ラフが厳しい季節がやってきた。「ラフから無理は禁物」とはいえ、ショートアイアンで打てる距離なら、できればしっかり脱出して、グリーンを狙いたいもの。ということで、ショートゲームに定評のある杉山直也プロに攻略法を聞いた。

アドレス軸をボール一個分左に移動。左内もも軸で回転しよう

雨と初夏の日差しの繰り返しで、ラフがどんどん伸びてきている。そこで、ショートアイアンでグリーンを狙うショットの打ち方について教えてもらおう。

「ラフからのショットで一番大切なキーワードは“キレ”と“切れ”です。“キレ”というのはスウィングの鋭さ。そしてもう一つの“切れ”は、芝を切るという意味です」(杉山、以下同)

スウィングのキレとは具体的に、どういうことだろう?

「簡単にいえばヘッドを鋭角に振り下ろすことです。ラフに入ってしまうと、力づくで芝ごと打っていこうとする人がいますが、これは間違いです。通常のショットより、ボール1個分スウィング軸を左サイドに移動させ、体重移動をほとんど行わずに振ります。そうするとヘッドが自然と鋭角な軌道になります。ヘッドの重さを活かして、上から振り下ろすだけなので、力を入れる必要はありません」

画像: 鋭角にヘッドを振り下ろせば力がなくても打ち抜ける。ボールが見えないほど沈んだ状況は別として、ヘッドが上から下に下りていけば、ラフを切っていけるインパクトになる。

鋭角にヘッドを振り下ろせば力がなくても打ち抜ける。ボールが見えないほど沈んだ状況は別として、ヘッドが上から下に下りていけば、ラフを切っていけるインパクトになる。

ラフの抵抗を減らしてクリーンにとらえるための工夫が、スウィング軸を左足寄りに移動することだ。自然と上から入るように左足体重を強めて構えると、スウィング軸が左へボール1個分ずれて上から芝を切る体勢が整う。ボール位置は通常ショットのまま。

画像: 通常のスウィング軸は体のど真ん中(写真左)だが、夏ラフは左太もも内側が回転軸(写真右)。ボール位置は変わらない

通常のスウィング軸は体のど真ん中(写真左)だが、夏ラフは左太もも内側が回転軸(写真右)。ボール位置は変わらない

左の二の腕を脱力すれば右足体重にならない

芝を“切る”というのは、スウィングの“キレ”によって生まれるということ?

「その通りです。キレのいいスウィングには、スウィング軸の工夫と、もう一つ重要なことがあります。それはダウンスウィングでの“脱力”です。ダウンで力むと、右足体重になりやすく、ヘッドが芝を噛んでしまうミスになるのです。要は“キレ”のないインパクトですね。トップからダウンにかけて脱力できれば、右足体重になりません。ヘッドは必ず上から鋭角に下りてきます」

具体的にどのように脱力すればよいか?

「左腕の二の腕(上腕)をダウンのときにたわませるように振り下ろすといいでしょう。グリップに力が入ると、腕の筋肉が硬直するので二の腕をたわませることはできません」

鋭角にヘッドを振り下ろすには、トップでできた手首の角度を保ったまま振り下ろすこと。そのためには、トップからダウンへ向かう最初をいかに力まず脱力できるかが重要。

「その距離、約30センチです。この脱力によって、インパクトで“キレ”が生まれます」

画像: トップからここまでの約30センチ脱力できればナイスショット確定。「いかに力を抜くかがポイントです」

トップからここまでの約30センチ脱力できればナイスショット確定。「いかに力を抜くかがポイントです」

初夏ラフからショートアイアンで乗せられれば、これからの時期に大きな助けになる。キレ切れアイアン、身につけよう!

杉山直也(すぎやま・なおや)1967年生まれ、東京都出身。青木功に師事しレギュラーツアーで活躍してきたショットメーカー。今年からシニアツアーに参戦する

この記事は、週刊ゴルフダイジェストの7/11号の特集「夏ラフ攻略!グリーンが狙えるショートアイアン」より。誌面ではもっと深く、ラフからの攻略法が載っている。ぜひ、参考にしよう。

写真/有原裕晶

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