松山と、Zスターを選んだ世界のプロ
松山英樹だけでなく、PGAツアーでスリクソンZスターシリーズのボールを使う選手が増えている。CMにも登場している2010年の全米オープンチャンピオンのG・マクダウェルを筆頭に、飛ばし屋のJ・B・ホームズ、S・ローリー、W・マクガート、K・スタドラーなどが使い、PGAツアーの使用率も、今や2番目のシェアを占める。今週の全米オープンにも、松山と世界の8名スリクソンZスターシリーズのボールで挑む。
プロがギア契約する際に、スコアメークに直結するパターやウェッジを契約外にするケースが多いが、なかでも最も慎重に選んで決めるのが、ボールだと言われる。パワーゲーム全盛となったPGAツアーでは、1ヤードでも先に飛ぶことは大前提だが、ここにショートゲームでの打感や打音、そしてスピン量といった要素が加わるからだ。

青空のように澄んだ音が聞こえるZスターXV「僕のリクエストに応えてくれたボールです。澄んだ音が大事なんです」(松山)。全米の舞台で、この音の回数を増やしてほしい
打感や打音というと、単にフィーリングの好みだけを指すように思うかもしれないが、そうではない。例えば、アプローチで同じ量のスピンがかかる2種類のボールがあるとして、一方がソフトフィーリングで、もう一方がしっかりした打感のタイプという場合、インパクトの感触を重視するゴルファーが、フワッとした打感のボールを使うと、打感や音のフィードバックをより強く得ようとするあまり、インパクトを強く入れる癖がついて、距離感が合わなくなることがある。こういったタイプには、しっかりした打感のボールが欠かせないというわけ。ましてや、世界一シビアなコースセッティングのツアー、小さなズレが命取りになる。
そして、この打音に、ひと一倍こだわるプレーヤーが松山だ。スリクソンZスターXVの開発には、松山自身の意見が強く反映されたという。しっかりした打感と、松山いわく「澄んだ音」と表現する心地よい打音が共存するのが、このボールの特徴。松山は、昨年のフェニックスオープンから新しいZスターXVを使い、いきなり優勝。その後の活躍は説明するまでもない。打つたびにフィードバックが得られるショートゲームの性能に加え、このボールを使ってティショットの飛距離が約8ヤード伸びていることも見逃せない。現在の平均飛距離は301.8ヤード。低スピン弾道による飛距離アップの面でも、ZスターXVが下支えしていることは間違いない。

ZスターXV。ペンでラインを引いた、実際の使用ボール。音だけではなく、大径2層コアの高打ち出し低スピンで飛距離を伸ばす
低スピンの飛びといえば、今回の全米オープンで注目したいプレーヤーがいる。松山と同じZスターXVを使って、昨年のドライビングディスタンス1位(314.5ヤード)に輝いたJ・B・ホームズだ。日本では有名とは言えないが、PGAツアーのギャラリーに、「飛ばし屋といえば誰?」と聞くと、D・ジョンソンでも、B・ワトソンでもなく、圧倒的に「J・B」という答えが返ってくる。学生時代に失読症に苦しみ、プロになってからも脳の病で脳外科手術、長期療養からカムバックして2勝するなど、35歳の寡黙な苦労人を応援するアメリカのファンは、とても多い。会場のエリンヒルズは7800ヤード以上、ロングヒッターが有利とされ、J・B・ホームズは300ヤードを楽に超す強いドローが持ち球。
「ボクは飛距離が武器ですが、これまではバックスピンがかかりすぎて、飛距離をロスすることがたびたびありました。しかし、このボールのスピン量は理想的で、イメージどおりの弾道と飛距離をじゅうぶんに実現してくれます」と話す。

「J・B!」が愛称。低スピンで310Y。松山と同様に、いち早くZスターXVを使って活躍するJ・B・ホームズ。低スピンで300ヤードを楽に超す35歳。「使う理由はしっかり打感と理想のスピンです」
ロングショットで、スピンが少ないということは、吹きさらしのリンクス風コースの強風にも左右されないということ。期待の松山はもちろん、ホームズが優勝争いに加わる可能性は大いにある。
上位に来るのは誰だ?

G・マクダウェル。北アイルランド出身の37歳。通算12勝のローボールヒッター。2010年全米オープンのチャンピオン

W・マクガート。ノースカロライナ出身の37歳。今季RBCヘリテイジで3位

S・ローリー。アイルランド出身の30歳。リンクス育ち

R・ノックス。リンクスのメッカ、スコットランド・インヴァネス出身の31歳
さらに、米国最終予選からはK・ブラッドリー、R・ブレーム、T・ポッターJrが出場。松山英樹と“Zスター軍団”が、エリンヒルズで大暴れしそうな予感だ!