メジャーの最終日だけあって難しい位置にピンが切られる中、崩れる様子が微塵もなかったキム・ハヌル。注目したいのは、そのテークバックの小ささだ。
上の連続写真は2016年に撮られたもの。テークバックでは右足のつま先の位置にまでしかクラブが引かれていないが、フォローでは左足の幅を大きく超え、なおかつヘッドが高い位置に跳ね上がっている。実際、サロンパスカップでも彼女のテークバックは抜群に小さかった。なぜか?
「パッティングではトップからダウンスウィングへの切り返しで、フェースの面が狂うケースが多いのですが、テークバックが小さく、フォローが大きいとそのリスクが避けられます」というのはみんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修だ。
「イメージ的にはバックスウィングとフォローで1:2くらいの大きさで振っているように見えますね。サロンパスカップではセンターシャフトのパターを使っていましたが、今回は上の写真よりさらにテークバックが小さいように見えました。テークバックが小さく、フォローが大きいと、基本的には軌道はアッパーブローになります。すると、インパクト直後にボールに順回転がかかりやすくなり、狙ったラインの通りに転がるようにもなります」(中村)
「サロンパスカップの会場である茨城GCはグリーンの傾斜が強く、最終日はピンポジションも難しい設定でした。そんななか、彼女は狙って入れに行くパット、距離を合わせるだけのパットを明確に使い分けていました。傾斜の強い場所にピンが切られると、オーバーした場合返しのパットも曲がるラインになる危険性があるのですが、彼女のパッティングはパンチが入らないため大オーバーのリスクがない。だからこそ、狙う・守るをしっかり使い分けられたのではないでしょうか」(中村)
一般アマチュアは、ハヌルとは逆に、テークバックが大きく、フォローが小さい場合が多い。それだと切り返しでフェース面が狂いやすいし、インパクトではパンチが入りやすい。「スマイルクイーン」を見習って、テークバック小・フォロー大の打ち方を試してみてはいかがだろうか。