「合わせない」「躊躇しない」思い切りのいいゴルフがトーマス最大の武器
実は、練習ラウンドでのジャスティン・トーマスは、ドライバーがとっちらかってどうしようもなかったんです。それが、初日、2日目と徐々に調子を上げて、3日目の今日に大爆発。もちろん、何かしら修正したんだと思いますが、それ以上に印象的なのは、たとえ球が曲がっても、インパクトで合わせるような動きを一切入れず、「曲がるなら曲がれ」と言わんばかりに振り切っている姿です。
そして、ドライバーも、アイアンも、まったく躊躇せず、「そこに落ちたら最高」というところを狙って打ってくる。ゴルフでは「最高」の場所の隣には「最悪」が常にあるものですが、トーマスはどんな状況でも躊躇なく「最高」を取りにきます。
その象徴的な場面が3日目の18番ホール。残り280ヤードからスプーンを気持ち良く振り切ったボールは、柔らかくグリーンに着弾し、手前から17ヤード、それも実質13、14ヤードしか使えないグリーンを静かに転がり、見事1.5メートルにつけました。結果はイーグル。
現在、トーマスは首位のブライアン・ハーマンとは2打差の2位タイ。稀に見る大混戦となっていますが、それはコースの「やさしさ」が大きな要因となっているのは間違いがありません。最終日も、伸ばしたもの勝ちになるのは明白。
記者会見で「このコースはクールだ!」と語り、2011年の全米アマでプレーした経験もあるトーマスは、エリンヒルズとの相性も抜群。まだ誰が勝つかはわかりませんが、伸ばし合いの展開の中でアドバンテージがあるのは事実です。
もう一人、期待の選手を挙げるとすればやはりリッキー・ファウラーでしょうか。2日目、途中3連続ボギーなどもある中73のワンオーバーで踏みとどまり、3日目は68とスコアを伸ばしてきました。首位とは2打差の5位タイで最終日に臨みます。メジャーの最終日の2打差はあってないようなもの。悲願のメジャー初制覇の可能性は少なくありません。
もちろん、首位と6打差の14位タイで最終日を迎える松山英樹選手にもチャンスは残されています。優勝には爆発的なスコアが必要になりますが、2日目に出した「65」に匹敵する、あるいはそれを上回るようなスコアは、パッティングさえかみ合えば十分可能。終わってみればプレーオフに残っていたとか、そのような展開を期待します。