
彼はこのクラブを「確実に300ヤード前後の狙ったエリアへ運ぶセーフティクラブ」と位置づけている。ドライバー並みのエネルギー伝達力を持つヘッドでありながら、13.5度のロフト角とコンパクトなヘッド形状(305cc)により、過剰なサイドスピンを抑えて狙い通りに飛ばせる。メインドライバーでぶっ飛ばし、ミニドライバーで狭いホールを確実に攻略する二段構えが、4日間でボギーを最小限に抑え込む安定感につながった。
「Qi4D LS」と「r7 クアッド ミニドライバー」、組み合わせの妙
なぜ「Qi4D LS」と「r7 クアッド ミニドライバー」の組み合わせがプロの信頼を集めるのかを考察すると、大きく3つの理由が見えてくる。
第一に、「上下の打点ブレに対する寛容性」だ。一般的な3番ウッドはフェース高が低いシャローフェースであるため、ティーアップして打つ際に上下の打点ブレにシビアな面があり、打ち出し角やスピン量が安定しにくい。これに対し、「r7 クアッド ミニドライバー」は適度に厚みのあるフェースなので、ティーアップしても上下の打点ブレに寛容で、意図通りの打ち出し角と安定したスピン量を維持できる。

3Wに比べ、フェース高が高い「r7 クアッド ミニドライバー」(撮影/三木崇徳)
第二に、「Qi4D LSとの振り心地のフロー」である。メインドライバーに「Qi4D LS」を使用するプロは、左へのミスを嫌い、ロースピンで叩いていけるクラブを好む。3Wではつかまりすぎてしまったり、スピンが増えすぎたりする懸念があったが、「r7 クアッド ミニドライバー」は4つの可変ウェイトを搭載しており、フロントやトウ寄り重心に設定することで低スピンかつ左に行きにくい挙動を作ることができる。「Qi4D LS」と同じイメージで振っても、引っかかる心配を排除できる。

微細な調整が可能な「TASウェイト」。これにより「Qi4D LS」と「r7 クアッド ミニドライバー」に重心特性を揃えることも可能になった(撮影/三木崇徳)
第三に、「コースマネジメントの単純化」である。ドライバーを軽く振ったり、3Wを強く振ったりする曖昧さを排除し、「飛距離を出したいなら『Qi4D LS』」、「確実にフェアウェイへ置きに行くなら『r7 クアッド ミニドライバー』」という明確な役割分担ができる。精神的な迷いを消した状態でティーングエリアに立てることは、緊迫した優勝争いで大きな武器となる。
LPGAツアーのユ・ヘランも採用する組み合わせ
この「『Qi4D LS』 ×『r7 クアッド ミニドライバー』」というセッティングは、PGAツアーだけに留まらない。LPGAツアーで今季メジャー2勝を達成したユ・ヘランも、まったく同じ「Qi4D LS」と「r7 クアッド ミニドライバー」の組み合わせを実践している。

今季メジャー2勝と一気にブレイクしたユ・ヘランも「Qi4D LS」と「r7 クアッド ミニドライバー」を組み合わせて使用する(写真/Getty Images)
男子プロほどのヘッドスピードを持たない女子プロの世界においても、ティーショットの再現性とコース攻略の柔軟性を高めるために、この2本の組み合わせが威力を発揮している。パワーの差を超えて、ティーショットの新たな最適解のひとつとして機能している証拠と言えるだろう。
2本のドライバーがもたらす新しいセッティングの形
プロたちの選択は、我々アマチュアのギア選びにとっても非常に示唆に富む。14本の中で最も難易度が高いとされる3Wにこだわるのではなく、狭いホールやOBを避けたい場面で安心感のある「r7 クアッド ミニドライバー」を構え、2打目は高ロフトのQi4D FWやQi4Dレスキューに任せる。スウィングを無理に変えるのではなく、クラブの役割を明確に分けてミスを減らす思考法は、アマチュアのスコアメイクにもそのまま直結する戦略だ。
マイケル・トルビョンセンの初優勝と、トミー・フリートウッドの実績。その背景には、テーラーメイドのクラブが持つ最新テクノロジーを最大限に活かした「2本のドライバー」という戦略が存在していた。
最新の「Qi4D LS」で飛距離の限界を求め、「r7 クアッド ミニドライバー」でフェアウェイキープの精度を向上させる。コース攻略に妥協を許さない世界のトッププロたちが辿り着いたこの答えは、今後のギア選びにおける新たな潮流となるかもしれない。
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