「ザ・プレーヤーズ選手権」での構想進捗の共有、そして「トラベラーズ選手権」での正式承認・発表を経て、2028年からPGAツアーは「チャンピオンシップ・シリーズ」と「チャレンジャー・シリーズ」の2層構造へと劇的な進化を遂げる。この大改革の全貌が少しずつ明らかになる中、アトランタで今週開催する「ツアー選手権」の会場で、次期コミッショナーに就任するPGAツアーCEOのブライアン・ロラップ氏が公式会見に登場。そこで明かされたのは、最大の目玉となる「最終戦(ツアー選手権)」のフォーマットだった。

まるでサッカーW杯? 32人による「グループ戦」と「順位決定戦付きマッチプレー」

画像: PGAツアー・プレーオフシリーズ最終戦の会場であるイーストレイクGC(写真/岩本芳弘)

PGAツアー・プレーオフシリーズ最終戦の会場であるイーストレイクGC(写真/岩本芳弘)

2028年からのPGAツアーは、シーズン上位90名によるストロークプレー戦(チャンピオンシップ・シリーズ最終戦)を経て、まず「年間王者」を決定する。実質的に、ここで「シーズンを通じて最も安定して強かった選手」が選出されることになる。

しかし、戦いはここでは終わらない。ポイントランキング上位32名だけが、さらに新たな「ツアー選手権」へと駒を進めるのだ。

ロラップCEOが明かした新フォーマットは、これまでのゴルフ界の常識を覆すものだ。

まず第1週目に、32名が「4人×8グループ」に分かれてグループステージ(総当たり戦)を行う。そして、各グループの上位2名、計16名が勝ち残って第2週目へと進出する。

第2週目は、勝ち残った16名によるマッチプレーが繰り広げられる。ここで特徴的なのは、敗退したら即帰宅のノックアウト方式ではなく、16名全員が最終順位(1位〜16位)を決定するために4ラウンドを戦い続ける点だ。

全選手が順位に応じたポイントや莫大なボーナスを最後まで争う、極めて珍しい「順位決定戦付きマッチプレー」。無敗で頂点まで勝ち抜いた選手だけが、ツアー選手権覇者の王冠を手にするのだ。

スター選手たちが語る「本音」と新フォーマットへの高揚感

画像: 左からローリー・マキロイ、スコッティ・シェフラー、トミー・フリートウッド、ゲーリー・ウッドランド(写真はすべて26年全英オープン)

左からローリー・マキロイ、スコッティ・シェフラー、トミー・フリートウッド、ゲーリー・ウッドランド(写真はすべて26年全英オープン)

この大胆な変革に対し、アトランタに集結したトッププロたちからも驚きと歓迎の声が相次いでいる。

年間王者とツアー選手権覇者の線引きについて、ローリー・マキロイは「新フォーマットは完全に独立したイベントになるだろう。ツアー選手権に勝ったからといって『今季最高の選手だった』とは言えないかもしれないが、この大胆な挑戦というコンセプトは本当に気に入っている」と語る。

前年(2025年)の年間王者トミー・フリートウッドも、王者自ら現行制度の矛盾を素直に認めた。

「現行ルールで勝てて最高に嬉しかったが、『今季最も安定した世界最高の選手だったか?』と聞かれれば答えは『おそらくノー』だ。だからこそ、シーズンを通じた最強と、短期決戦のプレーオフ覇者を分離するのは誰もが望んでいた素晴らしい進歩だよ」

世界ランク1位のスコッティ・シェフラーは、放映面と競技性の観点から新制度の合理性を絶賛する。

「これまでのマッチプレーは最終日に2組4人しかコースにいなくなり、TV放送が退屈になってしまう課題があった。16人全員が最後まで戦い続ける新方式は画面の密度を保ち、ファンを熱狂させる素晴らしい解決策だ。マッチプレーには『フロック(時の運)』もあるからこそ、1年の真の最強はストロークプレーで決め、その後にエキサイティングなお祭りとしてツアー選手権をやるのが正解なんだ」

さらに、絶望の淵から這い上がり7年ぶりの最終戦切符を掴んだゲーリー・ウッドランドも胸の内を明かす。

「現行のハンデ戦では、世界一番のスコッティ(・シェフラー)に最初から6〜7打差もつけられて戦う前から絶望していた。でもイーブンからスタートできる新制度なら『お祝いに来たんじゃない、勝ちに来たんだ』という闘争心を全選手に蘇らせてくれる」

大ベテランのアダム・スコットも「みんな『ブラケット(トーナメント表)』で白黒つけるのが大好きなんだ」と賛同。ウィンダム・クラークやキム・シウーらも異口同音に期待を寄せている。

PGAツアーが踏み入れたことのない「名門コース」への野望

この劇的なフォーマット変更は、単なる競技ルールの枠にとどまらない。ロラップ氏はこの2週間にわたるツアー選手権を、「それぞれ違うコースで開催する」という構想を明かした。

通常のストロークプレー戦であれば、巨大な観客動員数や大規模なインフラが必須となり、開催できるコースは限られてくる。しかし、出場人数が32名に絞られ、マッチプレーという形式になることで、会場選びの自由度は飛躍的に高まる。

ロラップ氏はこの利点を最大限に活かす考えだ。

「この新フォーマットは、現代のPGAツアーがこれまで訪れたことのない場所も含め、我々のスポーツにおける最も名高い会場を披露するエキサイティングな機会を生み出します」

選手たちの間でも夢の開催地について妄想が膨らんでいる。マキロイが「オリンピック・クラブやバルトゥスロールのような大メジャーを開催してきた伝統あるコースでマッチプレーをするのは最高だ。6600ヤードの短くクラシックなコースでも十分に成立する」と語れば、クラークも「サイプレスポイントやパインバレーのような、テレビ中継で滅多に見られない伝説のプライベートコースで開催されたらファンも僕らも最高だ」と熱弁を振るう。

さらにロラップ氏自身も「歴史的名門だけでなく、TPCソーグラスのように自分たちで新しい最高のコースを自社開発・建設することも視野に入っている」と、ツアー自体の事業拡大に強い意欲を示している。2028年の舞台となるコースは、来年(2027年)2月22日に正式発表される予定だ。

二つの頂点がもたらす新エンターテインメント

シーズンを通して最強を証明した「年間王者」と、過酷なサバイバルを勝ち抜いた「ツアー選手権覇者」。二つの異なる頂点を巡る戦いは、新しいエンターテインメントへと変貌を遂げようとしている。

続く第2回では、この新制度に対してスポンサー企業がどのような反応を示しているのか、そしてファンが最も気にかける「LIVゴルフ勢の復帰」に対するPGAツアーの冷徹なスタンスに迫る。

写真/R&A提供


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