長年指導してきた父が見た娘・藍
藍がアメリカに渡って2年後、憧れの人だったアニカ・ソレンスタムが引退を発表した。ちょうど9年前の5月のことである。
「活躍できなくなって、もうアニカは終わりだ、といわれたまま引退したくありませんでした。でもシーズン開幕戦(2008年SBSオープン)に勝って、まだ十分やれることを証明できた。これで心置きなくクラブを置くことができます」
そこには試合中見せていた険しい表情が消え、柔和な笑みを浮かべる孤高の女王の姿があった。引退を決意した今、藍にもアニカのように有終の美を飾ってもらいたいもの。約5年遠ざかっている優勝を実現するための条件とは? 優氏はこう解説する。
「ショットに関してはフォローの振り抜きがポイントになります」と優氏。今春、飛距離が著しく落ちた時期があり「チェックするとフォローでフワッと力を抜く動作が見られた」という。
「球を打ったあとなのだから、どう振っても飛距離に関係ないと思われがちですが、フォローをどう振るかで結果は大きく変わります。フワッと力を抜けば強い球は打てません。フォローをしっかり、ヘッドをターゲットに放り投げるイメージで力強く振り抜く。ここを意識することで一瞬にして20~30ヤード飛距離が変わりました」
特にインパクト直後、左手の親指を地面に向ける『サムダウン』が「飛距離に直結する」(優氏)のだそうだ。
ポイントは「フォロー」と「パッティング」
一方、パッティングに関しては、2017年のはじめからクロスハンドでイップスを脱したが「ここでも1つ注意すべきポイントがある」のだとか。
「左腕のリードだけで打とうとするとフェースがかぶってどうしてもフックすると藍がいい出した。普通引っ掛けたくない人が左手1本で打つイメージを持つものですが、藍の場合は逆の現象が起きていたのです。そこで、左腕1本でストロークするのではなく、フォローで少し右手を動かすことを勧めました。するとリリースのタイミングが良くなり、思ったところに球が転がるようになったのです」(優氏)
飛距離アップとパッティング。この2つが相まって中京テレビ・ブリヂストンレディス最終日での『64』というビッグスコアに繋がった。
「ショットに関してはフォロー、パッティングではクロスハンドの加減。この2つがシーズン後半で優勝を狙えるかどうかの技術的な鍵になります」と優氏は締めくくった。
あと必要なのは応援。ファンの声援を力に替えてきた藍の底力に期待したい。