対照的に「守り」で首位に並ぶメジャー覇者たち

山下美夢有と同じ首位タイにいるアリセン・コプース(左)とキム・ヒョージュ(右)(写真は26年全米女子オープン、USGA提供)
一方で、山下と同じ通算9アンダーで首位タイに並んでいるライバルたちの戦い方は、非常に堅実で対照的だ。
23年全米女子オープン覇者であるアリセン・コプース(米国)は、2日目をボギーフリーの「67」で回り、「このコースは私にとって相性が良く、我慢強くプレーできている」と、ミスを最小限に抑える「守備力」の強さを語っている。
さらに驚異的なのは、韓国の実力者キム・ヒョージュだ。彼女は今大会、初日から「30ホール連続ノーボギー」という鉄壁のゴルフを展開。公式会見でも「昨日からボギーを叩きそうな状況はたくさんあったが、パーセーブ(守り)がしっかりできたからこそのボギーフリーだった」と、その安定感を振り返っている。
バーディを量産して「攻め」でスコアを伸ばす山下美夢有に対し、徹底した「守り(パーセーブ)」でスコアを崩さないメジャー覇者たち。プレースタイルが全く異なる実力者同士の首位争いは、まさにゴルフというスポーツの奥深さを象徴している。
1打差4位タイ、イン・ルオニンの「コーチとの賭け」

首位と1打差の4位タイに位置するイン・ルオニン(写真は26年全米女子オープン、USGA提供)
そして、この「攻防」の首位争いに1打差(通算8アンダー)の4位タイで猛追してきたのが、中国のイン・ルオニンだ。
彼女の2日目のスタッツは、まさに完璧の一言だった。「パーオン率100%(18/18)」という驚異的なアイアンショットの精度を見せつけ、8つのバーディを奪う「65」の猛チャージでリーダーボードを駆け上がってきたのだ。
しかし、この快進撃の裏には、トッププロらしからぬユーモアあふれる「賭け」のドラマがあった。
初日「71」と出遅れていたインに対し、コーチは前夜、こんな言葉を投げかけたという。
「明日(2日目に)7アンダーを出さなければ、週末を待たずに帰るからな」
このプレッシャーに対し、インは「よし、やってやろうじゃないか」と発奮。
「焦りはあったが、コーチからは『ゲームの調子は良いのだから、もっと忍耐強くプレーしろ』と言われていた。今日はそれを実行しただけ」と語り、見事に「8アンダー(65)」を叩き出してコーチを引き留めることに成功したのである。
週末の決戦へ向けた展望
決定力でバーディを量産する「攻め」の山下美夢有。ボギーを打たない「鉄壁」のコプースとキム・ヒョージュ。そして、コーチとの賭けに勝ち、パーオン率100%という完璧なゴルフで勢いに乗る「刺客」イン・ルオニン。
全く異なる強みとドラマを持つトッププロたちが、通算9アンダーと8アンダーの1打差の間にひしめき合っている。過酷なTPCボストンを舞台に、週末の決勝ラウンドで誰が主導権を握るのか。プレースタイルの違いに注目することで、この優勝争いはさらにスリリングなものになるはずだ。
なお、その他の日本勢については、岩井明愛が2日目には7バーディ・1ボギーのゴルフで「66」を叩き出し、通算4アンダーの19位タイへと大躍進を遂げた。さらに、畑岡奈紗が通算3アンダーの27位タイ、西郷真央が通算2アンダーの33位タイ、そして勝みなみが通算イーブンパーの54位タイで、それぞれカットラインをクリア。一方、古江彩佳(1オーバー)、原英莉花・西村優菜・岩井千怜(2オーバー)、竹田麗央(3オーバー)、馬場咲希(4オーバー)、そして先週2位だった吉田優利(7オーバー)、さらにメジャー覇者の渋野日向子(8オーバー)、笹生優花(11オーバー)は無念の予選落ちを喫している。


