2021年の「ロッテ選手権」。当時カポレイGCで開催された一戦で、リディア・コーは今なお破られていない大会最少ストローク記録「通算28アンダー(260)」という驚異的なスコアを叩き出し、3年ぶりの復活勝利を飾った。2024年パリ五輪で金メダルを獲得し、史上最年少で「LPGA殿堂入り」の偉業を達成したレジェンドが、今週2年ぶりに思い出のハワイへと帰ってきた。「あの時は自由で自信に満ちたマインドセットでプレーできた。今週もその感覚を引き出したい」と語る彼女の表情は、穏やかで充実感に満ちている。すべてを成し遂げた彼女の眼差しは、今や単なる「記録」や「数字」を超えた本質へと向けられている。

賞金記録より大切なもの——レジェンドへの敬意と「トロフィーへの飢え」

現在、LPGAツアーの生涯獲得賞金ランキングにおいて、リディアは歴代女王アニカ・ソレンスタムが持つ大記録の更新を目前に控えている。しかし、偉業について問われると、彼女は「正直言って、全く気にしていないんです」と一蹴した。その真意には、時代を超えたレジェンドへの深い敬意と、彼女自身が貫く美学がある。

「アニカは70勝以上という信じられない記録を作りました。私たちは今、CMEグループ・ツアー選手権やメジャー大会の賞金規模が大きく跳ね上がった、全く違う世代を生きています。もし彼女が今の時代の賞金規模でプレーしていたら、私達より何百万ドルも先の、はるか彼方にいるはずです」

単なる賞金額の比較を否定したリディアは、プロゴルファーとしての本質をこう語る。

「私にとって重要なのは、いくら稼ぐかではなく、プレーできる間にどれだけ多く勝てるかということ。たとえツアーで最も賞金が少ない大会だとしても、LPGAの試合で勝つこと自体に価値があるのです。私は今でも、賞金よりもトロフィーに飢えています」

「彼は幸運のお守り」——夫・ジュンさんとのタッグ結成

画像: 2024年AIG全英女子オープン優勝時にスウィルカンブリッジで夫のジュンさんと記念撮影したリディア・コー。ちなみに、このときのキャディは彼ではない(撮影/姉崎正)

2024年AIG全英女子オープン優勝時にスウィルカンブリッジで夫のジュンさんと記念撮影したリディア・コー。ちなみに、このときのキャディは彼ではない(撮影/姉崎正)

そんな「勝利」の重みを噛み締める彼女を一番近くで支え続けているのが、夫のJun(ジュン)さんだ。

実は3年ぶりの復活勝利を果たした2021年のカポレイ大会は、ジュンさんが現地で観戦し、その勇姿を見届けた特別な試合だった。「彼は私にとって幸運のお守りのような存在」とリディアは微笑む。

今週、ジュンさんは再び彼女のキャディとしてバッグを担ぐ。夫とのタッグ結成について、彼女はその絶大な信頼関係を明かした。

「彼は私のことを本当によく分かっています。私がコース上で弱気になったり、ためらったりしていると、彼が真っ先に『おい、今の何だ? なぜあんなことをしたんだ?』とハッキリ指摘し、私自身に責任を持たせてくれるんです」

酸いも甘いも共有してきたパートナーだからこそ言える飾らない言葉。それが彼女の迷いを断ち切ってくれるのだ。

難関ホアカレイCCで冴え渡るか——愛するハワイでの挑戦

今後開幕が控える新リーグ「WTGL」でも『ニューヨーク・ゴルフ・クラブ』の一員として参戦するリディア。多様化するゴルフ界で、新たなファン層に魅力を届けることへの期待を語る彼女の目は輝いている。

「夫と出会ったハワイは、私たちにとって本当に特別な場所」

大爆発したカポレイGCから、現在は重い海風と13ホールで池が絡む難関ホアカレイCCへと舞台は移っている。風と水ハザードが待ち受ける難コースで、彼女の代名詞である卓越したショートゲームと研ぎ澄まされた勝負勘がどう冴え渡るのか。

愛するパートナーとともに歩むハワイの風の中で、静かに、しかし熱くトロフィーを渇望する彼女。初日は日本時間の10月2日午前6時52分、1番ティーから2023年大会覇者のグレース・キム、リン・グラントと同組でプレー。新旧のロッテ選手権王者同士による豪華なペアリングにも注目が集まる。


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