
プロゴルファー社長の金谷嶺孝氏
岩手県オープンが成功した理由

岩手県オープンには地元岩手出身の米澤蓮や多くのシード選手が出場している
東北の多くのギャラリーを沸かせた岩手県オープンをイチから立ち上げ自ら主催し続けているのが、かつてツアープロとして戦い、現在は複数の事業を手掛ける実業家、金谷嶺孝だ。
中学時代に東北ジュニア選手権で優勝、大学時代には全日本パブリック選手権を制し、1995年にプロテストへ合格した実力派ゴルファーだった。しかし、自身の筋肉がつきにくい体質や怪我の多発など、引退を意識せざるを得ない要因が重なり、30歳という若さで選手生活に一度区切りをつける決断を下した。
周囲が「まだ若いからやれる」と引き留める中、第二の人生として実業家の道へ飛び込んだ金谷。そのセカンドキャリアを成功へと導いたのは、プロゴルファー時代に培った「逆算のゴルフ思考」だった。
ターゲットから逆算するゴルフと人生のマネジメント
多くのゴルファーが知るコースマネジメントに「カップやピンの位置から考える」というロジックがある。ティーイングエリアに立ち、ピンポジションやグリーンの形状を確認した上で、逆算してティーショットの落としどころや攻略ルートを決める考え方だ。金谷は、このゴルフならではの戦略的ロジックを、そのまま人生やビジネス設計に適用してきた。
「30歳で起業した際も、50歳までに会社を上場させる、売上10億円を達成するという明確なゴール(最終ビジョン)を描きました。そこから逆算すると、40歳では5億円、35歳では3億円に達していなければならず、さらに逆算すると30歳の今は何としても起業しなければならない、という具体的な行動が導き出されます。進むべき目標がはっきりと見えていれば、自ずと進むべきベクトルが定まります。多くの人は『資格を取ってから何かを始めよう』という足し算で考えがちですが、それでは進むべき方向を見失ってしまいます」
この「ゴールからの引き算」は、金谷が手がけるゴルフ場再生の現場でも遺憾なく発揮されている。かつて赤字を抱えていた岩手県の「きたかみカントリークラブ(旧北上CC)」を取得した際も、ゴルフ場の営業状況から現実的なビジョンを設定。そこから逆算して確実に利益を残す堅実な経営に転換し、見事に黒字化を達成した。
では、この「ゴールからの引き算」を用いて、金谷は具体的にどのような事業を展開しているのか。次ページでは、金谷のビジネスの根幹である「4つの劇場」の全貌と、人生を18ホールになぞらえる独自の哲学に迫る。
