オレゴン州のコロンビア・エッジウォーターCCで開催された「スタンダード ポートランドクラシック」。最終日を首位と2打差で迎えたジーノ・ティティクルは、8バーディ・ノーボギーの猛チャージで「64」を叩き出し、通算22アンダーで見事に逆転優勝を飾った。これが彼女にとって今季3勝目であり、LPGAツアー通算10勝目という記念すべき節目となった。現在世界ランキング2位、23歳にして二桁勝利に到達した若き天才。しかし、試合後の優勝会見で彼女の口からこぼれ出たのは、華やかな実績とは裏腹な、トッププロとしての切実で人間らしい「苦悩」だった。

「ビンタされても愛している」

若くしてツアーを席巻し、常にリーダーボードの上位に名を連ねるティティクル。しかし、彼女の心の中が常に自信に満ち溢れているわけではない。10勝目の意味について問われた彼女は、ゴルフというスポーツの残酷さを独特の表現で語った。

「ゴルフは本当に愛憎入り混じる関係です。勝ったときは『なんて素晴らしいテストなんだろう』と思う。でも、『私のゲームに何が起きているの?』『自分の思い通りにするにはどうすればいいの?』と自分自身を疑う時もあるんです」

事実、今大会中も彼女は自身のパッティングに疑念を抱いていたという。

「シーズン中盤からパッティングに疑問を感じていて、練習ラウンドでも毎回のようにキャディにストロークをチェックしてもらっていました」

周囲からは完璧に見えるトッププロでさえ、見えない不安と戦っている。それでも彼女は、力強い笑顔でこう言い切った。

「この勝利は、私が注いできた努力、犠牲、流した涙や悲しみに報いるもの。でも結局のところ、私はゴルフを愛しています。たとえゴルフにビンタされたとしても」

重圧に打ち勝つ「ルーティン」の力

最終日のバックナイン。同じタイ出身のチャネッティー・ワナサヤンやアルピチャヤ・ユボルとの熾烈な優勝争いの中で、ティティクルはどのように精神を保ち、サンデーバックナインを制したのか。その鍵は「未来」ではなく「現在」に意識を置くことにあった。

「優勝争いをしている時、結果や未来のこと、『もしこうなったら』ということばかり考えすぎてしまうことがある。そうすると、いつものルーティンができなくなってしまうの」

極限のプレッシャー下で自分を見失わないための唯一の手段。それが、自分自身のゲームを表現する「ルーティン」に固執することだ。

「自分がずっと続けてきたルーティンは、常に自分のショット、自分のゲームを表現するもの。だから、高いレベルでルーティンを守り、今この瞬間に集中しようと努めたわ」

勝敗という未来の不確実性から意識を切り離し、今目の前にある1打のプロセス(ルーティン)に没頭する。これこそが、彼女が23歳にして10勝を積み上げてきたメンタルコントロールの真髄である。

内なるネガティブとの戦い

画像: LPGAツアー通算10勝目を飾ったジーノ・ティティクル

LPGAツアー通算10勝目を飾ったジーノ・ティティクル

「今日はトーナメントに勝っただけじゃなく、自分の中のネガティブな一面にも勝てたと思う」

会見の終盤、彼女はそう語って安堵の表情を見せた。どれほど才能に恵まれていようとも、ゴルフというスポーツは常に選手を試し、時には容赦なく平手打ちを食らわせる。その絶望的な難しさを愛し、己の弱さと向き合い続けるティティクルの強さは、我々アマチュアゴルファーにも多くの学びを与えてくれる。

写真/LPGA, Getty


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