「ビンタされても愛している」
若くしてツアーを席巻し、常にリーダーボードの上位に名を連ねるティティクル。しかし、彼女の心の中が常に自信に満ち溢れているわけではない。10勝目の意味について問われた彼女は、ゴルフというスポーツの残酷さを独特の表現で語った。
「ゴルフは本当に愛憎入り混じる関係です。勝ったときは『なんて素晴らしいテストなんだろう』と思う。でも、『私のゲームに何が起きているの?』『自分の思い通りにするにはどうすればいいの?』と自分自身を疑う時もあるんです」
事実、今大会中も彼女は自身のパッティングに疑念を抱いていたという。
「シーズン中盤からパッティングに疑問を感じていて、練習ラウンドでも毎回のようにキャディにストロークをチェックしてもらっていました」
周囲からは完璧に見えるトッププロでさえ、見えない不安と戦っている。それでも彼女は、力強い笑顔でこう言い切った。
「この勝利は、私が注いできた努力、犠牲、流した涙や悲しみに報いるもの。でも結局のところ、私はゴルフを愛しています。たとえゴルフにビンタされたとしても」
重圧に打ち勝つ「ルーティン」の力
最終日のバックナイン。同じタイ出身のチャネッティー・ワナサヤンやアルピチャヤ・ユボルとの熾烈な優勝争いの中で、ティティクルはどのように精神を保ち、サンデーバックナインを制したのか。その鍵は「未来」ではなく「現在」に意識を置くことにあった。
「優勝争いをしている時、結果や未来のこと、『もしこうなったら』ということばかり考えすぎてしまうことがある。そうすると、いつものルーティンができなくなってしまうの」
極限のプレッシャー下で自分を見失わないための唯一の手段。それが、自分自身のゲームを表現する「ルーティン」に固執することだ。
「自分がずっと続けてきたルーティンは、常に自分のショット、自分のゲームを表現するもの。だから、高いレベルでルーティンを守り、今この瞬間に集中しようと努めたわ」
勝敗という未来の不確実性から意識を切り離し、今目の前にある1打のプロセス(ルーティン)に没頭する。これこそが、彼女が23歳にして10勝を積み上げてきたメンタルコントロールの真髄である。
内なるネガティブとの戦い

LPGAツアー通算10勝目を飾ったジーノ・ティティクル
「今日はトーナメントに勝っただけじゃなく、自分の中のネガティブな一面にも勝てたと思う」
会見の終盤、彼女はそう語って安堵の表情を見せた。どれほど才能に恵まれていようとも、ゴルフというスポーツは常に選手を試し、時には容赦なく平手打ちを食らわせる。その絶望的な難しさを愛し、己の弱さと向き合い続けるティティクルの強さは、我々アマチュアゴルファーにも多くの学びを与えてくれる。
写真/LPGA, Getty
