ハワイ・オアフ島のホアカレイ・カントリークラブ(6530ヤード・パー72)で開幕した「ロッテ選手権」。初日は南国特有の気まぐれな天候が牙をむいた。断続的な雨と海からの強風が吹き荒れ、さらには一時的な競技中断も挟むタフなコンディションとなった。難コンディションでありながら、初日のフィールド平均ストロークは「71.050」とアンダーパーを記録。その熾烈な伸ばし合いの中で最上段に躍り出たのは、2024年大会覇者のキム・アリムだった。今季自身の開幕最小スコアであり、大会自己ベスト発進となる「65(7アンダー)」をマーク。7バーディ・ノーボギーで自身通算30回目(今季4回目)となる無傷のラウンドを達成し、堂々の単独首位に立った。果たして、この過酷な条件下でトッププロたちはどのように弾道をコントロールし、スコアを組み立てたのか。その実践的な思考プロセスに迫る。

徹底された「低い球」と完璧なショット&パット

画像: 囲み取材ではパッティングの重要性を語っていたキム・アリム

囲み取材ではパッティングの重要性を語っていたキム・アリム

ラウンド後、ノーボギーの快進撃を支えた要因を問われたキム・アリムは、端的にこう答えた。

「風が非常に強かったので、弾道をコントロールして低く抑えること、そしてパッティングが最も重要でした」

強風下において、ボールを不必要に高く上げず風の影響を最小限に抑える「低い球」のコントロールこそが、このコースを制する生命線だったのだ。

彼女の言葉は、完璧なスタッツにも裏打ちされている。フェアウェイキープ率71.4%(10/14)、パーオン率88.9%(16/18)と、悪天候の中でも抜群のショット精度を見せつけた。さらに27パットというグリーン上の安定感に加え、サンドセーブ率も100%(1/1)を記録。強風下での緻密な弾道コントロールと、チャンスを逃さない勝負強さが、この日の完璧なスコアを生み出したと言える。

追撃する上位陣もまた、ハワイの気候に対する見事な適応力を見せている。

6アンダーで2位タイにつけたユン・イナも、「AIG全英女子オープンやスコットランドでの経験から、強風には慣れつつある」と語り、風への耐性を武器にした。彼女もまた「低い球を打つよう心掛けた」と明かしたが、同時に「雨でグリーンが柔らかかったので、低い球でもすぐに止まってくれた」と、コースコンディションを的確に把握し、逆手にとっていた。7バーディ(1ボギー)を奪い、フィールド最小タイとなる「25パット」で次々とミッドレンジを沈めたパッティング力も圧巻だった。

また、5アンダーの4位タイにつけたジーノ・ティティクルは、雨による中断がもたらしたコースの変化を見逃さなかった。

「雨が降ってグリーンが遅く、柔らかくなったので、よりアグレッシブにピンを狙っていけるようになった」

悪天候をマイナスと捉えるのではなく、ピンをデッドに攻めるチャンスと捉え直す「逆転の発想」が、5バーディ・ノーボギー(パーオン率 16/18)という見事なスコアメイクに繋がったのだ。

山下美夢有ら日本勢も好調な滑り出し! 低い弾道と粘りで10位タイにずらり

さらに、日本のゴルフファンにとって頼もしいのが日本勢の好発進だ。

山下美夢有が4アンダー「68」(パーオン率88.9%)を叩き出したのを筆頭に、西郷真央、岩井明愛、吉田優利が4アンダー(10位タイ)に並び、笹生優花や竹田麗央も3アンダー(69・24位タイ)につけた。低い弾道と粘りのアプローチで過酷なハワイの風を攻略し、上位へ顔を覗かせている。

事前会見でリディア・コーが語っていたように、「風には勝てないのだから、目の前の条件を受け入れてプレーするしかない」というのが、トッププロの共通認識であり、美学だ。自然をコントロールしようとするのではなく、自然に順応し、自らの弾道とメンタルをコントロールする。

2日目以降、ハワイ特有の風がさらに牙をむいた時、誰が真のコントロール力を発揮し、このサバイバルを抜け出すのか。息詰まる攻防から目が離せない。

写真/LPGA & Getty Images

【動画・約20分】ロッテ選手権初日、日本勢ハイライト【LPGA Japan公式YouTube】

画像: 日本勢ハイライト 初日|2026 ロッテ選手権 www.youtube.com

日本勢ハイライト 初日|2026 ロッテ選手権

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