「松山英樹以来の連覇へ」——90度曲がる風に耐え抜いた王者の執念

松山英樹以来の連覇を目指すフィファ・ラオパクディー
同室の選手を起こさぬよう、朝4:45にスマートウォッチのサイレント振動で起床し、5:30の開場と同時に一番乗りで練習場に入ったラオパクディー。前半は3バーディ・1ボギーの「34」と見事なコントロールショットでスコアを伸ばしたが、風が一層強まった後半のインコースでは耐える展開を強いられた。
「5フィート(約1.5m)のパットで、風の影響でボールが90度近く折れ曲がった」と振り返る通り、強風に煽られた13番、15番で3パットボギー。それでも上がりの難関ホールを忍耐強くパーで凌ぎ切り、通算7アンダーで首位を保持した。
「今朝もメンタル本(『The Inner Game of Golf・日本語訳:新インナーゴルフ』)を読み、心の中の雑音を消して臨んだ。後半は風に気を取られて集中が乱れそうになったが、2日間で7アンダーというスコアは週末に向けて最高のポジション。AACの歴史で連覇を成し遂げたのは2010年・2011年の松山英樹さんしかいない。その偉大な足跡に並ぶため、このプレッシャーを存分に楽しみたい」
王者のメンタルと我慢強さが、過酷なリンクスで揺るぎない輝きを放っている。
地元「キウイ」の逆襲! クーパー・ムーアが単独2位、スワンウィックが「67」の猛チャージ

左から2位のクーパー・ムーア、3位のライアン・シー、4位のザッカリー・スワンウィック
首位のラオパクディーを猛追するのが、コースと風を知り尽くした地元ニュージーランド(NZ)勢だ。
通算5アンダーで単独2位につけたのは、18歳のクーパー・ムーア。午後の暴風が吹き荒れる時間帯のラウンドでありながら「70(1アンダー)」を叩き出した。圧巻は最終18番(パー5)。約236ヤードのアゲインストからセカンドを5番アイアンでグリーンに運ぶと、イーグルパットはピンを直接狙わず「15フィート右・15フィート奥」の大きな傾斜を巧みに使ってピンそばへ寄せる、まさに地の利を生かした攻め方を披露し、なんなくバーディフィニッシュ。
【動画】これぞ地の利! クーパー・ムーア、2日目18番で魅せた傾斜を利用したパッティング【APAC公式X】
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x.com「暴風で本当に過酷なラウンドだったが自分を誇りに思う。地元ファンの歓声を背に、最高の勢いで週末に向かうことができる」とムーアは胸を張った。
さらに通算4アンダーの3位には、3番(パー4)で暴風の中ドライバーを振り抜き、40フィートの下りラインを沈めて圧巻のイーグルを奪ったライアン・シー(NZ)。今年の全英王者ライアン・フォックスと同じ高校・同じコーチのもとで育った後輩である18歳が「競技ゴルフでプレーした中で一番タフな風だったが、本当に誇らしい」と白い歯を見せた。
そして通算3アンダーの4位には、前日のレンジ練習で低い弾道(ノックダウンショット)を磨き、この日のフィールドベストタイとなる「67(4アンダー)」を叩き出した大本命ザッカリー・スワンウィック(NZ)が跳ね上がってきた。同組の首位ラオパクディーが「今日のザックのパッティングは凄まじかった」と脱帽するほどの冴えを見せたスワンウィック。「ホームの風は僕らの味方だ」と手応えを語り、トップ5の中に地元勢が3名ひしめく熱狂の展開となった。
週末の決戦へ——運命の最終組対決

今フィールドでWAGR(世界アマチュアランキング)最高位のハリー・タキス
今フィールドでWAGR(世界アマチュアランキング)最高位のハリー・タキス(オーストラリア)は通算3オーバーの14位タイと伸び悩んだものの、「このコンディションなら7打差は一瞬でひっくり返る。週末に勝負をかける」と巻き返しを誓う。
明日3日目の最終組(12:04スタート)は、首位ラオパクディーに、地元NZのムーアとシーが挑む三つ巴の直接対決。さらに1組前(11:53スタート)では、地元大本命のスワンウィックに、日本勢トップの佐藤快斗(5位)、本大志(6位タイ)が挑む注目のペアリングが実現した。風が吹き荒れるサウスコースで、週末の壮絶なサバイバルが幕を開ける。
写真/大会提供
