3番のミラクルショットと16番の9mイーグル! 追撃を断ち切った勝負どころの集中力

木の根っこが近くにあるライから打つ大西(撮影/姉崎正)
単独首位でスタートした最終日、序盤は「後続のプレッシャーやミスを警戒して思うような攻めのゴルフができなかった」と振り返る大西。1番(パー4)でボギーが先行する苦しい滑り出しとなった。
流れを変えたのが、3番(パー4)で見せた一打だ。ドライバーで右ラフに入れ、目の前の木に当てるトラブルとなったが、残り190ヤードから木を避ける低く曲げるフックボールを放ち、ピン手前2メートルにつけるミラクルバーディを奪取。「あそこから良い流れで行けた」と自身のハイライトに挙げる一打で落ち着きを取り戻した。

1番でボギーが先行する滑り出しとなったが、見事に立て直した(撮影/姉崎正)
1打差まで詰め寄られて迎えた後半14番(パー4)で2.5メートルの曲がるパットを沈めてバーディを奪うと、最大の勝負どころとなった16番(パー5)へ。フェアウェイ残り196ヤードから7番アイアンで放ったセカンドショットをグリーンに乗せると、9メートルのイーグルパットを見事にねじ込み、勝利を決定づけた。
「17番(パー3)ではアドレナリンが出ているのを感じてクラブを1番手落とした。過去の最終組での経験が生きた」と冷静なマネジメントで逃げ切りを果たした。
母が握った「昆布のおにぎり」と内藤コーチへの涙、海外での苦闘を支えた深い絆

幾多の試練を乗り越えて掴んだ一打。力強く拳を握りしめる姿に熱い想いが宿る(撮影/姉崎正)
2022年に初優勝を果たし、アメリカの米下部コーンフェリーツアーやPGAツアーへ果敢に挑戦した大西。しかし、海外挑戦は過酷を極めた。思うような結果が出ず、南米コロンビアでの予選落ち後に悔し涙を流した夜もあった。「一人で海外を転戦し、練習ラウンドで何かを掴まなければいけないプレッシャーは本当につらかった」と振り返る。
その挫折と孤独を支え続けたのが、母の存在とコーチの内藤雄士氏だった。

ウォーターシャワーで祝福される大西(撮影/姉崎正)
9歳で言葉も分からないまま母と2人で渡米した頃からの強い絆。「僕がどれだけネガティブになっても、母は誰よりも『あなたなら行ける』と信じてくれた。今日もお腹があまり空かない僕のために、温かく食べられるようラップを工夫して昆布のおにぎりを作ってくれた」と母への尽きない感謝を口にした。
また、プロ入り前から二人三脚でスウィングを作り上げてきた内藤コーチについても、「思い出すと涙が出そうになる。PGAツアー挑戦も、シード落ちも、辛い時期を誰よりも一緒に過ごしてきた。今日こうして良い方向に向かっていることをスコアで見せられて本当にホッとした」と声を詰まらせた。
「重さが50キロくらいある(笑)」愛される素顔と今後

表彰式のトロフィーは50キロ⁉(撮影/姉崎正)
表彰式で掲げた優勝トロフィーの重さに「今まで腕のトレーニングをした中で一番重かった。たぶん50キロくらいあるんじゃないですか(笑)」とお茶目に笑いを誘った大西。試合後の楽しみにしていた金沢の食文化についても「母の作ってくれる大好物の生姜焼きか、美味しいお魚を食べて帰りたいです」と周囲を和ませた。
「本当に色々あった4年間だったので、こうしてまた勝つことができて本当に嬉しいです。日本オープンや年末のPGAツアー予選会に向けて、もっとゴルフの状態を上げて頑張りたい」と更なる飛躍を誓った。



