風と砂丘が織りなす極限のサバイバルとなった「第17回アジアパシフィックアマチュア選手権(AAC)」2日目。テ・アライリンクス サウスコース(6842ヤード・パー71)に吹き荒れる太平洋からの強風がリーダーボードを大きく揺さぶる中、王者の貫禄を見せたのはディフェンディングチャンピオンのフィファ・ラオパクディー(タイ)だった。初日に圧巻の「63」を叩き出したラオパクディーは、2日目を2バーディ・3ボギーの「72(1オーバー)」にまとめ、通算7アンダーで単独首位の座を死守。そして王者を1打差で追う首位争いには、地元の知見と大声援を背にしたニュージーランド勢が2位から4位を独独占する怒涛の猛チャージを見せている。

「松山英樹以来の連覇へ」——90度曲がる風に耐え抜いた王者の執念

画像: 松山英樹以来の連覇を目指すフィファ・ラオパクディー

松山英樹以来の連覇を目指すフィファ・ラオパクディー

同室の選手を起こさぬよう、朝4:45にスマートウォッチのサイレント振動で起床し、5:30の開場と同時に一番乗りで練習場に入ったラオパクディー。前半は3バーディ・1ボギーの「34」と見事なコントロールショットでスコアを伸ばしたが、風が一層強まった後半のインコースでは耐える展開を強いられた。

「5フィート(約1.5m)のパットで、風の影響でボールが90度近く折れ曲がった」と振り返る通り、強風に煽られた13番、15番で3パットボギー。それでも上がりの難関ホールを忍耐強くパーで凌ぎ切り、通算7アンダーで首位を保持した。

「今朝もメンタル本(『The Inner Game of Golf・日本語訳:新インナーゴルフ』)を読み、心の中の雑音を消して臨んだ。後半は風に気を取られて集中が乱れそうになったが、2日間で7アンダーというスコアは週末に向けて最高のポジション。AACの歴史で連覇を成し遂げたのは2010年・2011年の松山英樹さんしかいない。その偉大な足跡に並ぶため、このプレッシャーを存分に楽しみたい」

王者のメンタルと我慢強さが、過酷なリンクスで揺るぎない輝きを放っている。

地元「キウイ」の逆襲! クーパー・ムーアが単独2位、スワンウィックが「67」の猛チャージ

画像: 左から2位のクーパー・ムーア、3位のライアン・シー、4位のザッカリー・スワンウィック

左から2位のクーパー・ムーア、3位のライアン・シー、4位のザッカリー・スワンウィック

首位のラオパクディーを猛追するのが、コースと風を知り尽くした地元ニュージーランド(NZ)勢だ。

通算5アンダーで単独2位につけたのは、18歳のクーパー・ムーア。午後の暴風が吹き荒れる時間帯のラウンドでありながら「70(1アンダー)」を叩き出した。圧巻は最終18番(パー5)。約236ヤードのアゲインストからセカンドを5番アイアンでグリーンに運ぶと、イーグルパットはピンを直接狙わず「15フィート右・15フィート奥」の大きな傾斜を巧みに使ってピンそばへ寄せる、まさに地の利を生かした攻め方を披露し、なんなくバーディフィニッシュ。

【動画】これぞ地の利! クーパー・ムーア、2日目18番で魅せた傾斜を利用したパッティング【APAC公式X】

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「暴風で本当に過酷なラウンドだったが自分を誇りに思う。地元ファンの歓声を背に、最高の勢いで週末に向かうことができる」とムーアは胸を張った。

さらに通算4アンダーの3位には、3番(パー4)で暴風の中ドライバーを振り抜き、40フィートの下りラインを沈めて圧巻のイーグルを奪ったライアン・シー(NZ)。今年の全英王者ライアン・フォックスと同じ高校・同じコーチのもとで育った後輩である18歳が「競技ゴルフでプレーした中で一番タフな風だったが、本当に誇らしい」と白い歯を見せた。

そして通算3アンダーの4位には、前日のレンジ練習で低い弾道(ノックダウンショット)を磨き、この日のフィールドベストタイとなる「67(4アンダー)」を叩き出した大本命ザッカリー・スワンウィック(NZ)が跳ね上がってきた。同組の首位ラオパクディーが「今日のザックのパッティングは凄まじかった」と脱帽するほどの冴えを見せたスワンウィック。「ホームの風は僕らの味方だ」と手応えを語り、トップ5の中に地元勢が3名ひしめく熱狂の展開となった。

週末の決戦へ——運命の最終組対決

画像: 今フィールドでWAGR(世界アマチュアランキング)最高位のハリー・タキス

今フィールドでWAGR(世界アマチュアランキング)最高位のハリー・タキス

今フィールドでWAGR(世界アマチュアランキング)最高位のハリー・タキス(オーストラリア)は通算3オーバーの14位タイと伸び悩んだものの、「このコンディションなら7打差は一瞬でひっくり返る。週末に勝負をかける」と巻き返しを誓う。

明日3日目の最終組(12:04スタート)は、首位ラオパクディーに、地元NZのムーアとシーが挑む三つ巴の直接対決。さらに1組前(11:53スタート)では、地元大本命のスワンウィックに、日本勢トップの佐藤快斗(5位)、本大志(6位タイ)が挑む注目のペアリングが実現した。風が吹き荒れるサウスコースで、週末の壮絶なサバイバルが幕を開ける。

写真/大会提供


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