毎年「マスターズ」が開催されるオーガスタナショナルGCだが、選手によっては得意なホールと苦手なホールが存在する。今回はそれぞれ選手たちの得意なホールを“神ホール”、苦手なホールを“悪魔ホール”と名付け、紹介しよう。

ファルドの“神ホール”は11番ホール

ニック・ファルドのサインには「11」と記したピンフラッグのイラストが描かれている。意味を尋ねると彼はニヤリと右の口角を上げ「マスターズで2回、11番で優勝を決めているからさ」と答えたもの。1989年、90年とプレーオフで連覇を決めたのがアーメンコーナーの入口、オーガスタナショナルの11番。つまりファルドにとってそこは“神ホール”というわけである。

画像: 1990年「マスターズ」でニック・ファルドは2年連続優勝を果たした

1990年「マスターズ」でニック・ファルドは2年連続優勝を果たした

スピースにとって12番ホールは“悪魔ホール”か?

神ホールが存在する一方で、選手たちを奈落に突き落とす悪魔ホールがあるのもオーガスタの特徴。たとえば昨年のジョーダン・スピース。連覇がかかったその大会で3日目まで首位を快走しながら、最終日の12番パー3で池ぽちゃを繰り返しまさかの「7」を叩いて優勝戦線から離脱。ダニー・ウィレットにメジャー初勝利を献上したシーンは記憶に新しい。

画像: 12番ホールでティショットを池に入れたスピースは、ドロップゾーンからの打ち直し第3打も池に入れた

12番ホールでティショットを池に入れたスピースは、ドロップゾーンからの打ち直し第3打も池に入れた

一瞬魔が差したとしかいいようがない。だがスピースほどの選手でさえ打ち直しのショットは腕が縮こまり、なんとも萎縮したスウィングになってしまう光景を目の当たりにし、鬼門というのは実在するのだということを改めて実感したのだった。

そのスピースが年明け早々オーガスタに舞い戻り、メンバーたちとラウンドに興じたというニュースが入ってきた。遊びのラウンドにも関わらず「12番のティグランドではもの凄く緊張した」と打ち明ける1993年生まれの年男。大きく深呼吸して放ったティショットは手前のバンカーを超えピン奥4メートルにナイスオン。下りのパットを沈めてバーディを奪ったときには試合中のようなガッツポーズが飛び出したそうだ。この成功体験を4月の本番に結びつけられるのだろうか?

マキロイの“悪魔ホール”は10番ホール

そしてもうひとりオーガスタの悪魔ホールを知る男がいる。現在世界ランク2位のロリー・マキロイだ。彼もまたグリーンジャケットに片袖を通しながらサンデーバック9で悪夢を見たひとり。

それは2011年のこと。最終日の10番パー4でティショットを大きく左に曲げたマキロイはレジデンシャルエリアから第2打を打つはめに。その後、打っても打ってもグリーンに乗らず結局トリプルボギーの「7」を叩き、最終的には優勝したシャール・シュワーツェルに10打差の15位タイに甘んじた。

画像: 2011年「マスターズ」でマキロイは最終日の10番ホールでトリプルボギーを叩いた

2011年「マスターズ」でマキロイは最終日の10番ホールでトリプルボギーを叩いた

「苦手意識があるわけじゃない」といいながら翌年の最終日も10番はボギー。以降もバーディはなかなか獲れておらず、昨年の最終日もボギーを叩きサンデーバンク9のチャージは不発に終わっている。

誰にでもある“神ホール”と“悪魔ホール”。素人なら「構えにくいんだよな」と笑えば済むが、それがオーガスタとなるとそうはいかない。メジャー初戦で悪魔ホールを神ホールに変えるのは誰だ!?

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