先日、PGAツアーでジム・フューリックが「58」という世界新記録を作ったことは記憶に新しい。
すべてのホールでバーディ獲れればスコアは「54」。この数字に一歩近づいたわけだが、この「54」を目標にしてレッスンするのが、かつてアニカ・ソレンスタムや宮里藍を教えたピア・ニールソンだ。
彼女が提唱する「54ビジョン」、今週の月⇒金コラムでは、この“頭脳のレッスン”のいくつかのポイントを紹介していこう。
ゴルフ特有の“奇妙な”常識を疑おう
絶対的女王として君臨したアニカ・ソレンスタム、それ以前のリサロッテ・ノイマンの活躍で、スウェーデンのゴルフが注目を集めました。しかし、ツアー会場の練習場では、アニカだけがずば抜けてすごい球を打っているわけではありません。同じように素晴らしい球を打っている選手は他にも30人はいるはずです。
では、何が違うのか。結論から言うとスコアリングナレッジ(スコアメークするための知識)がちがうんです。ゴルフは特殊なスポーツで、実際のラウンドとまったく関係ない場所での練習を強いられます。そのために必要なのがスコアリングナレッジなんです。それだけで、5ストロークは違ってきても不思議ではありません。
パット練習も
実戦同様“1個”で行う
ここで質問です。「スタート前の練習グリーンで、あなたはボールを何個使いますか?」
2個ないし3個という人がほとんどでしょう。じゃあ、なぜ3個なんですか? そこに特別な根拠がありますか?
そんなこと、考えたこともないとおっしゃるでしょうね。理由があるとすれば、パッケージに入っているボールの数が3個だからでしょう。それ以外は考えられません。ボール3個でプレーするわけじゃないし…。
もしラウンドと同じ状態で練習したいのであれば、ボールは1個であるべき。そして“カップイン”するまでそのボールに集中することです。
誰でもゴルフが上手くなりたいはず。練習場では上手くいくのに、実際のラウンドでは上手くいかない、と悩んでいる人がいるならば、それは本番に役立つ練習をしていないからです。無駄な練習はスッパリとやめてください。300球打っていたのを100球に減らしても上達はできます。当然のことながら“量”より“質”です。
もうひとつ。「パー72って、誰が決めたのか」。何十年も前からそうなっているというだけでは答えになりません。そんな昔のルールが、今もまかり通っていることに疑問を感じませんか? これだけ、道具も技術も進歩しているのに。
例えば距離の短いパー5のホールがあったとします。でも「ここはパー4だよ」と言われたら、あなたはどうしますか。当然パー4のつもりでプレーすると思います。そのくらいにパー4、パー5の概念はあやふやなものです。
思い込みによって人間はどちらにも対応してしまう。では、パーはいくつが妥当なのか。実は、これこそが、私たちスウェーデン選手のテーマ。すべてのホールでバーディが奪えれば、スコアは「54」です。この54が私たちのキーワード「54ビジョン」なのです。
私たちは18ホール「54」を目標においた練習をします。「そんなのできるわけない」と決めつけるのは勝手です。でも、いつか54というスコアを出すんだと思えるかどうかで、上達度はまったく違ったものになるでしょう。
短期的に実現できる
目標を持っていますか
「54」というスコアを出すことは大きな目標です。それとは別に、ショートタームの(短期的な)目標を設定しています。
その場合、「○○○しないぞ」というネガティブなものではなく、「こうしよう」とポジティブな目標にします。
人間は不思議なもので「その箱を開けちゃダメよ」と言われるとかえって開けたくなるものです。だから「3パットしちゃいけない」とか「バンカーに入れたくない」というのも禁物。逃げていてはハザードから逃れられません。「フェアウェイ真ん中を狙う」といった前向きな姿勢が54ビジョンの基本です。
例えば、短期的な目標として、「グッドショットしてもミスしても、同じ姿勢を保って、同じ速度で歩こう」という目標を立ててみてはどうでしょう。精神状態だけでなく、同じ“姿勢”を心がけることでも結果は変わってきます。
ゴルフはずっと右肩上がりで上達するわけではありません。3歩進んで2歩下がって、また3歩進む。その繰り返しです。だからこそ日々、実行できる短期的な目標を積み重ねていくことに意味があるんです。
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