マキロイの厳しい視点とビジネス論

「彼らがLIVに価値をもたらしたのか?」と話すローリー・マキロイ(写真は26年全英オープン)
これまでPGAツアーの顔として、LIVゴルフの存在意義に最も厳しい視線を向けてきたローリー・マキロイ。彼のスタンスは今も変わっていない。LIVの選手がツアーに戻ることについて問われたマキロイは、「彼らがLIVに価値をもたらしたと言えるだろうか? PGAツアーは今、非常に良い状態にある」と切り捨てた。
さらに、今年ブルックス・ケプカがPGAツアーへの実質的な復帰プログラムを選択した際も、決して甘いものではなかった。多額のペナルティを支払わされ、完全なシード権(フルステータス)すら保証されない「非常に険しい道」を強いられた前例がある。それを踏まえ、他の選手への適用を問われたマキロイは「彼らが戻ってくるのは、極めて厳しい道のりになる。すぐに歓迎されることはない」と安易な復帰を牽制した。
一方で、マキロイの目はPGAツアーの強大なビジネスの未来にも向けられている。「PGAツアーには15億ドル(約2250億円)という莫大な資金がある。これをどう使うべきか?」と問われた彼は、冷徹な経営者としての顔を覗かせた。
「ただ選手への分配金やボーナスに充てるだけでは、PGAツアーという企業の価値は1ドルも増えない。例えば、かつてツアーが所有していた『GolfNow』のような予約サイトを再買収して一般ゴルファー(レクリエーション部門)を囲い込んだり、自身がパートナーを務めるファンドが買収した『Full Swing(弾道測定器)』のようなテクノロジーを公式エコシステムに組み込んだりして、ビジネス全体をスケールさせるべきなんだ」
単なる選手への還元ではなく、PGAツアーを巨大なエンターテインメント企業として成長させることこそが、究極の対抗策であるという彼の強い信念がうかがえる。
シェフラーとスコットの「実利と公平性」

「世界最高の選手たちと戦いたい」と話すスコッティ・シェフラー(写真は26年全英オープン)
マキロイが厳しい姿勢を崩さない一方で、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーは、より実利的な視点からこの問題を捉えている。
「LIVには本当に素晴らしい選手が何人かいる。僕らのツアーの層の厚さは比類ないものだが、彼らの上位陣がツアーにもたらす価値は間違いなくある」と、シェフラーは素直に認める。
「僕は世界最高の選手たちと戦いたい。だから彼らが戻ってきて、もっと頻繁に競い合える機会を楽しみにしている」
しかし、彼は無条件での復帰を許しているわけではない。
「もちろん、何らかのペナルティは必要だ。ただし、一ゴルファーである僕たちがそのルールを決めるべきではない。NFL(プロフットボール)を大成功に導き、PGAツアー・エンタープライズの経営陣として招聘されたブライアン・ロラップのような『ビジネスのプロ』やツアー指導部に任せるべきだ」

選手理事を務めるアダム・スコットもLIVからの復帰に言及(写真は26年全英オープン)
また、選手理事も務めるベテランのアダム・スコットは、より俯瞰的でバランスの取れた大人の見解を示した。
「PGAツアーは自身のメンバーを保護する必要があるが、同時に(復帰への)パスウェイも必要だ。それが公平なものでなければならない」
スコットは具体的な現実解として、昨年までLIVに所属していたパトリック・リードの動きを挙げる。LIV関連イベントに出場した日から1年間、PGAツアーに出場できないという規定のペナルティがあるリードはPGAツアーの提携先であるDPワールドツアーに出場し、地道にポイントを稼いで世界ランクや来年のPGAツアー出場権を獲得しようとしている。感情論で排除するのではなく、規則に則って実力で這い上がらせる「現在進行形で機能しているシステム」を示した上で、公平な再統合の道筋を説いたのだ。
交錯する思惑とPGAツアーの未来
LIV選手の復帰に対して、厳格な姿勢とビジネス改革を訴えるマキロイ、最高の競争とプロ経営陣への全幅の信頼を寄せるシェフラー、そして組織としての公平なシステムを重視するスコット。
ゴルフファンが最も見たいと願う「世界最高の選手たちが集う舞台」は、今後どのような形で実現するのか。ビジネスとしての成長戦略も含め、PGAツアーが向かうべき未来の形は、トップ選手たちによる白熱した議論の果てに少しずつ見えてくるはずだ。
写真/R&A提供

