ウェッジの精度と冷静なトラブル回避
長﨑のこの日のプレーは、精度の高いアイアンとウェッジショットに支えられていた。
前半(インコース)の13番(パー4)では、残り95ヤードから50度のウェッジで約3〜4メートルにつけると、この下りパットを見事に沈めてバーディ。16番(パー3)は7番アイアンで約9メートルにつけ、上りのダブルブレイクラインを読み切った。17番(パー4)でも残り100〜110ヤードを50度のウェッジで2メートル以内に寄せるなど、ショートアイアンの距離感が冴え渡った。
また、トラブルへの冷静な対応も光った。前半の18番(パー4)では、ティーショットが木に当たり約50ヤードしか飛ばないトラブルに見舞われたが、焦ることなくレイアップを選択。残り約140ヤードの第3打を4〜5メートルにつけてパーセーブし、ピンチをしのいだ。後半の8番(パー5)では2オンを狙ったショットが左のバンカーにつかまるが、そこから60度のウェッジで約1メートルに寄せてバーディを奪い取った。
本人は「取れるホールと守るホールを明確に分け、まずはパーを確実に取ることにフォーカスした」と、そのマネジメントの成功を振り返る。
スウィングプレーンの安定と、数値に基づくゴルフへの転換
この好成績の裏には、今年2〜3月からナショナルチームのコーチと共に取り組んできたスウィング改造がある。
以前はドローヒッターでありながらフェードのようなスウィング軌道になりがちで、ボールコントロールに悩んでいたという。しかし、スウィングの方向(スウィングプレーンとスウィングパス)の安定性を高めることに注力した結果、「粗かった技術が洗練され、ボールの軌道をコントロールできるようになった」と手応えを口にする。
また、長﨑のゴルフに対するアプローチ自体も変化している。
2歳からゴルフを始め、小学3〜4年生では身体の可動域を広げるために水泳にも取り組んできたが、以前は「感覚」に頼る部分が大きかったという。しかし現在は、TrackManやGCクワッドなどのツールを活用し、「物理的かつ数値的に」ゴルフに取り組んでいる。
「スウィング軌道を0(ニュートラル)に保つ基準を持ち、そこからドローやフェードを打ち分けることが強みになる」と、その理論的な思考を覗かせた。
チームメイトからの刺激と、見据える大きな夢

夢は「マスターズの優勝」と語る長﨑大星
同年代の仲間や、少し上の世代の活躍も彼にとって大きなモチベーションとなっている。
「考えて練習することによって技術の質が大きく変わる。その絶え間ない上達こそがゴルフの最大の魅力」
本大志や佐藤快斗といったナショナルチームの仲間たちの存在も大きい。同じ試合に出場し、合宿を共にし、ゴルフについて深くディスカッションできる彼らとの競争環境が、向上心を刺激し、お互いのレベルを引き上げていると語る。
今年の最大の目標は「海外メジャーの予選出場権を獲得すること」、そして「レギュラーツアーでの優勝争い」だという。そして、その先にある最終的な夢は「マスターズ・トーナメントでの優勝」だ。
丸山茂樹の息子・ショーン以来となる「ジュニアプレジデンツカップ」のメンバーにも選出され、名実ともに次世代の旗手として期待を集める長﨑。自らのスウィングを数値で紐解き、確かな技術として落とし込み始めた「ビッグスター」の初日7アンダーは、その果てしないポテンシャルの片鱗に過ぎないのかもしれない。(文/山口哲平)
