「バックスウィングはどうでもいいんです」
まずは下の連続写真をご覧いただきたい。練習グリーンで練習中の成田美寿々と南秀樹コーチ(画面奥に座っている人物)の写真だが、なにか変だと思わないだろうか? そう、南コーチまで7〜8メートルはあるというのに、成田はテークバックを1ミリもとっていない! それでいてフォローはめちゃくちゃ大きい。これってなんで? というわけで早速成田に直撃取材してみた。
「なるべく手先で打たないように、体幹とか、手以外で打つ練習です。南さんが、バックスウィングはどうでもいいって考えの方なんです。フォローでどれだけ力を伝えられるかが大事っていう考え方。それでこの練習をやっています」(成田)
と教えてくれた。しかし気になるのは「バックスウィングはどうでもいい」という言葉。今度はこの言葉の真意を南コーチに聞いてみた。
「たとえば、よく『テークバックを真っすぐ上げよう』なんて言いますよね。それ自体がまず間違い。真っすぐあげようと思った瞬間、クラブの動きを目で追ってしまいます。右に動いた目を元の位置に戻す、たったそれだけのことが、手打ちにつながってしまうんです」(南)
南コーチによれば、ショット同様、パットでも手打ちはNG。その理由は?
「手打ちは再現性が低いからです。コースに出ればプレッシャーもかかれば風も吹く。普段から体を使う練習をしていなければ、手打ちになって芯に当たる確率が低くなります。テークバックなしで打てば、体幹を使って打つようになります。そして体幹が動けば動くほど体の軸は太くなり、再現性も高まるんです。テークバックなしで打つのは、そのための練習ですね」(南)
今度はボールを2個同時に打ち始めた!
なるほど〜と感心していたらさらなるサプライズ。今度はボールを二つセットし、それを同時に打つ練習がはじまった。
「フェースの面、どこで当てても真っすぐ飛ばせるようにっていう練習です。芯に当てるのが一番大事なんですけど、芯を外しても真っすぐいくようにやってます」(成田)
この練習を繰り返すことで、ショートパットに強くなると南コーチは言う。
「実は、短いパットほど芯に当てるのは難しいんです。だから、多くのゴルファーがショートパットに“ハマる”。そこで大切なのが、芯を外したときでもカップを外さないこと。どこに当たっても真っすぐ飛べば、絶対に入るわけですから。みんなショートパットを外して今のはトウだ、ヒールだ、と言いますが、トウやヒールに当たっても真っすぐ転がればショートパットは必ず入るわけですから」(南)
つまり、「つねに芯で打つための練習」と「芯を外しても真っすぐ転がる練習」だったというわけだ。うーん、いかにも合理的。ちなみにこの後、「テークバックなしでボールふたつ同時に打つ練習」も行っていた。
スウィングを指導する井上透コーチに加え、パッティングを指導する南秀樹コーチ「2020年のオリンピックを目指す上でベストの選択だと思って決断した」という“コーチ二頭体制”を敷いた今シーズンの成田のプレーが、早くも楽しみになってきた!
※2017/06/07 11:00 誤字修正しました。