プロ入り23年目を迎えた上原彩子。40代を迎えた今もなお、ゴルフという“冒険”の真っ只中にいて、今季は欧州女子ツアー(LET)に挑戦している。彼女が好きな沖縄の言葉に「ゆいまーる(助け合い)」があるように、上原はこれまで多くの人と人を結んできた。そして、彼女を通じて私たちの世界も広がっていく――。沖縄発、世界へ。“彩子の冒険”の日々を紹介していく連載、今回は沖縄での活動について聞いた。

こんにちは、上原彩子です。私は今、沖縄にいます。今週(ジュニア)と来週のLET(欧州女子ツアー)では、ソルハイムカップが開催されます。ヨーロッパ選抜とアメリカ選抜が戦う女子の“ライダーカップ”みたいなもの。団体戦は別の盛り上がりがあります。ですから私は、いったん日本に帰ってきているということです。

先週の「KPMG女子アイリッシュオープン」(ザ・Kクラブ・パーマサウス)では予選通過することができませんでした。アイルランドはやはり涼しくて、20度ない日もあるくらい。コースは昨年とは違って新しく、リンクスコースだと聞いていたのですが、海沿いにあるわけでもなく、風が吹く感じもなく……。

アイルランドは、6週間くらい雨が降っていなかったそうですが、試合のときからめっちゃ雨が降ってきて。プロアマまでは大丈夫だったのですけれど。当然、コースコンディションも変わります。練ランのときは下がガチガチで結構ランも出ていましたけど、試合では様変わり。初日の午前スタート組はほぼ雨にあたらなかったのですけど、私は午後スタート組で、ずっと雨の中でのラウンドになりました。

そのなかで我慢してよいゴルフはしていましたが、もともと距離のあるコースを雨でより長く感じてしまったり、パットも入ってくれなかったり。2日目は、大事な場面でミスして池に入れてしまったり、チャンスでバーディが取れずに流れが作れなかったり。流れってパッティングからくることも多いんです。でも、バーディを取らないといけないと思って、つい、がっついて3パットしてボギーにしてしまい、バーディが取れてないことがまた自分を苦しくさせて……悪循環です。さすがに疲れましたね。

画像: スイスにあるリサイクルショップ。「家のごみを持ってきて、それぞれのカテゴリーに入れます。ドネーションの場所もあり、このようにリサイクル品を販売もしています」。やっぱり意識が高いのです

スイスにあるリサイクルショップ。「家のごみを持ってきて、それぞれのカテゴリーに入れます。ドネーションの場所もあり、このようにリサイクル品を販売もしています」。やっぱり意識が高いのです

“流れ”って本当に大事です。もちろん流れを作れるかどうかは自分次第。守らずに勝負していかないといけないけど、それがミスにつながって流れを悪くしてしまうこともあるので、その兼ね合いが難しい。でもやっぱり、流れを作るためには勇気も必要。ゴルフはメンタルが影響するスポーツ。いろいろな葛藤があるなかでも自分が思うことをやり切って結果につなげられると、流れに乗って行けると思うんです。

終盤戦を前にして考えることは多いです。前半戦をいい感じで終えられていたら、今、見る方向は変わってきます。でも私は、今のところずっとゴルフが全然かみ合っていない感じです。それでも自分でしか流れは変えられない。自分できっかけを作って、いい流れを引き寄せられるように最後までもがきたいです。

ツアー終盤戦って、プロは皆、それぞれに思いがあるはず。賞金女王に手が届く位置にいる人は、そこを目指しての葛藤があるだろうし、シードギリギリの人は、来年の資格を取れるようにも考えた勝負の仕方の必要だし、どの位置にいても勝負自体は変わらないけれど、“いかにやり切るか”。こういうことが蓄積していい経験になっていく。大変だしプレッシャーもあるし苦しいけど、ゴルフの世界でこういう挑戦を続けられることがありがたい。

ラクをしようと思ったらいくらでもできます。でも、やり続けてこそ、自分の目標や夢を達成できる。もがきながら試行錯誤して結果につなげていけると達成感はすごくあるし、そういう経験をできることが、本当に恵まれていると思います。私、アツいですか(笑)。(飯島)茜ちゃんにも「どうしてモチベーションが落ちないの?」と聞かれましたけど、一番は本当にゴルフが好きなんだと思います。

