ブリヂストンゴルフから発売されているツアーBシリーズ。注目すべきは「X-BLADE」のロフト角が、7番で35度だということだ。ストロングロフト化の傾向にある近頃のアイアンと比べると、ロフトが2~3度ほど寝ているということになる。ひと昔前なら違和感はないのだが、最近では珍しい設定だ。「ぶ厚い打感と切れ味鋭い抜けのよさにこだわった」というのがメーカーの触れこみなのだが、それと何か関係があるのだろうか......?
“個性的”でカッコいい! 「X-BLADE」
まずは、マッスルバックの「X-BLADE」から試打。 ブリヂストンのマッスルバックといえば、「J15MB アイアン」があったが、このアイアンはそれの後継モデルに位置する。バックフェースのちょうど芯の真後ろにあたる部分が肉厚になっているのが特徴的だ。
構えたときの顔はやはりマッスルらしい引き締まったいい顔をしている。印象的なのはスコアラインが幅広く、フェース面全体にあるように見えること。これによって、小ぶりなヘッドではあるが、思ったよりも大きく見えて安心感がある。そして、ネックからフェース面にかけてのラインが絶妙で美しい。これならターゲット方向に対してスクェアに構えやすいし、弾道のイメージも湧きやすい。
打感は軟らかく、食いつくような感触。まさに「マッスルバックならでは」な感触が手に残る。何より球を操ろうとした時に、どうしても球離れが早くて硬い打感だと球のイメージも出にくく、インパクトで押すことができない。
また、打感の軟らかさの中に、厚みを感じることができる。芯の後ろを肉厚にデザインしたことによる効果だろう。ロフトがある分だけ球が上がりやすいので、打ち込む必要もなさそうだ。ただし、やさしいと言えど、マッスルバックなのでヘッドスピードは必要になる。ドライバーでいうと、ヘッドスピードが45m/s以上の人に適したクラブではないだろうか。
このクラブは、7番アイアンでロフトが35度。言うまでもなく、今どきのアイアンの中では「最も寝ている」部類になる。もちろん飛距離という面では飛び系のアイアンにはかなわないが、「飛距離を求めるクラブではない」ということを頭の片隅にでも入れておきたい。
「マッスルバックでありながら、やさしさもある」いわゆる今どきのマッスルというジャンルに、このクラブも属するだろう。しかし、バックフェースの中央部分が厚くなったデザインで、他とは違う差別化ができている。前作の「J15MB アイアン」は、どちらかというとオーソドックスな見た目だったのに比べ、あくまでも個人的な意見ではあるが、個性的でカッコいいと思う。デザインにも妥協を許さないアスリートゴルファーはぜひ試してほしい。
マッスルの面影を残してながらやさしい「X-CB」
続いては、ツアーでも人気の高い「X-CB」だ。アマチュアにとっても「マッスルは難しいけど、ハーフキャビティなら打てそう」という心理から、アスリートモデルの中間に位置するモデルは、どのメーカーでも人気が高い。
構えたときの印象は「X-BLADE」よりもトップラインが厚くなっているが、小ぶりでシャープな見た目。グースの度合いもそこまで変化は感じない。スコアラインの幅が長いため、小ぶりでありながらも安心感があるという点は「X-BLADE」と同じだ。
マッスルに比べると、打感はしっかりしている。決して硬いというわけではなく、「軟らかく厚い打感の中にソリッド感がある」というような打感だ。インパクトでしっかり手に感触は残るし、操作性もいい。芯を喰ったときの厚みのある打感は、打球面の裏にそれなりの厚みを残してある形状の賜物だろう。
また、そこまで打ち込む必要はなく、若干フェースの下目にヒットした時でも球は上がってくれる。なので、払い打つスウィングでもしっかり飛距離を出すことができる。「X-BLADE」のときには感じなかった「スウィートエリアの広さ」がこのクラブにはあるということだ。
「X-CB」は、7番アイアンでロフトが32度。「X-BLADE」が35度だったので、3度立っていることになるが、それだけ飛距離も出せる。球の高さも申し分ないし、むしろ低重心になっている分、マッスルより高くすら感じる。またこのシリーズに共通することではあるが、抜けの良さもこのアイアンの魅力だ。
「X-CB」のフォルムは基本的に「X-BLADE」と同じなので、シャープで操作性が抜群に良い。それに加えて、「球の上げやすさ」「スウィートエリアの広さ」という点では、「X-CB」の方が上だと感じる。今回は2本とも完成度の高いアイアンだったが、より「やさしさ」に比重をおくのであれば、迷わずこの「X-CB」を選んでほしい。