情報を集め考える「シンクボックス」
思考を一切しない「プレーボックス」

ショットを成功させるには、打つ前にどのようなプロセスを経るかが重要です。グッドショットのためにプレーヤーがやるべきことは大きく分けて3つあります。

画像: Pia Nilsson(ピア・ニールソン)。58年、スウェーデン生まれ。米・欧州ツアーで活躍し、通算8勝を挙げる。その後、スウェーデンナショナルゴルフチームのヘッドコーチに就任。アニカ・ソレンスタムのほか、世界に通用する選手を多く育てた。99年レッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞

Pia Nilsson(ピア・ニールソン)。58年、スウェーデン生まれ。米・欧州ツアーで活躍し、通算8勝を挙げる。その後、スウェーデンナショナルゴルフチームのヘッドコーチに就任。アニカ・ソレンスタムのほか、世界に通用する選手を多く育てた。99年レッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞

あらゆる要素を加味して、目の前のショットを成功に導くために何をすればよいかを考える“Think Time”

集めた情報をもとに打ちたい球筋を割り出す“Decision Making”

それを実行する“Do Time”の3つです。

「54ビジョン」では、このプロセスを明確にするために「シンクボックス~Think Box」「プレーボックス~Play Box」を活用します。

ボールの後方1メートルのところに、1本の線=ラインがあるところをイメージします。蛍光塗料で描かれた線を思い描くとより鮮明にイメージできます。そのラインを境界にして「シンクボックス」と「プレーボックス」の2つのエリアに分けます。

画像: 野球でいうところのネクストバッターズサークルのようなもの。状況判断やクラブ選択などはここですべて済ませておこう。素振りもシンクボックスの中だ

野球でいうところのネクストバッターズサークルのようなもの。状況判断やクラブ選択などはここですべて済ませておこう。素振りもシンクボックスの中だ

「シンクボックス」ではライや風の状況を観察。スウィングのチェックポイントを確認し、頭の中のコンピュータを駆使してこれから打つショットの青写真を描きます。

打つショットをイメージし、「こうする!」と決めたら、仮想のラインを越えて「プレーボックス」に入ってボールと向き合います。3つのプロセスのうち、2番目の“Decision Making”までを「シンクボックス」で完成させるのです。

車を運転するときにハンドルを
どれくらい回す、なんて考えますか?

画像: プレーボックスのラインを跨いだら、スウィングのことは考えない

プレーボックスのラインを跨いだら、スウィングのことは考えない

いったん「プレーボックス」に足を踏み入れたら、スウィングのメカニックなど余計なことは考えず、自分とターゲットだけの世界に浸って体が動くままに任せましょう。

画像: プレーボックスではスウィングのことなどメカニックなことは考えない。ちなみに人間の脳が意識的に集中力を保てるのは6秒から10秒。それ以上長い時間をアドレスにかければ、意識は散漫になる。構えが長すぎたな、と感じたら「シンクボックス」に戻るようにしよう

プレーボックスではスウィングのことなどメカニックなことは考えない。ちなみに人間の脳が意識的に集中力を保てるのは6秒から10秒。それ以上長い時間をアドレスにかければ、意識は散漫になる。構えが長すぎたな、と感じたら「シンクボックス」に戻るようにしよう

「プレーボックス」ですべきことは車の運転と同じです。運転中、左折するとき、ハンドルを何十度左に回すとか手の位置のことは考えませんよね? 無意識に一連の動作をやっています。それをゴルフでもやればいいのです。

構えてから「どこかしっくりこない」と思ったら、ラインを越えて再び「シンクボックス」に戻り、頭の中を整理してから、「プレーボックス」に帰る。これらのプロセスが無意識にできるようになったとき、ナイスショットの確率は驚くほどに上がっているはずです。


「チョイス」2010年5月号より抜粋

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