月刊ゴルフダイジェストに好評連載中である美食ゴルファー養成講座「ウマイ!の基準」。今回紹介するのは、東京・日本橋に店を構える「吉野鮨本店」。

少し硬めのシャリにほどよい寿司酢

創業明治12年、「江戸前寿司」を代表する老舗として名高い吉野鮨本店は「トロ握り」発祥のお店だったり、砂糖を一切使わず、塩と赤酢のみのシャリだったりと、さまざまなお話はあるが、ここでは握り方にスポットライトを当て、紹介しよう。

画像: 写真が5代目の吉野正敏さん。握りの技はお店の先輩たちを見て盗んだと言う

写真が5代目の吉野正敏さん。握りの技はお店の先輩たちを見て盗んだと言う

上は吉野鮨が生み出した“トロ握り”。こちらでは醤油を一度煮詰め、臭みを取った「煮切り醤油」が塗られている。

画像: トロは口の中でまさにとろけ、締まったシャリと絶妙な食感を生む

トロは口の中でまさにとろけ、締まったシャリと絶妙な食感を生む

鮨の握り方は“手返し”と呼ばれ、最も伝統的な「本手返し」、速さと美しさを備えた「小手返し」、小手返しの派生形である「立て返し」という3種の握り方がある。

吉野鮨の握り方は「本手返し」。手数が多いことから現在、本手返しで握る職人はほとんどいないと言われるが、ここ吉野鮨では代々、本手返しを守っている。

最後に、新橋にある某人気鮨店の大将から教わった小手返しの方法を紹介しよう。

1.指の腹にネタを乗せる
2.ネタにわさびを乗せる
3.その上にシャリを乗せる
4.親指で中心に穴を空ける
5.穴の開いた状態。底が安定し食感も良くなる
6.奥側に半回転させる
7.左手親指と右手親指、中指で形を整える
8.右手ひと差し指でさらに形を整える
9.右手ひと差し指と親指で中心を締めて仕上げる
10.完成!

コツは強すぎず、弱すぎず、口の中でホロリとほどける程度の強さで握ることと、手の温度でネタがぬるくならないよう、素早く行うことだそう。寿司を握る手さばきは、まるで舞台の演目を見ているようだった。

吉野鮨本店:東京都中央区日本橋3-8-11 ☎03-3274-3001

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