予選カットなしのエリートフィールド
アメリカ・テネシー州メンフィスのTPCサウスウィンドで開催される「フェデックス・セントジュード選手権」は、PGAツアーの年間王者を決めるフェデックスカップ・プレーオフシリーズの第1戦になる。レギュラーシーズンのポイントランキング上位70名(今大会は負傷欠場等により69名)のみが出場できるエリートフィールドで、予選カットはなし。出場全選手が4日間プレーし、今大会終了後のポイントランキング上位50名が、次戦の「BMW選手権」へと駒を進める。前回大会はジャスティン・ローズがJ・J・スパーンとの3ホールに及ぶ激しいサドンデス・プレーオフの末、見事なバーディを奪って競り勝ち、ツアー通算12勝目を挙げた。
【動画】ローズvsスパーン、激闘のプレーオフを振り返る【PGAツアー公式X】
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x.com杉ちゃん注目はルーキーのスダルシャン・イェラマラジュ

インド生まれで国籍はカナダのスダルシャン・イェラマラジュ
今大会を語る上で、杉澤キャディが特に熱視線を送る選手がいるという。
「今回注目しているのは、ルーキーのスダルシャン・イェラマラジュですね。彼のスタッツを見ると、平均飛距離313.5ヤード(全体25位)という圧倒的なティーショットに加え、パッティングも大きな強みになっています。ストロークス・ゲインド:パッティングは全体54位で、特に面白いのが『5フィート(約1.5メートル)以内のパット成功率』が89.66%でツアー7位ということ。攻撃的な飛距離とグリーン上での勝負強さを武器に、極めて高いパフォーマンスを見せています。この強みを活かして、ザ・プレーヤーズ選手権で5位タイ、母国のRBCカナディアンオープンで8位に入るなど、ルーキーながら圧巻のプレーを披露してくれました」
飛距離とパッティングを武器に戦う一方、プレーオフでさらに上位へ勝ち残るためには、課題の克服が鍵になると杉澤キャディは分析する。
「175ヤード前後のアイアンショットには、他のトップ選手と比べるとまだ課題を残しています。グリーンを捉えきれず、そこから寄せきれない場面があることが、スコアを伸ばしきれない要因になっていますね。ただ、彼のコースマネジメントには明確な意図があります。無理にピンを狙って致命的な大ミスに繋げるのではなく、外してもいいサイドをあらかじめ選んでミスを逃がす。アイアンの精度に課題を抱えつつも、巧みなリスク回避で得意のスクランブリング(リカバリー)に繋げているのです。ルーキーイヤーでさまざまなコースを経験している段階ですが、リスクを抑える冷静なマネジメントができているのは見事です。1年目の今季にプレーオフまで勝ち進んでいること自体が素晴らしい功績ですが、ここからさらに経験を積むことで、成績をぐんぐん伸ばしていけるはずです」
コーチを持たず、YouTubeで技術を磨いた異色の経歴
そんなイェラマラジュを語る上で欠かせないのが、独自の環境でゴルフを学び、成長してきた異色の歩みだ。
「イェラマラジュの最大の特徴は、自ら試行錯誤を重ねながらゴルフを追求してきた点にあります。インドで生まれ、4歳の時にカナダへ移住。6歳でゴルフを始めると、YouTubeで欧州ツアーやタイガー・ウッズ、ローリー・マキロイらのプレー動画を穴が開くほど見て研究を重ねました。
11歳でオンタリオ州へ移ると、16歳でオンタリオ州アマチュア選手権を最年少で優勝。大学へは進学せず、PGAツアー・カナダ、コーン・フェリーツアーを経て2026年にPGAツアーへの昇格を果たしました。現在も専属のスウィングコーチを置かず、自ら映像を研究しながら技術を磨く独自のスタイルを貫いています」
年間王者を狙う日本の絶対的エース・松山英樹
自らの感性で挑むルーキー・イェラマラジュの挑戦に加え、今週のフェデックスセントジュード選手権では、年間王者を目指す松山英樹の戦いにも杉澤キャディは大きな期待を寄せる。
「事前予想のパワーランキングで2位に支持され、直近でも3戦連続トップ10入りと素晴らしい好調さを維持しており、年間王者を獲得する上でも極めて重要な一戦となります。メンフィス特有の猛暑と高い湿度に加え、根が強くボールを素直に出させてくれないバミューダ芝のラフなど、過酷なコンディションが選手たちを待ち受ける今大会。このプレーオフ初戦で松山選手がどのような戦いを見せてくれるのか、目が離せません」
独自のアプローチで初年度から躍進を遂げる新星イェラマラジュと、年間王者を狙う日本の絶対的エース・松山英樹。立場も歩みも異なる2人が、過酷なサバイバルの幕開けとなる初戦でどのようなドラマを見せてくれるのか注目だ。
U-NEXT/窪山京真
写真/Getty Images
