2017年の賞金王・宮里優作が、年末の世界ランク50位以内の資格で2018年4月開催のマスターズに招待されることが確定した。意外にも初出場となる宮里は、マスターズでどれだけやれるのか? 主にスウィング面からプロゴルファー中村修が予想した。

クラブのチェンジでスウィングもシンプルに

来年のことを話すと鬼が笑うと言いますが、日本の賞金王がマスターズに出場を確定させたと聞けば、早くも来年の4月が楽しみなってしまうのは仕方がないこと。今から、宮里優作選手がオーガスタの緑の芝生の上を歩く日が、楽しみでならないのはなにも私だけではないでしょう。

宮里優作選手といえば、アマチュア時代からプロの試合で大活躍したことから、プロ入り後すぐにでも勝つだろうと言われながら勝てず、2003年のツアーデビューから10年、2013年の最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で劇的なチップインで初優勝を飾ると、2017年は4勝を挙げ、賞金王にまで登りつめました。

さて、そんな宮里選手は、マスターズで活躍することができるでしょうか? 結論から言えば、私は上位争いが十分に可能だと思います。

2017年の宮里選手の海外メジャーでのプレーを振り返れば「全米オープン」で60位タイ、「全英オープン」では予選落ちとふるいません。しかし、海外選手のセッティングや弾道を自分の目で見たことで、アイアンをそれまで使っていたコンパクトなサイズのモデルから、やや大きめのキャビティ形状の「i200」にスイッチするなど、普通はシーズン中に行わないような、大胆なギアチェンジを行いました。

画像: 2017年の「全米オープン」でコントローショットの練習をする宮里優作

2017年の「全米オープン」でコントローショットの練習をする宮里優作

そのことについて10月の「日本オープンゴルフ選手権」で直接話を聞いてみると、「他の選手の球の高さだったり風に対する強さだったりを踏まえて、クラブをスイッチしました。もう少し慣れは必要ですが、来シーズンを見据えてスイッチしたわりに、意外と早く対応できてます」という答えが返ってきました。

実際、クラブの大胆なチェンジ後の10月頭に「ホンマツアーワールドカップ」で史上初の4日間ノーボギー優勝の快挙を成し遂げると、最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」では6打差の圧勝と、むしろ成績を伸ばしています。海外志向で行ったギアチェンジが功を奏したことは、来年のマスターズに向けて好材料です。

スウィング面を見ても、もともと再現性が高く、ボールに対して入ってくるシャフトの角度とフォローで抜けていく角度が同じであることからもわかるように、効率的でしっかりとエネルギーがボールに伝わるスウィングをしています。技術面では、世界のトップレベルと遜色がありません。

画像: ボールに対して入口と出口でクラブの角度が揃う安定したスウィングプレーン

ボールに対して入口と出口でクラブの角度が揃う安定したスウィングプレーン

さて、そんな宮里選手がマスターズで活躍できるかどうか、そのカギを握るのが練習ラウンドにあると思います。マスターズは体操の規定演技にたとえられ、どんな弾道でどこに落とすのか、攻め方のルートが決められているのが特徴のひとつ。そのため、コースを知ることが攻略に大きく影響するからです。

そこで頼りにしたいのが、宮里選手の東北福祉大学の後輩の「あの選手」。そう、アマチュア時代を含め過去6度マスターズに出場している松山英樹選手です。オーガスタをよく知り、マスターズに勝ちにくる松山選手と練習ラウンドを行うことで、コースの情報を収集することは、宮里選手にとって初出場のデメリットを減らす重要なファクターになると思うのです。

マスターズといえばガラスのグリーンと言われる高速グリーンも特徴ですが、それについてはあまり心配していません。圧勝した「日本シリーズ」は選手たちが口を揃えてグリーンが硬くて速いと言っていましたが、その中で宮里選手は3日目、4日目をノーボギーで65・62と素晴らしいスコアでプレーしています。

海外を見据えたクラブチェンジの成功、高速グリーンでも対応できるパッティング技術、もともと優れたショット力、そして心強い練習ラウンドでのパートナー……それらが揃っていることを考えると、上位で活躍してくれる姿が見られると思えるんです。

「宮里家の誇り」と妹・藍に言わしめた宮里優作選手。出場を確定させている松山英樹選手、同じ東北福祉大出身の池田勇太選手らとともに、マスターズで大活躍してくれることを、大いに期待したいと思います。

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