ゴルファーの“ウマイ!”を追求するこの企画。今回は創業明治38年。上野に店を構えて100年以上の「ぽん多本家」をご紹介いたします。常識を覆すこのロースカツ、ぜひ一度ご賞味いただきたい一品です!
JR御徒町駅から徒歩5分。一見和食屋のような門構え。上質な木のぬくもりが溢れる店内に歴史の趣を感じます。
創業者の島田信二郎氏が“カツレツ”の生みの親。今となっては豚カツという呼び名のほうが有名ですが、この豚カツという言葉は大正時代に生まれた言葉。明治創業のぽん多は今でも“カツレツ”という名前にこだわる理由はここにあります。
ぽん多本家のカツレツはロース肉を使うけれど脂身をすべて削ぎ落とします。赤身と脂身は火が通る温度が違うので、一緒に揚げると火が通り過ぎて赤身の部分が固くなってしまうとのこと。削ぎ落とした脂身を炊いて、自家製のラードを作り、そのラードでカツを揚げることで油が肉に馴染みやすいんですって。
3㌢はあろうかというロースを丁寧に叩き、邪魔な歯触りになる肉の繊維を断つところから始めます。叩いた肉を形成し直して、揚げていきます。
塩コショウ、小麦粉、卵につけ、パン粉をまぶして揚げていきますよ。自家製ラードに潜らせると「ジュワ~…パチパチ」といい音が店内に響いてきます。
「泡が変わったでしょ?お肉に火が入っていっていている合図なんですよ」
そういうとおもむろにカツレツをすくい上げる島田さん。黄金色のカツが出来上がりました。これがウワサの…!!低温の油から時間をかけて揚げていくので、全体の色はやや薄め。
中はほんのりピンク色のカツレツが完成。「最初のひとつはそのまま召し上がってみてください」という島田さんのひとことで、早速ひとつ口へ運びます。
サクッとした香ばしい衣のあと、スーッと歯が通ったかと思えば、肉の旨味が口いっぱいに広がります。こんなにしっとりした豚肉、食べたこと無い…!揚げ物なのに油のしつこさを感じません。
ソースとからしをつけてもうひと口。甘い!肉ってこんなに甘いのか!というほどに甘みを感じます。ぽん多本家のソースは辛口なので、肉の甘みをより引き立てているのだそうです。
かつて「上野トンカツ御三家」と言われていたのですが、ひとつは閉店、もうひとつはずいぶんと変わってしまったとのこと。今となっては御三家の中でも、昔ながらの製法を守り続けている唯一のお店になってしまったんですって。
昔から変わらぬこだわりが100年以上の歴史を紡いで味に出ているぽん多本家。ここに来ないと食べられないこの味をこの先も守り続けてほしい。心からそう思える一品でした。
住所 東京都台東区上野3-23-3
電話 03-3831-2351
営業時間 [火~土]11:00~14:00(L.O.13:45) 16:30~20:00(L.O.19:45) [日・祝]11:00~14:00(L.O.13:45) 16:00~20:00(L.O.19:45)ランチ営業、日曜営業
定休日 月曜(祝日の場合火曜休)