トラックマンなどの“打球解析”機器の普及によってプロの技術レベルは格段にあがっている。かつていたスピン量多めのプロは減り、2000~2500回転でみんなが打ち始めた。そうなると、ボールの性能効果による飛距離アップは難しく、伸びしろはかなり限られてくる。
GD さらにPGAツアーの飛距離が伸びる可能性はどこに残されているのでしょう。
宮川 「飛んで止まる」の追求はまだ余地がありますが、飛距離だけで言うとボールの打ち出し初速を上げることと、ディンプルが重要です。
GD 最近のボールはディンプル数が減る傾向にありますよね。
宮川 そうですね。表面占有率って呼んでいる、ボール表面全体の中でディンプルになっている部分の割合を少しでも増やそうって考え方です。それによってスピンが多いときに吹けにくい傾向が見えてきていたりするので、今は少数、大径、少しでも表面占有率を高くするというのが、各メーカーが向いていると思います。
GD 配置、デザインとかも各社いろいろじゃないですか。大きいディンプル、小さいディンプル、混ぜたりするのはやっぱり効果があるんですか?
宮川 TourBだとデュアルディンプル、PHYZではデルタウイングディンプルなど採用しています。空力特性を解析することで昔のディンプルに比べたら、15~20ヤード飛距離が違うと思います。
GD ディンプルでそんなに! ソリッドボールに関していえば、ブリヂストンが一番最初に成功したメーカーじゃないですか。その優位性ってなにか感じるものあるんですか?
宮川 そうですね。ボールはある意味“特許戦争”だったり、配合だったりしますから、他社ができないことはまだまだあると思っています。
GD ブリヂストンゴルフに代わって、ディンプルも変わりましたが、プロの意見はどうなんですか?
宮川 ディンプルの中に小さいディンプルが存在するデュアルディンプルを採用していて、飛距離が出ると言って頂いています。また飛んで止まるという部分もだいぶ両立できてきているので、プロの要求もちょっとずつ変わってきています。アゲンストで強いとか、ラフからでもフライヤーが出にくいとか、細かい部分になってきています。
GD そうなんですね。
宮川 今回のTOUR B330シリーズ(以下TOUR B)はフルショットでは低スピン、グリーン周りではスピンがよくかかる、ファーストカットやラフからでも安定したスピンが得られるとプロからの評価ももらっています。新しいコーティングの効果が出ているのかもしれません。
GD コーティングの効果ってそんなあるんですか? 今回のTOUR Bもコーティングが施されていますが。
宮川 コーティングの効果は間違いなくありますね。もともとコーティングは施されていますが、今回のTOUR Bには滑りにくい特殊なコーティングを採用しています。フェースとボールの接触部分で一番重要なところであると思うので、私が考えていた以上にプロはその効果を感じているようです。スピンが安定する、ポッコンが出にくいというコメントもいただいています。
GD それはアプローチ領域の話だと思うのですが、ティショットではどうなんでしょう。
宮川 パワーミーリングが搭載されているドライバー同様、ボール開発側からみてもかなり期待できます。インパクトでフェースとボールを滑りにくくすることでロフトが立った条件で、低スピン効果が期待できます。
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