
三ヶ島かな(撮影/有原裕晶)
今回取り上げるのは、国内メジャー「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」での優勝を経験を持つ三ヶ島かなプロ! 今季も【平均飛距離:236ヤード(59位)】と飛距離はツアー平均クラスながら、安定感のあるフェードボールで堅実なプレーを展開している。
今回完全再現した彼女のドライバーは、高初速、そして直進性に優れるタイトリスト「GTS2」に、シャフトは名器の呼び声高いグラファイトデザイン「ツアーAD PT(5S)」という組み合わせ。そして注目すべきは、そのヘッドロフトが「11度」という点だ。今回もグリップのフィーリングまで本人仕様に合わせたスペシャルな1本を用意した。
試打環境はインドア、計測器はトラックマン4、計測用ボールは室内測定でも高精度に測定可能なタイトリスト「ProV1 RCT」ボールを採用

トラックマン4、タイトリスト「ProV1 RCT」を使用
アマチュアのお手本?「直進性ヘッド11度×中調子の名器」の狙い

(画像:「GTS2(11度)」、シャフトは「ツアーAD PT(5S)」 ※プロはクラブを替える頻度が高いため、バランスは一般的なD2程度で試打(グリップは同ブランドを用意)
直進性が高くキャリーで飛ばせるヘッドに、多くのプロが愛用するクセのない中調子シャフト。今まで試打した女子プロスペックの中では比較的オーソドックスな組み合わせだが、ポイントはハイロフトの「11度」をあえて選んでいる点だ。その理由に堀越プロと編集部が迫る。
試打者/ほりこし・よしかず 試打経験に裏打ちされた豊富な知識と確かな試打技量で、大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。クレアゴルフフィールド所属
編集部:三ヶ島プロといえば、安定したフェードボールが持ち味です。彼女のセッティングは『GTS2(11度)』に『ツアーAD PT(5S)』という組み合わせですが、堀越プロ、このスペックを見た第一印象はいかがですか?

インパクト後の写真でもややハンドファーストが保たれている(撮影/岡沢裕行)
堀越プロ:タイトリストの『GTS2』は直進性に優れたモデルで、オフセンターヒットにも強く、キャリーが安定して狙える安心感のあるクラブですね。そしてシャフトの『ツアーAD PT』は、発売以降多くのプロが使用している「名器」と言われているシャフトです。キックポイントは中調子で、先端もガチガチではなく程よい剛性感のため、全体がしなるような感覚が特長です。
編集部:ロフト11度というヘッドですが、球が高く上がりすぎてしまわないのでしょうか。
堀越プロ:プロのセッティングとしては11度というのはハイロフトですが、スウィング写真を見ると、三ヶ島プロは打点が少し上めに来ているように見えるんです。打点が上に来ることでインパクトでロフトが若干寝て、打ち出し角をさらに上げやすくなります。上めで当たるためスピンも減ってくれる。つまり、11度というロフトとこの打点によって『高弾道・低スピン・高初速』という飛びの3要素を作りやすい状態になっていると言えます。また、シャフトの『ツアーAD PT』も中調子ながら先端が少し走って球がつかまりやすいため、初速アップにもしっかり貢献していると思います。
編集部:なるほど。スウィングとの相性という面ではどうでしょうか?
堀越プロ:三ヶ島プロは若干ハンドファーストでボールをとらえる印象があります。ハンドファーストに当てるとロフトが立つ傾向があるためどうしても球が低くなりがちですが、この11度というハイロフトと、上部オフセンターヒットにも強い『GTS2』のヘッド特性がそれをうまく相殺して、フェードでも適切な打ち出し角とスピン量を確保しているのでしょう。一般的にはフェードは距離が出ないと思われがちですが、ハイロフトでしっかり球をつかまえて打つことで、効率よくキャリーを出せて平均距離が伸びるセッティングだと思います。
実際に試打を開始!
一般的なアマチュア男性ゴルファーを想定し、平均ヘッドスピード42m/s前後で試打
※10球試打したうちの平均値を算出
●キャリー/217.6Y
●総飛距離/247.0Y
●ボール初速/61.3m/s
●打ち出し角/12.4度
●スピン量/2467rpm
堀越プロ:打ってみると、やはりヘッドとシャフトの素直さが際立ちます。高めの打ち出し角でスピンも適正に抑えられており、中~高弾道の弾道が出ました。
編集部:ロフト11度というヘッドはどうですか? またどのようなプレーヤーに合うのでしょうか?
堀越プロ:まさに「アマチュアの教科書」と言える組み合わせです。球が低い、キャリーが出ないというアマチュアゴルファーは非常に多いのですが、そういった方には、ロフト11度や12度を使って打ち出し角を確保し、安定したキャリーを出すことを強くおすすめします。実際アマチュアゴルファーのクラブを見ると、見栄を張ってロフトの立ったオーバースペックのクラブを使い、シャフトやヘッドのポテンシャルを引き出せていない方が多く感じますからね。
編集部:ハイロフトは、アマチュアには大きなメリットなるんですね。
堀越プロ:少し前にミニドライバー(12度〜13度)が流行りましたが、アマチュアの方から「ミニドライバーの方が通常のドライバーより飛んでいる」という話をよく聞きました。これはまさに、ロフトがあることで適正な打ち出し角とスピンで、結果的にキャリーが伸びて飛距離が出ている証拠だと思います。今回のドライバーは、ハイロフトの優位性を実感できる素晴らしいセッティングだと思います。
堀越プロの総評

今回の三ヶ島かなプロのセッティングは、まさにアマチュアゴルファーのお手本と言える非常に実戦的なクラブでした。
若干ハンドファーストでボールをとらえる彼女のスウィングに対して、『GTS2』の11度を合わせることで、フェードでも飛距離をロスしない打ち出し角と適正なスピンを見事に確保しています。全体が素直にしなる『ツアーAD PT』との組み合わせもタイミングが取りやすく、プレッシャーのかかる場面でも安定したフェードをフェアウェイへ運べるので、ストレスを感じるティーショットが少なくなると思います。
このセッティングは、ドライバーで「球が上がらない」「キャリーが出ずにランばかり出てしまう」と悩むアマチュアにとって、とてもいいお手本になると思います。
「ハイロフトは飛ばない」というのは大きな誤解で、アマチュアの多くがオーバースペックからくる力みなどでドライバーを難しいクラブにしてしまいがちです。もしドライバーの飛距離や安定性に悩んでいるなら、三ヶ島プロのようにあえてロフト角を10.5度〜12度のハイロフトモデルに変更し、シャフトはクセのない中調子を選んでみてください。打ち出し角が確保されるだけで、今まで以上のビッグキャリーと安定感を体感できるはずですよ!
次回の「女子プロドライバーほぼ完コピ試打」もお楽しみに!
協力/トラックマン、タイトリスト、グラファイトデザイン、クレアゴルフフィールド

