2018年度開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」では3位タイ、2戦目の「ヨコハマタイヤPRGRレディスカップ」では単独4位と安定して上位に食い込んでいるシン・ジエ。米ツアー賞金女王も獲得したことのある彼女だが、そのパッティングを見てみると、足を打ってしまうのではないかというくらい、体に近い位置にボールを置いている。これってなんで? プロゴルファー・中村修に解説してもらった。

「まず、パッティングの形は、大きく分けて二つに分けることができます」(中村)

中村によれば、プロの中にもシン・ジエのようにボールに近く立つプレーヤーもいれば、反対に遠く離れて立つプレーヤーもいるという。前者の代表選手はタイガー・ウッズ。後者は、松山英樹が当てはまる。ここでは仮に、「タイガー型」、「松山型」と呼ぶことにしよう。

さて、ではシン・ジエのようなボールに近く立つ「タイガー型」のパッティングにはどのようなメリットがあるのだろうか?

画像: タイガー・ウッズのパッティングのアドレス。前傾角度は浅め(写真:2015年全米オープン)

タイガー・ウッズのパッティングのアドレス。前傾角度は浅め(写真:2015年全米オープン)

「タイガー型は、ボールに近く立ちますが、それはイコール前傾角を浅く、直立に近い構えをするということ。そうすると、腕とクラブが一直線になるような、手首の伸びたカタチになるのがわかると思います。そうすると、手首の動きが抑えられ、パットの再現性が高まり、距離感のバラツキを抑えることができるんです」(中村)

画像: ボールに近く立ち、手首を伸ばしてパットするシン・ジエ

ボールに近く立ち、手首を伸ばしてパットするシン・ジエ

タイガーも、シン・ジエも、たしかに手首の曲がりが少ない。では一方の「松山型」はどのような特徴があるのか。

「下半身をどっしりと構え、上体は前傾を深くした姿勢で腰を折り、上腕を体につけた状態で構えます。前傾を深くすることでボールの位置は体からやや遠め。体幹をねじることでストロークします。この打ち型の利点としては、ヘッドの重さを感じながら振り子のイメージで振ることで、フォローが大きく出しやすいこと。その結果、方向性が出しやすくなります」(中村)

画像: 前傾角度深めの松山のパッティング(写真:2017年ダンロップフェニックス)

前傾角度深めの松山のパッティング(写真:2017年ダンロップフェニックス)

中村によれば、ボールをヒットする感覚を重視したり、アイアンと同じような感覚でストロークしたいヒッタータイプにはタイガー型がオススメなのに対して、松山型は手の感覚を大事にしながらストロークで打ちたい、ショットでいうスウィンガータイプにピッタリとのこと。

シン・ジエといえば2017年のフェアウェイキープ率が約73%で3位と、ショットの安定感に定評のあるショットメーカー。それだけに、ボールに近く立つことで、ショットの延長線上でパッティングストロークを行っているのかもしれない。

もちろん、松山のように前傾角を深くし、ボールから離れて立つのもひとつのやり方で、どちらが優れているということはない。二つの型に共通しているのは「パッティングにどこまで再現性を持たせることができるか」を考えた結果生まれたものだということ。

どちらの型が自分に合っているのか、改めて試してみてはいかがだろうか。

写真:岡沢裕行、みんなのゴルフダイジェスト編集部

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