師匠のアドバイスで、不振だった時松が復活
「フィニッシュが上手くとれないと、インパクト以降を大きくしようとばかり考えがちになる。でもスウィングというのは、部分的に修正しようとはせず、いつも全体的なバランスで考えたい。時松プロに助言したのは、フィニッシュだけでなく、トップも小さくなっているぞと……」。
今季不調にあえぐ時松隆光は篠塚武久氏にアドバイスを仰ぎ、「トンネル脱出の光が見えた気がする」と話す。
全日空オープン最終日、プレーオフで池田勇太に敗れたとはいうものの篠塚氏のアドバイスは功を奏し、「桜美式」がツアーで十分戦えることを改めて証明してみせた。
九州ジュニアチャンピオンとしてプロツアーに挑む和田章太郎君、プロテスト1発合格の長田真矩君、日本学生に勝った清水大成君は21年ぶりの大学1年生チャンピオン。ゴルフ界の躍進を追いかけていると随所で「桜美式」と遭遇する。もはや偶然とは言えないはずだ。
「桜美式」とはなんなのか? 週刊ゴルフダイジェストで連載中の「みんなの桜美式」をチェックしてみると、高校生ながらプロトーナメントに参戦した出利葉(いでりは)太一郎君の、独特なパッティングスタイルが紹介されていた。
まずスタンスはオープンスタンスで半身の構え。グリップはテンフィンガー。ラインと距離感を両目で見ている。
「オープンに立つ半身の構えなら、パターで打つというより、球を手で転がす感覚で簡単に打てる。肉食動物は足をそろえて構えない」
「テンフィンガーグリップは、利き手である右手の感性を生かせるから、ロングパットでも大きくオーバーしたりショートしたりすることがなくなる。しかもラインと距離感を両目で見れば、狙いが平面ではなく立体的に把握できて確実に精度が上がる」
篠塚氏の言葉は、ひとつひとつが刺激的だ。
「私の願いは、ゴルフをもっと簡単なものにして、ゴルファーの数を倍増させること」だという篠塚氏。100を切りたい人から、プロを目指すジュニアまでを夢中にさせるこの理論から、まだしばらく目を離すことができなさそうだ。
※一部誤字を修正しました(2017年9月21日)