食育にも興味があって……

さて、アイルランドからオランダ、台湾経由で沖縄に帰ってきましたが、全然疲れてはいませんよ(笑)。2カ月ぶりの沖縄、台風の影響もあり、涼しかったり暑かったり毎日天気が変わります。

大好きな沖縄ですから、もちろんリラックスしながら練習していますけど、税理士さんと会ったり、ミーティングをしたり、いろいろとやらなければいけないことが山積みです。やりたいことがいっぱいあるので……皆さんもご存知ですよね(笑)。

「食育」にも興味があって。子どもがいるお母さんをターゲットにしたプロジェクトができないかというミーティングにも参加してきました。私が長年、現役でツアーへの挑戦を続けられているのも食事の力は大きいと思うのです。食事に関しては、いろいろな方の話を聞いたり、本も読んだりしてはきました。だから、自分の経験も話をしながら、信頼できる専門家の方のアドバイスも受けられるようなイベントができないかどうかと考えています。

画像: 沖縄の海色のソーダで喜ぶ彩子。「ミーティングで。シークワーサー色の飲み物を選びました。素敵ですよね~」

沖縄の海色のソーダで喜ぶ彩子。「ミーティングで。シークワーサー色の飲み物を選びました。素敵ですよね~」

日本は“コンビニ”という優れたものがありますよね。久しぶりに日本の試合に出ると、朝もハーフターンの待ち時間も、コンビニご飯を食べる人が多いなあとも感じます。便利でいいですけど、やっぱり偏りは出ると思います。1年通すとパフォーマンスにも大きく関わってくると思います。海外を転戦していると、ほとんどが自炊ですから、食事のコントロールができます。でも、日本には基本、キッチン付きのホテルは少なく、試合会場の近くで探すのも難しい。添加物を抜いての食事をとるのは不可能に近い。ゴルフは朝も早いし、練習もしなければいけないし、特に、選手一人で動いていたら絶対にムリです。かえってストレスにもなります。

すぐにはできないと思いますけど、日本ツアーも若手選手が増えてきているなかで、ハーフターンで食べるおにぎりだけでも無添加のものを提供できるシステムづくりができたらいいなとも思います。若いうちはいいけれど、長くやっていくことを考えたら食事は絶対に影響してきますから。食について学ぶことができれば、海外で戦う、パフォーマンスアップへのサポートになるとも思います。

また、今は美味しいパンがすぐに手に入りますが、私も試してみて、日本人には、やっぱりお米が合っている気がしています。私は、海外でも基本、お米を食べます。日本から持っていくことが多いですけど、滞在が長くなると現地でも買います。炊飯器がなくてもお鍋で炊けますし。また、食事は基本グルテンフリー。パンなどを作るときもグルテンフリーの素材を使うことも多いです。今の小麦と昔の小麦は違っているんですよ。昔の小麦は栄養価の高いスペルト小麦でした。実は欧米には今もスペルト小麦がたくさん売っていて、値段も高くありません。食への意識が高いでしょうね。だからスペルト小麦があれば迷わずスペルト小麦を買いますし、パスタもスペルト小麦を使っているものを買って食べていますね。

面倒くさく感じるかもしれませんけど、私も昔はわかっていなかったですし、人から教えてもらって「そうなんだ」と思うことができた。だから今でもゴルフを頑張ることができていると思います。でも、私がいいと思ってやっていることが皆にいいわけではありません。それぞれに体質とか遺伝的な特性などもある。時期によって食べたほうがいいものも変わります。だからこそ、「知る」ことが大事です。お母さんたちにも若い選手にも、そのためのきっかけの場を作ることができたらいいなと思います。

画像: 終盤戦に向けて、練習も怠らない。大好きな沖縄で、心身ともにリフレッシュ。「最終戦にも出られるように頑張ります!」

終盤戦に向けて、練習も怠らない。大好きな沖縄で、心身ともにリフレッシュ。「最終戦にも出られるように頑張ります!」

さて、残りの試合は7試合。そこまでにいい結果が出せれば最終戦にも出られます。来週の土曜日に今年最後の遠征に出発します。それまでに、心身ともに仕切り直して、準備していきたいと思います!

写真/本人提供

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