予想予選通過スコア「初日60位タイのスコアかける2マイナス1」に挑む!
慌てない。とにかく慌てない、焦らない。これが、金曜日、予選ラウンド2日目を迎えるプロたちがもっとも考えることではないでしょうか。とくに初日に叩いてしまった僕のような選手は、どうしてもバーディがほしくてがっついてしまいがち。しかし、それで万が一ダボでも叩こうものなら目も当てられません。
インとアウトのスタートが(スタートがワンウェイでない場合)逆転する2日目も、初日同様まずは自分の調子と、コースの状況を確認することからはじまります。
予想カット(予選通過)ラインは、天候が大幅に変わっていない限り、「初日の60位タイ相当のスコアかける2マイナス1」で計算します。単純に「かける2」ではないのがミソで、プロの場合2日目は総じて初日よりスコアが伸びる傾向があるんです。
なぜかといえば、初日叩いてしまった選手が、イチかバチかでガンガン攻めるから。それがハマれば、初日オーバーパーからでも予選通過は十分可能です。おそらく2017年の開幕戦のカットラインは1オーバー。2オーバーでは予選は通れないと思います。プロツアー全体のレベルが上がり、カットラインは年々上がってきています。
ちなみに、このカットラインは、たとえ天候が雨でも多くの場合晴れのときと変わりません。プロツアーにおけるコースの難易度は主にグリーンの硬さによって決まるのですが、雨が降るとグリーンが軟らかくなるので、プロの場合ボールが止めやすくなってかえって攻めやすくなることもあるんです。
余談ですが、マスターズが開催されるオーガスタナショナルGCでは、最終日翌日の月曜日に抽選に当たった関係者がラウンドできるのですが、それに備えて日曜日は夜通し水をまくそうです。そうしないと、アマチュアにはプレーできないのかもしれませんね。
予選を通過したプロが真っ先にすること。なんだかわかりますか?
さて、プロゴルファーなら避けて通れないのが予選落ちです。どれだけ準備をしても、経費をかけても、予選に落ちたら賞金は1円ももらえません。その段階で、その週に使った20万、30万のお金はパアです。試合に出なければレッスンやメディア出演で得られたかもしれないお金も当然得られませんから、非常にキツいです。
選手によっては、スポンサー企業やお世話になっている方に挨拶したり、残念報告する人もいますが、基本、予選に落ちたプロは身支度を整えてそそくさと帰ります。普段家族と一緒に居られる時間が少ない分、予選落ちした週末は家族サービスと割り切る人もいる。予選落ちしても会場で練習はできるので、芝の上から打てて、グリーンも整備された練習環境を求めて、決勝ラウンドで戦う選手たちがスタートした後に練習して帰る人もいます。
予選に通ったら、ホッと一息です。ホッ、どころか、「ホーーーッッ」くらいの安心感でしょうか。まずはなにをするか? 答えは、「ホテルを取り直す」です。プロたちは、金曜日に一旦泊まっているホテルをチェックアウトします。そして、予選に通ったら、再度ホテルを取り直すんです。
万が一埋まっちゃったらどうするのって? 大丈夫、絶対取れるんです。だって、予選落ちした選手とその関係者の分だけ、ホテルが一気に空きますから。昨日まで隣の部屋に泊まっていた選手が次の日いなくなる。それがプロツアーの金曜日に起こることです。
予選通過したということは、ゴルファーにとっては「最低賃金を得られた」ということです。これで最低でも経費と賞金でほぼ“いってこい”。マイナスになる不安は消えます。あとは決勝ラウンドでどれだけ順位を上げ、賞金をプラスにできるかの勝負。ゲームでいえば、一面クリアでボーナスステージ突入という感じでしょうか。
予選通過を目指して戦った、2日目の結果は……!?
さて、2017年の開幕戦の僕の2日目のスコアは9オーバーの「80」。初日の4オーバーと合わせて、13オーバー、128位タイ。もちろん、予選落ちです。予選通過ラインは、予想していた1オーバーよりさらに1打良いイーブンパー。やはり、年々レベルアップしていることを痛感します。
今度こそ、予選通過を果たしたい。その思いで準備をしてきましたが、極めて無念な結果となってしまいました。荷物をまとめて会場を去り、また練習を積み重ねたいと思います。