
狙った場所へ正確に運ぶフェードが特徴的な永井花奈(撮影/姉﨑正)
第6回に取り上げるのは、絶好調の永井花奈プロ! 今季は新たなドライバーを手に、【フェアウェイキープ率:70.20%(20位)】と、タフなコースセッティングのなかでも卓越したボールコントロール見せ、毎試合のように上位をにぎわせている。そんな彼女の持ち球は、狙ったラインへ正確に運ぶ安定感のあるフェードボールだ。
完全再現した彼女の相棒は、ロースピンで強弾道を生み出すモデル「Qi4D LS ドライバー」(ロフト角9度)、シャフトにはしなりを感じやすくタイミングが取りやすいと評判のUSTマミヤ「ATTAS RX PURE BLUE」(50 R・45.25インチ)という組み合わせ。今回もグリップまで本人仕様に合わせたスペシャルな1本を用意した。
試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用
「低スピンヘッド×しなやかシャフト」の意外な組み合わせ

(画像:「Qi4D LS(9度)」、シャフトは「ATTAS RX PURE BLUE(50R)」 ※プロはクラブを変える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打)
ヘッドはロースピン性能に長けたツアーモデルの9度、そこに50g台のRフレックスの組み合わせ。高いフェアウェイキープ率を誇る彼女がこの意外な組み合わせを選んだ理由に、堀越プロと編集部が迫る。
試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属
編集部:永井プロといえば、今季もフェアウェイキープ率が70.2%と高く、安定感のあるショットで活躍されています。 以前、トーナメントのドライビングレンジで彼女の練習風景を間近で見たことがあるんですが、本当に綺麗なフェードで、球が大きく曲がる雰囲気を一切感じさせなかったのが印象的でした。そんな永井プロの相棒が、ロースピンモデル『Qi4D LS(9度)』に、あえて軟らかめの『ATTAS RX PURE BLUE(50R)』というセッティングです。堀越プロ、この組み合わせをパッと見た第一印象はどうですか?

「アームローテーションを極力防ぎ、左を消しているように見えます」(堀越)
堀越プロ:いやあ、これは面白い組み合わせですね。一見するとハードなツアー用のロースピンヘッドに、50g台のRフレックスですからね。ヘッドの『Qi4D LS』はロースピン系で左へのつかまりすぎを抑えてくれるモデルですが、その一方でシャフトの『ATTAS RX PURE BLUE』は全体が素直にしなって、球の上がりやすさと適度なつかまりをサポートしてくれるモデル。予想ですけど、ヘッドで左への巻き込みをしっかり防ぎつつ、足りない打ち出し角やつかまりをシャフトでカバーしているんじゃないですかね。さらに、50Rというしなやかなスペックを選ぶことで、切り返しでのタイミングもとりやすそうですね。
「低スピンヘッドと適度にしなるシャフトで球が上がる安心感」(堀越プロ)
編集部:言うなれば、ヘッドとシャフトがお互いを補完しているような感じですかね? 実際に構えた時の印象はどうですか?
堀越プロ:顔つきがすごくいいんですよね。この『Qi4D LS』はいかにもツアーモデルらしくて、わずかに右を向いた逃げ顔です。左につかまりすぎるイメージがないので、フェードヒッターなら迷わず思い切り左へ振り抜いていけるでしょう。それと、永井プロってグローブサイズが18cmとかなり小さめらしいんですが、この少し細めに感じるグリップも、彼女の手のひらにぴったりハマって手元の無駄な力みを防いでいるんだろうなと納得です。
実際に試打を開始!
堀越プロ:お! これは理想的な弾道が出ましたね。スーッと高く伸びていって、最後に右へ優しく落ちてくる綺麗なフェードです。ロフト9度というとかなり立っているんですが、シャフトが切り返しでスムーズにしなり戻って、インパクトで適度に角度を付けてくれる感覚があります。おかげで球の高さもしっかり出てキャリーが稼げています。
編集部:後ろから見ていても、ボールの伸びがすごいです! トラックマンの数値はどう出ていますか?
堀越プロ:数値も文句の付けようがないですね。ボール初速61.6m/s、打ち出し角13.8度、バックスピン量は2280rpmです。キャリーで220.5ヤード稼ぎつつ、トータル飛距離は247.8ヤードまで伸びています。ヘッドは高初速でスピンが少ない、そこにシャフトが仕事をして理想的な高さを出してくれるので、まさに「高打ち出し&低スピン」の飛ぶ弾道になっています。
編集部:フェードでこのロースピンと伸びは魅力的ですね!
堀越プロ:『Qi4D LS』の低スピン性能がフェードヒッターのミスに多いスピンの増えすぎを抑えて、『ATTAS RX PURE BLUE(50R)』のしなやかな走りによって高初速と良い具合の打ち出し角が作れている。アッパー軌道で効率よくヒットしてあげれば、飛距離の面でかなり期待できます。その一方で方向性も整えてくれるクラブという印象です。
一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出
●キャリー/220.2Y
●総飛距離/250.0Y
●ボール初速/60.3m/s
●打ち出し角/14.1度
●スピン量/2309rpm
堀越プロの総評

今回の永井プロのセッティングは、打ってみてつくづく感心しました。ひとことで言うと『しっかり叩けるヘッドと、手元の力みを抜いてくれるシャフト』のマッチングですね。一見すると9度のLSヘッドってアマチュアにはハードに思えるんですが、あえて50g台のRシャフトを合わせることで、左への恐怖感を消してしっかりと左に振り抜くことができるんです。少しアッパーブロー気味にゆったり振ってあげると、キャリーもランも自然に伸びていくような心地よさがあります。
特にこの『ATTAS RX PURE BLUE』が絶妙で、どこにも嫌なクセがない。名前の通り素直に全体がしなってくれるので、スウィングのテンポがとにかく作りやすい。右手が少し細いグリップも含めて、手元に無駄な力が入らない工夫が徹底されているなと感じます。
ドライバーで力んでスライスが出たり、引っかけに悩んでいるアマチュアや、もっとフェアウェイキープ率を上げたいという方には、ものすごくヒントになる組み合わせだと思います。特に、体を開かずに少しアッパーブローで振り抜けるタイプの人なら、すぐにこの恩恵を感じられるはずです。
ただし、そのまま真似をするときはひとつだけ注意が必要ですね。9度のヘッドはかなりロフトが立っているので、もともと球が上がりづらい人が打つと、スピン不足で高さが出ずにキャリーを落としてしまう可能性があります。その場合、ヘッドは10.5度を選んで打ち出しの高さを確保してあげたり、ヘッドスピードに合わせてフレックスを選ぶアレンジを加えるのがおすすめです。それだけで、左を怖がらずに素直に振り抜けて、永井プロみたいな安定感抜群のフェードボールも夢ではないでしょう。
『Rフレックス』と聞くと軟らかすぎると敬遠する男性も多いですが、このシャフトは頼りなさがないですし、全体の動きがすごく滑らかです。オーバースペックなクラブで力むより、少ししなやかなシャフトを使ったほうがスウィング自体が良くなることも多いんです。自分のセッティングを見直すきっかけとして、試す価値は大いにありますよ。
次回の「女子プロドライバーほぼ完コピ試打」もお楽しみに!
協力/トラックマン、テーラーメイド、UST Mamiya、クレアゴルフフィールド

