徹底された「低い球」と完璧なショット&パット

囲み取材ではパッティングの重要性を語っていたキム・アリム
ラウンド後、ノーボギーの快進撃を支えた要因を問われたキム・アリムは、端的にこう答えた。
「風が非常に強かったので、弾道をコントロールして低く抑えること、そしてパッティングが最も重要でした」
強風下において、ボールを不必要に高く上げず風の影響を最小限に抑える「低い球」のコントロールこそが、このコースを制する生命線だったのだ。
彼女の言葉は、完璧なスタッツにも裏打ちされている。フェアウェイキープ率71.4%(10/14)、パーオン率88.9%(16/18)と、悪天候の中でも抜群のショット精度を見せつけた。さらに27パットというグリーン上の安定感に加え、サンドセーブ率も100%(1/1)を記録。強風下での緻密な弾道コントロールと、チャンスを逃さない勝負強さが、この日の完璧なスコアを生み出したと言える。
追撃する上位陣もまた、ハワイの気候に対する見事な適応力を見せている。
6アンダーで2位タイにつけたユン・イナも、「AIG全英女子オープンやスコットランドでの経験から、強風には慣れつつある」と語り、風への耐性を武器にした。彼女もまた「低い球を打つよう心掛けた」と明かしたが、同時に「雨でグリーンが柔らかかったので、低い球でもすぐに止まってくれた」と、コースコンディションを的確に把握し、逆手にとっていた。7バーディ(1ボギー)を奪い、フィールド最小タイとなる「25パット」で次々とミッドレンジを沈めたパッティング力も圧巻だった。
また、5アンダーの4位タイにつけたジーノ・ティティクルは、雨による中断がもたらしたコースの変化を見逃さなかった。
「雨が降ってグリーンが遅く、柔らかくなったので、よりアグレッシブにピンを狙っていけるようになった」
悪天候をマイナスと捉えるのではなく、ピンをデッドに攻めるチャンスと捉え直す「逆転の発想」が、5バーディ・ノーボギー(パーオン率 16/18)という見事なスコアメイクに繋がったのだ。
山下美夢有ら日本勢も好調な滑り出し! 低い弾道と粘りで10位タイにずらり
さらに、日本のゴルフファンにとって頼もしいのが日本勢の好発進だ。
山下美夢有が4アンダー「68」(パーオン率88.9%)を叩き出したのを筆頭に、西郷真央、岩井明愛、吉田優利が4アンダー(10位タイ)に並び、笹生優花や竹田麗央も3アンダー(69・24位タイ)につけた。低い弾道と粘りのアプローチで過酷なハワイの風を攻略し、上位へ顔を覗かせている。
事前会見でリディア・コーが語っていたように、「風には勝てないのだから、目の前の条件を受け入れてプレーするしかない」というのが、トッププロの共通認識であり、美学だ。自然をコントロールしようとするのではなく、自然に順応し、自らの弾道とメンタルをコントロールする。
2日目以降、ハワイ特有の風がさらに牙をむいた時、誰が真のコントロール力を発揮し、このサバイバルを抜け出すのか。息詰まる攻防から目が離せない。
写真/LPGA & Getty Images
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