男子プロのスペックはパワーが違いすぎて参考になりにくいが、ヘッドスピード38〜43m/s前後の女子プロのセッティングは、我々アマチュアゴルファーにとってまさに「飛びと安定感の宝の山」。そこで本連載では、いまツアーで活躍する女子プロのドライバースペック(ヘッド、シャフト、グリップ)を完全再現! 試打するのは、世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた“キング・オブ・試打”こと堀越良和プロ。なぜ女子プロはこの組み合わせを選んだのか? アマチュアも参考になるのか? 女子プロが使用するギア選びを探ってみた。
画像: 「QUANTUM ♦♦♦MAX&スピーダーNX ゴールド」を使用する河本結※8月24日現在(撮影/姉﨑正)

「QUANTUM ♦♦♦MAX&スピーダーNX ゴールド」を使用する河本結※8月24日現在(撮影/姉﨑正)

今回取り上げるのは、華やかなルックスと情熱溢れるプレーでファンを魅了し、ツアーでも屈指のショット力を誇る河本結プロ。彼女の持ち味といえば、狙ったラインへ力強く打ち出される美しいフェードボールだ。今季も【フェアウェイキープ率:63.43%(71位)/ドライビングディスタンス:239.46Y(45位)】と、安定した飛距離と高いショット精度を見せている。

今回再現した彼女のドライバーは、ヘッドが『QUANTUM ♦♦♦MAX(9度)』、シャフトには素直なしなり戻りと高い操作性を誇るフジクラの『SPEEDER NX GOLD 50』(S)という組み合わせ。さらにグリップには、本人の繊細なフィーリングを支える「ツアーウェーブ ホワイト(バックライン有)」を装着した1本を準備した。

試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

画像: トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用

トータルディスタンスを底上げする組み合わせ

画像: (画像:『QUANTUM ♦♦♦MAX』、シャフトは『SPEEDER NX GOLD50 (S)』、グリップは「ツアーウェーブ ホワイト(バックライン有)」 ※プロはクラブを変える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打)

(画像:『QUANTUM ♦♦♦MAX』、シャフトは『SPEEDER NX GOLD50 (S)』、グリップは「ツアーウェーブ ホワイト(バックライン有)」 ※プロはクラブを変える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打)

ヘッドは『QUANTUM ♦♦♦MAX』、そこに手元から中間、先端への素直なしなり戻りと走りを備えた『SPEEDER NX GOLD』の組み合わせ。持ち球がフェードである彼女がこの組み合わせを選んだ理由を、堀越プロと編集部で探ってみよう。

試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属

編集部:河本プロといえば切れ味鋭いフェードボールが印象的ですが、彼女のセッティングを見ると『QUANTUM ♦♦♦MAX』に『SPEEDER NX GOLD』、そしてバックライン有のグリップというこだわりが見られます。これにはどのような相性の良さがあるんでしょうか?

画像: 「綺麗なオンプレーンスウィングで、効率良くボールを運べている印象がありますね」と堀越プロ(撮影/姉﨑正)

「綺麗なオンプレーンスウィングで、効率良くボールを運べている印象がありますね」と堀越プロ(撮影/姉﨑正)

堀越プロ:フェードヒッターが一番避けたいのは『叩きにいっての左への巻き込み』と『スピンが増えすぎたことによる飛距離ロス』です。その点、『♦♦♦(トリプルダイヤモンド)』特有の低スピン性能に寛容性がプラスされている『QUANTUM ♦♦♦MAX』は、スピン過多になる心配が少なく、左に引っかけない安心感があります。そこに、素直なしなり戻りで球を程よく拾ってキャリーを伸ばしてくれる『SPEEDER NX GOLD』を合わせることで、フェードでも飛距離を損なわない高初速・適正スピンを作っているんですよね。

編集部:確かにフェードボールと低スピンヘッドの相性は良さそうです。 グリップに『バックライン有』を選んでいる点にも大きな意味があるんでしょうか?

堀越プロ: バックラインがあることで、握ったときに毎回同じ位置でフェース面を意識して振ることができます。現時点で河本プロ含め4本のクラブを試打していますが、バックライン有を選ぶプロは3人と、かなり高確率で入れていることがわかります。バックラインの有無はプロ個人によりますが、ウェッジなどの自由度を高くしたいクラブは無しにするプレーヤーも多く、また長距離を狙うクラブに入れるとメリットを感じることが多いような気がしますね。

「左を消しつつキャリーを稼げる絶妙なバランス」(堀越プロ)

編集部:実際に構えてみた印象はどうですか?

