男子プロのスペックはパワーが違いすぎて参考になりにくいが、ヘッドスピード38〜43m/s前後の女子プロのセッティングは、我々アマチュアゴルファーにとってまさに「飛びと安定感の宝の山」。そこで本連載では、いまツアーで活躍する女子プロのドライバースペック(ヘッド、シャフト、グリップ)を完全再現! 試打するのは、世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた“キング・オブ・試打”こと堀越良和プロ。なぜ女子プロはこの組み合わせを選んだのか? アマチュアも参考になるのか? 女子プロが使用するギア選びを探ってみた。
画像: 小柄な体調を感じさせない躍動感あるスウィングで魅了する吉田鈴

小柄な体調を感じさせない躍動感あるスウィングで魅了する吉田鈴

今回に取り上げるのは、今季「ヨネックスレディス」「CAT Ladies」でツアー2勝を挙げ、メルセデス・ランキングでも8位に躍進している吉田鈴プロ! 身長153cmと小柄な体格ながら、【フェアウェイキープ率:69.4%(26位)】、【リカバリー率:68.1%(2位)】と、高いショット精度と巧みなゲーム展開でツアーをにぎわせている。彼女の持ち味といえば、手元が低く、且つ力強いボディターンから繰り出される美しいドローボールだ。

今回完全再現した彼女のドライバーは、叩ける操作性と寛容性を両立させた「QUANTUM ♦♦♦ MAX ドライバー(9度)」、シャフトには40g台の軽量でありながら素早いしなり戻りと力強い弾きを備えたフジクラ「SPEEDER NX VIOLET」(40 S・45.25インチ)という組み合わせ。今回もグリップのフィーリングまで本人仕様に合わせたスペシャルな1本を用意した。

試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

画像: トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用

「プロ仕様460ccツアーヘッド×軽量40g台」異色スペックの狙いとは?

画像: (画像:「QUANTUM ◆◆◆ MAX(9度)」、シャフトは「SPEEDER NX VIOLET(40S)」※プロはクラブを替える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打(グリップは同ブランドを用意)

(画像:「QUANTUM ◆◆◆ MAX(9度)」、シャフトは「SPEEDER NX VIOLET(40S)」※プロはクラブを替える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打(グリップは同ブランドを用意)

プロも多く使用する低スピン&操作性を持ったヘッドに、軽量な40g台のSフレックスシャフトという組み合わせ。ツアーで躍進を続ける彼女がこのセッティングを選んだ理由に、堀越プロと編集部が迫る。

試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属

編集部:吉田プロといえば、今季2勝を挙げてトップ10入りを果たすなど目覚ましい活躍を見せていますね! そんな吉田プロが使っているのが『QUANTUM ♦♦♦ MAX(9度)』に『SPEEDER NX VIOLET(40S)』というセッティングなのですが、堀越プロ、スペックを見た第一印象はいかがですか?

画像: 手元の低いインパクトで飛ばす吉田鈴(撮影/有原裕晶)

手元の低いインパクトで飛ばす吉田鈴(撮影/有原裕晶)

堀越プロ:ヘッドの『QUANTUM ♦♦♦ MAX』は460ccと大型化しながらも、キュッと引き締まったきれいな洋ナシ顔をしていて、目標に対してすごく直線的に構えやすい。アスリートモデルらしい低スピンと叩ける安心感があります。ただ、そこに合わせているシャフトが40g台という軽量スペックというのが興味深いですね。このツアーヘッドとの組み合わせでどんな球が打てるのか、さっそく試してみましょう。

実際に試打を開始!

一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出

●キャリー/225.0Y
●総飛距離/256.6Y
●ボール初速/61.1m/s
●打ち出し角/14.6度
●スピン量/2125rpm

堀越プロ:打音がすごく軽快! インパクトでボールを分厚く押し込めるような感覚で、曲がり幅を抑えたドローで飛んでいきましたね。最後に右からすーっとラインに戻ってくる、力強くも打っていて安心感のあるドローです!

編集部:後ろで見ていても球のスピード感と伸びがいいですね! トラックマンのデータはどう出ていますか?

堀越プロ:初速61.1m/sに打ち出し角が14.6度としっかり高さが作れていて、バックスピン量は2025rpmと理想的な低スピン。キャリーでなんと225.0ヤード、トータル飛距離は256.6ヤードまで伸びています! 軽いシャフトで振り抜きを良くしつつ、これだけ良いフライト条件が揃うのはさすがといった印象です。

編集部:そういえば、今回の企画で初めての40g台のシャフトですね。40g台のシャフトを打つ機会がなかなかないと思うのですが、実際に打ってみての印象はいかがですか?

堀越プロ:普段は50g台や60g台を打つことが多いので非常に新鮮だったんですが、想像以上に振りやすくて驚きました。通常は軽いシャフトだと叩きにいった時に頼りなさが出たり暴れたりしやすいんですが、『SPEEDER NX VIOLET』はしっかり芯があって必要以上に動かない。だから安心して振りにいけるんです。

編集部:40g台ならではのメリットもかなり大きそうですね。

堀越プロ:そうなんです。クラブ全体の重量が軽いので18ホール最後まで体力を消耗せずに楽に振り切れますし、力みが抜けるのでヘッドがスムーズに走ります。9度でも球が低くならずにキャリーで飛ばせると思います。

編集部:逆に、アマチュアが使う際に気をつけなければいけないポイントはありますか?

堀越プロ:『軽さに任せて手先で打ち急いでしまうこと』ですね。軽いので手先だけでひょいと上げられてしまうのですが、そうすると、スライスや逆に巻き込んで左へのミスも出やすくなる恐れがあります。吉田プロのように、体の回転を主体に振ることが重要になってくると思います。そこさえ意識できれば、『軽やかに振り切れるのに、高打ち出し&低スピンの強い球質』という、まさに“イイトコ取り”ができるセッティングになりますよ!

堀越プロの総評

画像: 堀越プロの総評

今回の吉田鈴プロのセッティングは、まさに「軽量シャフトの振り抜きやすさ」と「ツアーモデルの強い弾道」が見事に噛み合ったセットアップでした。

「SPEEDER NX VIOLET 40S」がもたらす素直な加速感と楽に振り切れるシャフトに、低スピンで打点ブレにも強い「QUANTUM ♦♦♦ MAX」のヘッド性能が組み合わさることで、40g台のシャフトとは思えない「球の強さ」と「安定感」を両立できています。後半につれてヘッドスピードが落ちてきてしまうとお悩みのゴルファーにとっても、このセッティングは非常に参考になりますね。

もしこの組み合わせを取り入れるなら、ロフト角の選び方が大きなポイントです。ヘッドが浅重心なため、吉田プロと同じ9度だと、もともと球が上がりづらい方はキャリー不足になってしまう可能性があります。その場合はロフト10.5度をチョイスして、打ち出しの高さをしっかり確保してあげるのがおすすめです。

そうすれば、力まずにフィニッシュまで気持ちよく振り切るだけで、吉田プロのような高初速&低スピンのビッグキャリーを体感できると思います。

次回の「女子プロドライバーほぼ完コピ試打」もお楽しみに!

協力/トラックマン、キャロウェイ、フジクラ、クレアゴルフフィールド


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