「亀の甲より年の功」はゴルフ界にもある。ドライバーの飛距離じゃレギュラーツアーの若者たちにかなわないかもしれないが、寄せ技となると話は別。憎らしいほどピタピタと寄せてくる。「サンドはフェースを開いて、バウンスを効かせるのが基本。ヘッドの入れ方と抜き方で、球の高さとスピン量をコントロールできるんだよ」と話すのは、ツアー通算14勝の飯合肇。知識と経験に裏打ちされたいぶし銀の技、我々ゴルファーの参考になるものばかりだ!
見るのはボールじゃなくてヘッド!
アプローチはヘッドの抜けが一番大事だと飯合は言うが、手首の動きで無闇に走らせるのではなく、体の回転を使うことがポイントだ。
「みんなボールの行方を追いすぎなんだよ。目が追いかけるべきは、ボールじゃなくてSWのヘッド。インパクトでヘッドの抜けをよくするために体を回転させるわけだけど、速く回しすぎてもダメ。ヘッドと同調させる、さじ加減が大事なんだ。すると体の回転力がヘッドに余すことなく伝わって、小さな動きでもスパッとヘッドが抜けて距離感が合うんだよ」(飯合、以下同)
アプローチのような小さな振り幅のショットこそ体の回転を意識すべき。
「手先で打つからダフりやトップが出る。おヘソを目標に向けるようにしてしっかり体を回すことが必要なんだ」
沈んだボールはバウンスを当てる
「ラフに沈んでいる難しいライは、ソールのトウ側を地面にストンと落としてやるといい。するとバウンスが使えるから、ラフの抵抗に負けずにインパクトできるんだよ。ヒールから落とすとダフりやすいので注意!」
憎らしいほど寄るシニアプロの寄せ技。ピンそばにピタピタ寄せるには、これを真似しない手はないようだ。
写真/岡沢裕行
(週刊ゴルフダイジェスト2016年9/20号より)