プロ入り23年目を迎えた上原彩子。40代を迎えた今もなお、ゴルフという“冒険”の真っ只中にいて、今季は欧州女子ツアー(LET)に挑戦している。彼女が好きな沖縄の言葉に「ゆいまーる(助け合い)」があるように、上原はこれまで多くの人と人を結んできた。そして、彼女を通じて私たちの世界も広がっていく――。沖縄発、世界へ。“彩子の冒険”の日々を紹介していく連載、今回はジュニア時代とこれからの環境ついて聞いた。

こんにちは、上原彩子です。私は今、スイスにいます。今週はLET(欧州女子ツアー)がお休みで、先週の試合会場があるスイスにそのまま留まり、試合のコースで練習をして過ごしています。

先々週の「PIFロンドンチャンピオンシップ」(センチュリオンクラブ)では残念ながら予選を通ることができなかったのですが、先週の「VPバンク・スイスレディスオープン」(ミクロスゴルフパークホルツハウゼン)では、通算5アンダーで27位タイに入ることができました。

スイスでは、ショットはもう少し改善するところはあるんですけど、これまで全然入っていなかったパッティングが久しぶりに入ってくれて。5~6メートルが入ったんですよ。もちろん、この試合も2日目はダメでしたし、まだ安定しているわけではないので、引き続きもっと調整しながらいいストロークになるようにやっていければと思っています。やはりパッティングが入ると流れを作れるので、そういう意味でも大事です。ヨーロッパは特にグリーンの芝などがコースで全然違いますが、自分のパッティングの根本が整えば、どんなグリーンでも入ります。やっと見えてきた“兆し”をここから上手くつなげていけるようにしたいですね。

さて、スイスでは、試合の週は昨年と同じルツェルンのご家族のところにお世話になりましたが、2週間ずっといるのも何ですので、今週は別のご家族の家にお世話になっています。日本の方がアレンジしてくださって、知り合いの知り合いです。

画像: 海外のプロアマは、プロの個人戦は基本的にないが、スイスでは珍しくあった。「その個人戦は5アンダーでトップタイ。賞金をいただきました!」

海外のプロアマは、プロの個人戦は基本的にないが、スイスでは珍しくあった。「その個人戦は5アンダーでトップタイ。賞金をいただきました!」

今週もエビアンのような感じで大きな湖があるツークという街です。おうちからは湖が見え、少し下に降りていったら可愛い町並みが続いていて、「ヨーロッパだなあ」と思います。

試合をしたコース(今回練習しているコース)はパブリックなので、ものすごくたくさんの人が来ます。18ホールと9ホールが2つあり、名前にも「パーク」と付くように、まさに皆、公園に遊びに来ている感覚なんでしょうね。気軽に来てラウンドすることはもちろん、練習をしたり、レッスンだけを受けたり。あまりに人が多いので、何か試合でもあるのかと思ったら、これが普通だそうです。週末はもっと多くなるとか。

先週の宿泊先の近くには、湖の隣に公園がありましたが、そこ自体がジムクラブみたいになっていて、多くの人たちが集い、それぞれワークアウトしていました。鉄棒、サッカー、バレーボール、スケボーをしたり、木に布をぶらさげてエアリアルヨガをしたり。湖で泳ぐ人もいるし、バーベキューをしている家族・仲間も。皆、本当に自由だし、体を動かすことが好きなんだなあと思います。アクティブです。私たちは特に何もしていなくて、「すごい、パワーがあるなあ」と感心しているだけです(笑)。

画像: 公園で皆アクティブに楽しんでいる。スポーツも水泳もBBQも!「暑いから湖で泳ぐ人も多くて。そんななか、私たちはのんびりしていました(笑)」

公園で皆アクティブに楽しんでいる。スポーツも水泳もBBQも!「暑いから湖で泳ぐ人も多くて。そんななか、私たちはのんびりしていました(笑)」

今週お世話になっている方々もアクティブです。お父さんはリタイアしていますが、かなり強いアマチュアテニス選手らしく、先週の試合で負けてしまった原因がスピードにあると分析し、朝からそのためのトレーニングに行っていました。アマだけどプロみたいだな!と思いました。今日はゴルフにも行っていましたね。家から20分くらいと近いですし、昨日はレッスンだけにも行ったそうですよ。

それにしてもヨーロッパ全体が熱波の被害で大変ですけど、スイスも本当に暑いです。今週はまだましですが、先週は39度くらいあったかな。2カ月間雨が降っていなかったらしくて、試合が終わってやっと雨が降って皆大喜び。山火事のニュースも多くて、政府が警告を出していたので、この久しぶりの雨は大きな恵みです。日本はまた、地震、台風、水害と、いろいろ大変なニュースばかり。心が痛みます。

