
1999年生まれ・26歳の菅沼菜々ときらら。貴重な時期に抱く思いを教えてくれた
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●菅沼菜々
東京都出身、26歳。埼玉栄高等学校ゴルフ部卒業後、2018年にプロ入り。23年に初優勝、複数回優勝を達成するも、翌年にシードから陥落。苦難を乗り越えた25年に復活勝利を遂げ、今季も春先に1勝を挙げてメルセデス・ランキング16位につけている。
●聞き手:伊藤きらら
菅沼と同じ埼玉栄高等学校ゴルフ部出身かつ同級生で、高校・駒澤大学では主将を務めていた。現在はDSPE GOLF STUDIOに所属し、USGTF資格を持つティーチングコーチとしてアマチュア指導で活躍中。
菅沼菜々の素顔⑦「自分が思っている以上にゴルフが好き」

同級生だから語れることをたくさん聞けた最終回
30歳が目前となる年齢(26歳)に「やばくない? もう30だよ?」と驚愕する2人の様子で終わった第3回。この年になると、周りには自身の家庭を持ち、新たなライフステージへと足を踏み出す友人が増えてくるという話題へ。
きらら:結婚して子供産んで戻ってくる選手もいるじゃん。それはどうなの?
菅沼:え~、そこまでゴルフを好きでいられるかな。毎日練習してトレーニングする1年間から解放されると思うと、ちょっと「いいなぁ」って思っちゃうもん。
きらら:あ、それはいいなって思うんだ。
菅沼:うん、やっぱり辛いから。でもそんな生活、2週間で飽きちゃうかもしれないけど(笑)。……やっぱり自分が思っている以上にゴルフが好きだし、ファンの人が増えて恩返ししたい気持ちもあるし、自分が「もっとゴルフがしたい」って思う気持ちもある。ゴルフがどんどん好きになってるんだよね。
菅沼菜々の素顔⑧「人生はゴルフだけじゃない」揺れる26歳のリアル

神社へ行くと、真剣に鈴を鳴らす2人
けれど、友人たちの結婚や出産の会話をたくさん耳にすると、「将来をどう過ごしたいか」とも考え始めるという。
菅沼:2、3年前までは「もうゴルフしかない!」って感じだったの。でも大人になって将来の話をすると、「人生はゴルフだけじゃないな」とも思えてくる。今はゴルフを頑張りたいけど、来年の今頃は何を思ってるか、わからないから。ちょうど変化の時期だよね、この年齢って。
きらら:もう若くないよね~。家庭を持ってる子って、“気持ち”違うよね。
菅沼:違うよね! もうママになってるし。私たちって、世間的には22、3歳の考え方かも。
近年は女子プロたちの結婚や出産について、多くの話題が取り上げられ、人生の過ごし方は幅広く存在する。菅沼は、どんな生き方を"幸せ"と捉えているのだろうか。
菅沼:え~、どういう人生だろう。え、でも普通の人生が一番幸せだと思うけど。どういう人生。めっちゃムズイね。今は本当にゴルフを頑張ろうって感じで。でもオファーをもらって始めたアイドル活動は今後もやり続けたいし、いつか声優にも挑戦してみたいの。(何か言われることに対しては)やりたくてやってるから(何か言われても)別にいいかなって。普通にやれることじゃないし。需要があるうちは、頑張りたいけど。何歳までできるかな……。
菅沼菜々の素顔⑨「あんまりマッチョになっても(笑)」
≪改めて試合を振り返る①≫

2打目、多くの選手がウッドやUTを持つなか、菅沼はアイアンで勝負していた。5番でキャリー180Y、6番でキャリー170Yだという。これにはきららも「えっ⁉ そんな人なかなかいない」と驚いていた(「CAT Ladies 2026」撮影/有原裕晶)
女性としての“移ろいやすさ”を抱えながらも、決めたら意志は貫くのがこの年代の強さだ。菅沼は、プロ9年目の中堅にして“飛ばし屋”へと進化した。
きらら:試合の時さ、2打目で他の選手がUT、ウッドを持つなか、菜々は175Yでもアイアンを持ってたからびっくりした。
*「CAT Ladies 2026」の2日目を帯同観戦したきらら。その模様は第1回をチェック!
菅沼:あの日は一度も持ってないかも。5番でキャリー180Yなのね? だからめっちゃ飛ぶの(笑)。
きらら:えっ⁉ 下を充実させているの?
菅沼:48・52・56。52度でキャリー100Yとか。
≪改めて試合を振り返る②≫

「CAT Ladies 2026」の3日間のドライビングディスタンス(撮影/有原裕晶)
1日目:252.5Y(17位)
2日目:258.5Y(13位)
3日目:253.0Y(5位)
きらら:しかも、ドライビングディスタンスは全日250Yを超えてたよね。
菅沼:飛距離をそこまで求めてたわけじゃないんだけど、デッドリフトとかスクワットをシーズン中もやってたら伸びたの。効率よく飛ばせてるというか、ドライバーが飛んで楽になった。でももう十分。あんまりマッチョになってもね(笑)。
菅沼菜々の素顔⑩「メジャー優勝、年間女王。そして今季の目標」

最後は2人揃って、お願いごと。
得意になったアプローチやパターの変更(第1回より)、ドライバーの飛距離アップなど、今の菅沼には“弱さ”がないように思えてくる。進化し続ける彼女は、ここから先のことをどう見据えているのだろう。
きらら:これからの大きな目標は何?
菅沼:メジャー優勝、あとは毎年1勝はしたいよね。一番は「年間女王を取りたい」と思うけど、みんな上手いから。頑張んなきゃな。
今季は春先の「NTTドコモビジネスレディス」ですでに1勝を挙げている菅沼。狙うは2023年以来の複数回優勝だ。
菅沼:(桑木)志帆ちゃんが(「AIG女子オープン」で勝利して)800ptsを取ったから、今季はもう無理。でもまだ5位以内は目指せるから、そこは頑張りたいな。
きらら:目標を立てるときは誰かに相談するの?
菅沼:ううん、自分で立てる。パーオン率が高くなると上位に絡む感覚があるから、難しいコースだったら「パーオンを14回したい」とか、週ごとに考えながらやってる。でもあんまり細かい目標は立ててないよ。
きらら:複数回優勝した2023年とか、過去と比較して分析することはある?
菅沼:それはあんまりない。今の調子と相談して、「これができそうだな」と思ったことを目標にするかも。今季は開幕前から調子がよかったし、今はすごくいいから、残りの試合で2勝目を挙げたいな。
と言いつつ、最後には「ほんとは3勝したい。2勝目を挙げたことはあるから、それを超えたいなとは思ってる」と、自ら切り込む菅沼。こうした負けん気の強さが、彼女の勝負師としての鋭さを物語っている。
全4回の特別連載を通して見えてきたのは、アイドルスマイルの裏にある潔さと気風のよさ。そして垣間見える揺れにも抗うことなく、過不足なく現状を捉える生き方だった。菅沼菜々はこの先の人生をどんなものにしていくのか。彼女を追いかけていくと、自分にも向き合うことになる。そんな飾らない姿勢が、ファンの心をつかんで離さないのだろう。(文/川野真美)



