オレゴン州で開催されている「スタンダード ポートランドクラシック」の第3ラウンドが終了。勝みなみと原英莉花が、ともに首位と4打差の通算12アンダーの5位タイという好位置で最終日を迎える。逆転優勝を射程圏内に捉えた2人だが、そのスコアカードの「12アンダー」という数字の中身を公式スタッツで解き明かすと、両者のプレースタイルとバーディの獲り方が、見事なまでに対照的であることが浮かび上がってくる。

「剛」の原英莉花。飛距離とパーオン率でねじ伏せるゴルフ

原英莉花のゴルフは、データから見ても極めて攻撃的かつ堅実だ。

彼女の最大の武器であるドライバーショットは、今大会3日間を通して平均飛距離265.8ヤードを記録している。しかし、ただ飛ばすだけではない。フェアウェイキープ率も78.6%(33/42)という高い安定感を誇り、ティーショットからしっかりとゲームを組み立てている。

そして、そのアドバンテージを活かしたグリーンを狙うショットの精度こそが、彼女のスコアの源泉だ。パーオン率(GIR)は、驚異の74.1%(40/54)をマークしている。

一方で、3日間の総パット数は「84」(1ラウンド平均28パット)となっている。決してパターが入りまくっているわけではなく、高いショット力でグリーンを正確に捉え、確実にチャンスを量産し続けることでスコアを伸ばしている。まさに「ショットの力でねじ伏せる」剛のゴルフを展開している。

ショットメーカーの原は、2日目の上がり3ホールで劇的な3連続バーディを奪って急浮上。LPGA公式サイトでもその勝負強さが大々的に特集されるなど、現地の注目度は今大会の日本勢のなかでもピカイチだ。

「柔」の勝みなみ。驚異の「76パット」が生む決定力

対して、勝みなみのスタッツは原と全く異なる傾向を示している。前半は3番、4番、9番でバーディを奪い、後半も11番、12番を連続バーディとし、5バーディ・ノーボギーの「67」で3日目を終えた。

ドライビングディスタンスは平均257.7ヤード、パーオン率は64.8%(35/54)と、ショット関連のスタッツだけで見れば原には及ばない。しかし、彼女をリーダーボードの上位に押し上げているのは、グリーン上での「魔法のような決定力」だ。

勝の3日間の総パット数は、なんとわずか「76パット」である。これは1ラウンド平均に換算すると約25.3パットという驚異的な数字だ。さらに、パーオン時の平均パット数も「1.63」にまとめており、一度グリーンに乗せれば確実にバーディを奪い、仮にグリーンを外したとしても、アプローチと卓越したパッティングで確実にパーを拾って凌いでいることが数字から読み取れる。

ショットのブレをグリーン上の技術で完全にカバーし、限られたチャンスを確実にものにする。これが勝みなみの「柔」のゴルフの真髄である。

最終日の逆転シナリオと観戦の視点

画像: いわゆる黄金世代の2人。首位と4打差だが、彼女たちのポテンシャルなら逆転は十分に可能だろう(写真はともに2025年)

いわゆる黄金世代の2人。首位と4打差だが、彼女たちのポテンシャルなら逆転は十分に可能だろう(写真はともに2025年)

同じ「通算12アンダー・5位タイ」という結果でありながら、データが示すその到達プロセスは対照的だ。

最終日、首位との4打差を逆転するためには何が必要か。原英莉花にとっては、現在の高いショット精度(パーオン率)を維持したまま、グリーン上でのパッティングが噛み合えば、爆発的なスコアラッシュを生み出すポテンシャルを秘めている。一方の勝みなみは、この驚異的なパット力を武器にしながら、ショットの精度が少しでも上向けば、誰にも手がつけられない存在になるだろう。

「ショットで圧倒する原」か、「パットで仕留める勝」か。米女子ツアーでの初優勝をこの大会で成し遂げられるか、注目したい。

写真/大澤進二


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