ルールぎりぎりの47.75インチの超長尺ドライバー
1998年に発売されたフォーティーンの「ゲロンディー」は、長尺ドライバーのパイオニア的存在といわれている。そして今回の「DT112」、注目は何といってもシャフトの長さ。ルールブックには「48インチ(1,219.2mm)を超えてはならない」とあるので、47.75インチというとルールの上限ギリギリというところだ。
一般的に「長尺ドライバー」と言われるのは、46インチ以上から。それと比べても1インチ以上も長く少し“キワモノ感”すら感じるが、果たしてどんなドライバーなのだろうか?
“ドンピシャ”でとらえた時の飛びが凄まじい
構えた瞬間、やはり長さを感じる。ヘッドは今どきらしく460ccの大型であるが、ディープフェースのため投影面積が小さくシャープ。また、シャフトが長い=構える位置がヘッドから遠いので、思った以上にヘッドが小さく見えるのだ。カラーがマットブラックに仕上げられていることもあり、とても精悍な顔つきをしている。
もうひとつ特徴的なのが、フェース面がシャフトの延長線上よりもややボール寄りに張り出した、いわば「逆グースネック」といった形状。グースネックのクラブはつかまりの良い印象があるが、その逆ということで、人によっては「つかまり」に不安を覚えるかもしれない。このあたりはぜひ試打で確認しておきたい。
打ってみると高初速の力強い球を打つことができた。ライナー系でランが出そうな中弾道もいい。球が強い反面、ロフトが9度と立っているだけあり、ボールがつかまり辛い。つかまえたい人は、ロフト10.5度を選ぶといいだろう。
そして意外だったのは、打感がやわらかいということだ。長尺で飛距離を出すモデルは、金属的な硬いイメージがあるが、このクラブはそうではない。インパクトでは、しっかり球の感触を感じて押すことができる。結果、吹き上がらずに、中弾道のライナーボールで飛ばせるということだ。
ヘッド単体を見る限り、それほど球が上がりやすい設計ではない。ネックを短めにすることで、若干重心位置を低くはしているが、それでも重心位置は「標準」もしくは「やや高め」といったところだ。「やっぱり球を上げにくいのか」というと、そうではない。47.75インチの超ロングシャフトが大きくしなることで、インパクト付近ではヘッドの後方が垂れ下がり球が上がるのだ。
しかし、さすがにシャフトが47.75インチもあるので振りやすいとは言えない。打点を安定させるためには慣れが必要。一方で、太い軸を作ってスウィングできる人には合っている。また、安定して飛距離を出すためには、ゆっくりと振る意識も必要だろう。
このドライバーは、どんなゴルファーにも合うというわけではないが、それを補って余りある飛距離性能がある。長いシャフトの大きなしなりで、“ドンピシャ”で球をとらえたときの飛距離は凄まじい。飛距離を手に入れたい人は、ぜひ一度使ってみてほしいギアだ。