堀越プロ:トリプルダイヤモンドらしいキュッと引き締まったシャープな顔つきで、目標に対してストレートに構えやすいですね。ただ、従来のトリプルダイヤのようなシビアすぎる印象は無く、ある程度の安心感は残しているように感じます。気持ちフェースアングルが逃げている(開いている)気がするのも、フェードヒッターが安心して左へ振り抜ける要素ですね。

編集部:シャフトとグリップのフィーリングはいかがですか?

堀越プロ:『SPEEDER NX GOLD』は手元のしなり感がすごく滑らかで、インパクトにかけてしなり戻りながらヘッドをスピーディに加速させてくれますね。低スピンヘッドにありがちな『球が上がりにくそう』というプレッシャーを、このゴールドの走りが打ち消してくれる安心感があります。そしてバックライン有の『ツアーウェーブ ホワイト』を握ると、指に引っかかるラインのおかげで、フェース面の管理もしやすくなっています。グリップも硬すぎず柔らかすぎずの絶妙な握り心地で、無駄な力みが取れるような気がしますね。

実際に試打を開始!

堀越プロ:強い弾道で飛んでいきますね! キャリーで221.5ヤード、トータルは248.2ヤードまで伸びています。トリプルダイヤ系は低スピンのイメージが強く、おまけにロフト9度と一般的にはややハードな印象を受けました。ただ、シャフトの適度なしなり戻りや寛容性のおかげで球が浮きやすく、安定したキャリーを再現性高く打つことができました。

編集部:フェードでありながらキャリー220ヤードオーバー、この飛距離性能の秘密はどこにあるんでしょうか?

堀越プロ:『♦♦♦MAX』の持つ強烈な低スピン性能と高い直進性に、球を持ち上げて初速を出してくれる『SPEEDER NX GOLD』の走りが見事に噛み合っているんです。ヘッドで過剰なスピンを抑えつつ、シャフトで高初速と適正な打ち出し角を作っているので高打ち出し低~中スピンでコントロール性と飛距離を両立しているようなクラブです。河本プロがこのセッティングで飛距離と高いフェアウェイキープ率を両立している理由が、打ってみて少しわかった気がします。

一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出

●キャリー/221.5Y
●総飛距離/248.2Y
●ボール初速/61.8m/s
●打ち出し角/13.5度
●スピン量/2320rpm

堀越プロの総評

画像: 堀越プロの総評

今回の河本結プロのクラブは、『フェードヒッターが安心して飛ばせる』極めて完成度の高いセッティングでした。

一般的にフェードボールはバックスピンが増えやすい傾向があり、飛距離が出ずに悩むアマチュアが多いです。しかし彼女のセッティングは、低スピンで叩ける『QUANTUM ♦♦♦MAX』で適度にスピンを落としつつ、クセの無い挙動の『SPEEDER NX GOLD』でボール初速と打ち出しの高さを補うという素晴らしい組み合わせです。キャリー221ヤード、トータル248ヤードを安定して叩き出せるのは、スピン量と初速のバランスが良いからだと思います。

また、本人がこだわるバックライン有のグリップも大きなポイントですね。バックラインがガイドになることで、スクエアにインパクトできる再現性を生み出しています。

「オフセンターヒット時にバックスピンが増えやすい傾向があり、トータルディスタンスが出ない」などといった悩みを抱えるアマチュアゴルファーにとって、この『低スピンヘッド×適度にボールを拾って走るシャフト』という組み合わせは最高の組み合わせになります。

このセッティングをアマチュアが参考にする場合、ウェイト調整でバランスを軽めにしたり、ロフトを寝かせてみたりすることでさらにラクに球を浮かせることができると思います。またシャフトのフレックスを落とす、シャフトを気持ち長めに組んでみることでより上げやすくなってくると思います。初速性能が高く、また低スピン性能のヘッドと素直なしなりと走り感で打ち出しを上げるシャフトの組み合わせで、河本プロのようなフェードを体感して欲しいですね。

次回の女子プロドライバーもお楽しみに!

協力/トラックマン、キャロウェイ、フジクラ、クレアゴルフフィールド


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