1.5〜2メートルのショートパット。入れごろ外しごろのこの距離が入るか、入らないかはスコアメークの鍵を握るといっても過言ではない。パッティングを研究する濱部浩一教授によれば、この距離をきっちり沈めてくるプロや上級者と、外してしまうアマチュアの違いは、ズバリ「タッチ」にあるという。ジャストタッチでなく、30センチオーバーでなく、なんと約「170センチ」オーバーさせるのが最大のコツだという。その真意を聞いた。

1.5〜2メートルのパットは、1.5〜2メートルオーバーするタッチで打つと入る

「結論から先に言いましょう。ショートパットのうまい人は1.5~2メートルの距離を、およそ倍オーバーするぐらいのタッチで打ってます。このタッチが、入れごろ外しごろの距離を入れる秘訣です」

そう語るのは、元ゴルフのインストラクターという異色の経歴を持ち、ゴルフを研究テーマとする日本獣医生命科学大学運動科学教室の濱部浩一教授。

たしかに、よく「40~50センチオーバーさせるようなタッチが一番入る」などと言われる。しかし、倍オーバーさせる、すなわち残り2メートルから2メートルオーバーさせるタッチというのは、さすがに“強すぎ”な気がするが……。だいたい、そんな強さで打ったら、カップで跳ねてカップインしないのでは? 濱部教授はこう述べる。

「私の研究室で実験をしたところ、スティンプメーターで12~15フィートの数字となる高速グリーンでも、平地ならカップを1.5~2メートルオーバーさせる強さで打っても、ボールがカップの上を通過しさえすれば『いい感じで』ナイスインします。2.5メートルオーバーさせる強さになるとさすがにカップに蹴られますが、それでもカップのど真ん中に打てば真上に飛び上がって入ることもあります。プロやパターがうまい人のパッティングを分析しても、もし外すとしたら大体打つ距離と同じぐらいオーバーさせるタッチで打っていました。これは、私にとっても目からウロコでした」(濱部、以下同)

画像: 濱部教授の実験室。ここで日夜実験が行われる

濱部教授の実験室。ここで日夜実験が行われる

では、さらに短い1メートルのパットはどうだろうか。これは、研究室のみならず、濱部教授自らがラウンドで「倍の距離を打つタッチ」を試してみたという。

1メートルは百発百中! 2メートルも80パーセント入った

「カップを2メートルオーバーするタッチで打っても問題ない。それを知った上でのラウンドでしたが、実際には、正直に言って上りのショートパットは大体1メートルオーバーするイメージでしか打てませんでした。それでも今までよりもはるかにオーバー目に打つ感じで、普段はラウンドで2〜3回は外す1メートルがすべて入り、2メートルも5回中4回入りました。残りの1回は打ち方のミスなので、タッチを今までよりずっと強くするだけで、カップイン率が一気に高まったことになります」

「その日の同伴者はみな上級者(ハンディ5と6。一人はプロ)でしたが、みな、今までの私と同じようにジャストタッチで打つので、1~2割はショート目で外し、やや強めに打った場合でもカップ間際で芝目に負けて外すときもあり、トータルでは私の半分以下のカップイン率でした」

画像: 強いプロはショートパットのタッチが強い

強いプロはショートパットのタッチが強い

2メートルから2メートルオーバーさせるタッチで打てば、ラインを薄く読めるから迷わず打てるし、芝目にも負けない。押し出したり引っかけたりしてカップの幅の中に打ち出せない「打ちミス」を除けば、“百発百中”となるのだ。ちょっと怖いけど……。

パター2本分=170センチオーバーさせる練習をしておこう

「アマチュアでは50センチ~1メートルのショートパットを外してイップスになっている人も多いと思います。これらの人がイップスになったのは、ほぼタッチが『弱い』ことが原因です。50センチを2メートルオーバーさせる強さで打てとまでは言いませんが、少なくとも50センチのパットなら倍の50センチオーバーさせるタッチ、1メートルのパットなら1メートルオーバーさせるタッチで打つ心構えがアマチュアにとってパット上達への現実的で効果的な方法と確信しました」

画像: ショートパットでは打つ距離と同じくらいオーバーさせるくらい強めのタッチでいこう

ショートパットでは打つ距離と同じくらいオーバーさせるくらい強めのタッチでいこう

濱部教授によれば、どんな距離でも常に1.5~2mオーバーするタッチの練習がカップイン率を上げる秘訣だという。パターの1本の長さが大体85センチ前後だから、ショートパットを打つ際に、それが自分のパター1本分の距離だったなら、カップを通り越してカップの向こう側にパター1~2本分オーバーするイメージをもつとタッチが合うとアドバイスしてくれた。ただし、以上はすべて上りか平らなラインに限った話。下りの場合はまるっきりタッチが異なるので注意が必要だ。

タッチに迷いがなくなると、ラインも合ってくるし、ラインそのものも薄目に読める。芝の微細な凹凸の影響も受けにくくなるからカップイン率が格段に上がる。教授自らラウンドで実証実験済みのこのタッチ、次のゴルフで試してみては?

※2017年1月23日、脱字を修正しました

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