自分がいま、その場でなにを
しているのかを強く意識する
96年のマスターズで、ニック・ファルドに逆転されたグレッグ・ノーマン。そのとき彼は、こんなコメントをしていました。「なにがあっても大丈夫だと思った」「なにも悪くなかった」という意味の言葉ばかりを並べていました。
しかし本当にそうだったのでしょうか。平静を装いながら実は平静でないというのは、表情や動作を見ればわかります。例えば緊張しているとき。近くに咲いていた花の色を覚えていますか。ティペグが何色だったか覚えていますか。平静を装っても、心がふわふわと浮き上がったり、心配事があると、そういう些細なものが見えなくなってしまいます。それで歯車が狂いはじめる。
そんな状態から脱するには、自分がいま、その場でなにをしているかを強く意識することです。シューズを履いている足の裏で芝の傾斜を意識的に感じてみる。足元に咲いている花の匂いをかいでみる。そうすることで、“この瞬間”に心を引き戻すことができます。
自分がなにをしているかということより、人にどう見られているかを考えているようではダメ。インナー(内側)とアウター(外側)のバランスをいかに保つかが重要です。
湧き上がった感情はなんであれ、その都度処理するべきでしょう。嬉しいときは喜び、怒りは取り出してゴミ箱に捨てるといったように。タイガーのようなガッツポーズをしろとか、パターを蹴飛ばして怒れと言っているわけではありません。嬉しければ心の中で微笑むだけでもいいし、悔しければ感情に訴えずになんらかのシグナルを使って区切りをつければいい。自分にウソをつくのが一番いけない。
楽しくてリラックスしていた
瞬間のことを思い出そう
怒りを鎮める方法として、私は大好きな甥や姪と遊んでいるときのことを考えます。それ以外になんでもいいんです。楽しくてリラックスしていた瞬間のことを思い出せば、自然と心が和み、余裕が生まれます。
どんなにゴルフが上手くても、またはプロゴルファーだからといって、普通の感覚を持つことが大事。それがあれば、ゴルフをする喜びを感じられます。99年、再起不能といわれたオラサバルがマスターズで勝ったとき、「コースを歩けるだけでうれしい」と言っていましたが、そういう感情はゴルフをできるのが当たり前と思っている人には湧いてきません。芝の感触、風の流れ、木々の輝き…、それらを心から実感することで、あなたのゴルフも上達するはずです。
私はトラブルを楽しむようにしています。Gift in the problem(問題のなかに秘められた贈り物)は何かを考えると楽しくなります。
これを解決したら自分が強くなれるとか、もっと大きなトラブルを回避できるとか、問題を抱えたからこそ得られるメリットはなにかしらあるものです。
トラブルにぶつかったからといって、いつまでもクヨクヨしていても仕方ありません。人間は変わることができるし、状況を変える力もあります。なにごとも“できない”と決めつけないで、どんな方法があるか楽しみながら探してみてください。
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