賞金女王争いをしている二人に共通する得意分野は?
1位が鈴木愛で、4位がキム・ハヌル。賞金女王争いをしている二人が揃ってトップ5に入る唯一の技術スタッツは平均パット数です。パットイズマネーといわれるように1位の鈴木愛は1.7547、4位のキム・ハヌル1.7759と両者のパッティング巧者ぶりが、今シーズンの賞金ランキングに反映されています。
これまで世界中のパッティング専門のコーチに指導方法を学んできましたが、パッティングは背中や胸に支点を作ってパターを動かす「振り子タイプ」と、掃くようにまっすぐに動かす「直線タイプ」に分かれるという結論に至りました。
振り子タイプはフェースの開閉が入りパターをイン・トゥ・イン軌道に使い、直線タイプはフェースの開閉が少なくストレート軌道のイメージになります。
「手をあまり使わずに体の回転で打つことを心がけています。」
そう語る鈴木愛は体の回転で打つ「振り子タイプ」のストロークを行います。鈴木自身はまっすぐのストローク軌道をイメージしているといいますが、パターのトゥ側が若干浮いたハンドダウン気味の構えと上半身の回転によって軌道はインサイド・インとなり、フェースが開閉するストロークとなっています。
フォローのクラブ軌道が体の回転に合わせてアッパー軌道になり高い位置におさまっていることからも、手の動きが抑えられていることがわかります。
それに対してキム・ハヌルはフェースの開閉を抑えた「直線タイプ」のストロークを行います。この直線ストロークを行うためにキム・ハヌルは前傾角度を深くしています。深い前傾角度にはパターを直線的に動かしやすくなる効果があります。
以前、ミッシェル・ウィがかなり深い前傾角度で構えていましたが、そのような構えをすることで自然とフェースの開閉を少なくする直線的なストロークができるようになります。直線タイプによくみられる右サイドを押し込むような低いフォローが印象的です。
両者のパッティングストロークのメカニズムは異なりますが、これは正しい、間違っているということではなくタイプが違うということだけです。両者とも順回転の素晴らしいボールの転がりで調子の良さをうかがわせていました。残り7試合となったLPGAツアーのグリーン上に戦いに注目しましょう。
アマチュアはどちらのタイプを真似すべきか?
では、アマチュアは鈴木愛とキム・ハヌル、どちらのタイプを真似するべきでしょうか。
鈴木愛のような「振り子タイプ」の打ち方は体の回転を使うストロークのため再現性が高いですが、上半身と下半身の動きを分離して動かせることができる人向き。胴体部分に支点をイメージすることで自然なインサイド・イン軌道とフェースの開閉を行います。
写真のように棒を使った練習や長尺・中尺パターを使って練習するとその感覚がつかめるでしょう。
まっすぐの軌道をイメージする人や体の柔軟性の問題で上半身と下半身が一緒に動いてしまう人は手の動きが入る「直線タイプ」のストロークがいいでしょう。
「直線タイプ」のストロークにチャレンジする際は、手の平や甲とフェース面が一体になっている動きをイメージし、まっすぐの軌道とフェースの開閉を抑えることを意識するといいでしょう。そうする事で手を使ってもゆるんだりパンチが入ったりするミスを防ぐことができます。
まずはストロークタイプの違いを認識して、プロのパッティングを真似てみることからお勧めします。