画像: スイスで一緒に回ったアマチュアの方々と。「チーム戦もよいかと期待していましたが、3位以内に入れませんでした。残念」

スイスで一緒に回ったアマチュアの方々と。「チーム戦もよいかと期待していましたが、3位以内に入れませんでした。残念」

ジュニアの上達はいいコーチに出会うこと

さて、日本は夏休みの時期。ジュニアの大会もたくさん開かれていると思います。今回は少し私のジュニア時代の話をしますね。

昔の話すぎるのですが、私は日本ジュニアで一度優勝したことがあるんですよ。その年は4部門(高校男女、中学男女)中、3部門で沖縄出身の選手が優勝しました。高校男子が宮里優作選手、中学男子が渡嘉敷幸太くん、そして中学女子が私です。

会場は霞ヶ関CCでしたが、緊張したかどうかも覚えてないですね。暑かった記憶も全然ありませんが、きっと今みたいな変な暑さではなかったでのしょうね。

ジュニアの上達に大事なことはいいコーチに出会うことだと思います。いつ誰に出会うかで、ゴルフ人生を左右するんじゃないかな。しっかりしたコーチに付くことができると、上手くなる近道にはなる。私たちの時代、コーチはお父さんという選手のほうが多かったかもしれません。

また、私自身がジュニア時代にやってよかったことは、トレーニングです。今は当たり前ですけど、昔はトレーニングするという人はほとんどいなかったですね。私は姉がトライアスロンもやっていて、ウォーミングアップ、基本的な体のつくり方やメンテナンスなどの大切さをずっと言われてきましたし、実際にやっていました。それが今も長く現役で頑張れている要因の1つにはなっていると思います。

筋トレをしたわけではないですけど、一緒にトライアスロンのメニュー、走ることはもちろん自転車、水泳をやっていました。これはどの競技にもつながるもの。ゴルフはどちらかというと片方の動きしかしないから、体のバランスが崩れてしまう部分があると思いますけど、走ったり自転車をこいだり泳ぐことは全身を使うし、左右バランスよく使うことにもなります。すごくきついですけど、それが逆にいい。ゴルフって個人競技ですし、ある意味ラクはいくらでもできます。でも、苦しいけど自分を追い込んでダッシュしたり、サーキットをやったりすると、メンタル的にも強くなれると思います。

練習も、昔は同じ年代の友だちと1000球打ったりしていました。アプローチも含めていろいろな番手を打っていた。でもただ打つというより、勝負しながらやっていました。たとえば練習場なら的があるので、それに当てるとか、遠征で試合に行ったらホテルでパッティングゲームをしたり、けっこう楽しんでやっていましたね。

実は私もゴルフを一度だけやめたいと思ったことがあります。友だちが皆、学校が終わって部活に行くなかで、自分にはゴルフの練習があるので帰らないといけない。それが嫌でした。そんなとき、学校の先生に「あなたからゴルフを取ったら何が残るの」と言われて、「そっか、ゴルフしかないや」と思いました(笑)。結局、ゴルフが好きなんですよね。

海外に来ていると、ジュニアのゴルフ環境は本当にいいなと思います。練習場でも芝から打つことが普通だし。けっこうどのコースにもジュニアは多い気がします。上手くて試合に出る子もいますし、親と一緒に来て家族で楽しみながらやっている子もいます。どうせやるならやっぱり、小さい頃から自己流よりはきちんとした人に習ったほうがいいとスクールに入れる家族もいます。考えてみれば私の時代は沖縄も環境がよかった。だからか男子も女子も強い選手が出たのかな。最近聞いたら、ゴルフ場も練習場も金額も含めてあまり良心的ではないみたいです。昔みたいに遊び感覚でやることができない環境になっているのかもしれません。私も含め沖縄のプロゴルファーの家庭はそんなに裕福ではありません。でも周りが環境を作ってくれたから、こうしてずっと日本や世界で戦うことができています。内地に遠征したとき、同世代の子のご両親がブランド品を持っていたり、いい車に乗っていたりびっくりした覚えがあります。沖縄は普通の家庭の子がゴルフできる環境が昔はあった。今はある程度お金に余裕がある人じゃないと始められないのかもしれない。ゴルフというスポーツのハードルが上がります。ただでさえ今、日本は円高で物価も高くて生活は大変でしょうから。

私も少しでもジュニアの力になりたいといつも思っています。主催するイベント「日米フレンドシップ」は今、詳細を詰めていますが、今年の12月か来年明けてからにするか検討中です。これは自分の成績次第。本当に1年、あという間です。今週はお休みですが、来週アイルランドの昨年とは違う新しいリンクスコースで開催されます。これが終わったらいったん帰国しますから、とにかく精いっぱい頑張って結果を残したいと思います。応援よろしくお願いします!

写真/本人提供

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