「はじめから10.5度」と「1度寝かせた10.5度」違いは?
使用クラブは、調整機能付きクラブの代名詞的存在であるテーラーメイドの「M1 460」。その10.5度ロフトのクラブと、9.5度ロフトのクラブを用意し、9.5度のクラブを1度寝かせ、2本とも「10.5度」に統一。打ち比べてみた。
シャフトはどちらも同じM1の純正シャフト。ボールは同社の「TP5」を使用した。テスターはみんなのゴルフダイジェスト編集部員Oと同じく編集部員でプロゴルファーの中村修だ。
試打の前に、そもそもロフトを寝かせるとなにが起こるかを確認しておこう。
「クラブの構造上、ロフトを寝かせるとフェースは閉じます。ロフトを寝かせるとフェースが開くと思っている人が多いのですが、実際は『フェースは上を向くと左を向く』のです」(中村)
ロフトは寝れば寝るほどボールのつかまりが良くなるとされるが、それには「ロフトが寝るとフェースが閉じる」ことも大きく関わっているわけだ。つまり、はじめから10.5度のヘッドと、9.5度を10.5度に1度寝かせたヘッドでなにが違うかといえば、フェース向きが違う、ということになる。
それがどう結果に影響するか。各クラブ5球を打ち、明らかなミスショットを除外した残りの平均をとったら、このような数字になった。
スライサーには「1度寝かせた10.5度」が合った
まずはアマチュアの結果から。打ち出し低め、スピン量は多めで、球筋はスライス。だが、結果は「1度寝かせた」ほうがなんと10ヤード以上良い、という結果になった。
「予想通りです。スライサーは、フェース角が開いていないほうが安心感を持って構えられるし、ボールをつかまえやすくなりますから。はじめから10.5度のほうが実はキャリーは出ているのですが、スライスの度合いが少なくなったぶん、1度寝かせたほうがランが出て、トータルでは上回っています」(中村)
プロの試打結果が上だ。やはりプロ、1度寝かせたほうはフェースが若干クローズなのを感じとり、左へのミスが出ないようにスウィングした結果、やや吹け上がり気味のボールとなり、数字が伸びなかった。
「はじめから9.5度」と「1度立てた9.5度」も試してみた
さて、そうなると気になるのが、「はじめから9.5度」のヘッドと、「10.5度を1度立てた9.5度」のヘッドで打つとどうなるか、ということだ。先ほどと逆なので、1度立てた場合フェースはわずかに開く。その差がどう出るかーー。
正直、アマチュアの結果は本当に大差ない。そもそも9.5度ロフトだとボールが上がりきらない場合が多く、ついつい力んでしまって結果のばらつきが大きくなってしまった。間違いなく1度寝かせたほうがナイスショットの確率は高い。
プロが打った結果はどうか。こちらもほぼ似たような結果だったが、1度立てた場合のほうが、やや好結果になった。フェースがわずかにオープンになったことにより、「叩ける」イメージが湧いてきたことがその背景にはある。
「同じヘッドと同じシャフトを使っているので、10ヤード、20ヤード変わるということはありませんが、同じロフトでも立たせた場合と寝かせた場合で、結果は明らかに異なりますね。フェース向きはゴルファーの心理にまで影響するので、軽視できません」(中村)
スライサーならばフェースが閉じていれば安心感につながるが、上級者にとっては「左にいきそう」という印象にもつながりかねない。だからこそ、数字上は同じでも、ロフトを調整したのか、していないかで、結果は微妙に変化するわけだ。
「また、試打結果を総合すると、調整機能全盛の現代でも、ロフト選びはすごく重要なことがわかります。9.5度か10.5度か、どちらかをまずしっかりと選び、その上で調整する。これがナイスショットへの最短ルートと言えます」(中村)
まずはお手持ちのヘッドを1度寝かせる、1度立てるといった調整をし、練習場でテストしてみてはいかがか。ああでもない、こうでもないと試行錯誤するの、楽しいですよ!
ドライバーがスライスしにくい、安定して芯に当たるカスタムクラブの秘密を大解剖!詳しくは下記リンクをチェック↓