「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は2代目「スリクソンZXiアイアン」の人気の理由について考えた。
画像: 新作も評価が高いスリクソン「ZXi」シリーズのアイアン

新作も評価が高いスリクソン「ZXi」シリーズのアイアン

開発の方向性がブレてない!

みんゴル(以下、み):「スリクソンZXiシリーズ」のアイアンが前作に続いて売れているようです。人気を集めている理由はなんでしょう。

宮城:ぼく自身もアイアンで一番好きなブランドはスリクソンです。理由はいろいろありますが一番評価しているのは開発の方向性がブレないところです。

み:具体的にはどんなところですか?

宮城:機能面でいえばアマチュアにもおすすめできるのはソール形状です。

み:「Z745」や「Z545」以来、スリクソンのアイアンにはツアーVTソールが採用されています。ダンロップは抜けの良さをアピールしています。最近は3面カットのソールが流行りですが山型のツアーVTソールにはどんな利点がありますか?

宮城:プロの間では賛否両論あり、中には平らに削って使っているプロもけっこういますが、実はアマチュアにとっては飛ぶソールなんです。前側の大きめのバウンスが地面に当たったときにロフトを立てるはたらきをするからです。

み:なるほど。それ以外にもスリクソンアイアンの優れた点はありますか?

宮城:どのモデルも手を抜かず最善を尽くすところはダンロップのすごいところです。たとえば初代「ZXi7」で素材をS20CからS15Cに換えたときにコンデンス鍛造という手法でネックを強化しました。これは2代目にも受け継がれています。最近はアイアンでS15Cを採用したモデルが増えていますが、他社製品でそこまでやっているという話は聞いたことがありません。

み:なぜダンロップはそこまでやるのでしょう?

宮城:耐久性をないがしろにしないのは、上場メーカーであるダンロップの社風かもしれません。ドライバーではそのことでマイナス評価になる可能性もありますが、「ZXi RKTシリーズ」では完全に払拭されています。

み:過剰品質ということはありませんか?

宮城:いいえ。今日たまたまある男子プロが1年振りにアイアンの調整に来ました。素材はS20Cですが測ってみたらライ角が最大2度、ロフトも1度くらい狂っていました。自分で曲げてみるとわかるのですがS15Cは明らかにS20Cよりもやわらかいので、ネックの強化されていないS15Cヘッドをプロが使うと2ヶ月も持たないでしょう。

み:なるほど。私みたいなダッファーも要注意ですね。ところで新しい「ZXi7」をプロに試打してもらったのですが、初代よりも打感が少し硬くなったという意見もありました。

宮城:ネックが硬いと振動が収まりにくく、それを硬さと感じることもあります。また、S15Cはスコアラインが摩耗に耐えられる限界の軟らかさです。2代目「ZXi7」は摩耗対策で熱処理でフェース面だけ硬くしているようなので、打音が高くなったことを打感が硬いと評価しているのかもしれません。でも内部は軟らかいし、ぶつかる相手がゴムのボールなので打感そのものは変わりません。「ZXi7」はS15Cのいいところを残してデメリットを解消したアイアンといえます。さらに「ZXi7」と「ZXi5」が優れているのは、いまも日本の工場で作られているので一つ一つのヘッド形状が安定していることです。

み:個人的には中空の「ZXiR」も気になっています。

宮城:以前からあるアイアン型UTは2、3、4番しかなかったけれど、「ZXiR」や前作の「ZXi4」は最初からフルセットで作られています。女子プロがやさしい5番や6番を欲しがるようになってきたことが背景にありそうですが、顔はちゃんとスリクソン。マッスルバックの「ZフォージドII」から「ZXiR」まで幅広くカバーしているところにスリクソンの本気を感じます。


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