タイガー・ウッズの復活優勝の期待が高まった先週のPGA(米男子)ツアー、バルスパー選手権を制したのは、最終日6アンダーとスコアを伸ばしたポール・ケーシー。よく、「米ツアーは最終日に伸ばせないと勝てない」と言われるが、果たしてそれは本当なのか。ゴルフのデータ分析を専門とするゴウ・タナカが、その“ウワサ”の真偽をたしかめたら、結果的にタイガーの凄さがあぶり出されてきてしまった!

PGAツアーでは「逃げ切り」と「逆転」がほぼ“半々”

4日間トータル9アンダー、首位と1打差2位タイで終え、ヘッドスピードも今年のツアー最速57.66m/sを記録するなど完全復活の気配のタイガー・ウッズ。最終日を単独トップで迎えた時に41勝2敗、首位タイも入れた場合は53勝4敗と(2013年5月時点)無類の強さを発揮していたタイガーだが、今回は3日目を終えトップと1打差で2位という位置からのスタートで、惜しくも久しぶりの復活優勝には至らなかった。

そこで今回は最終日のスコアと3日目の順位などが、勝敗にどのような影響を与えているのかを2017-2018のPGAツアーのデータを使い紐解いてみる。

今シーズンすでに20試合消化されたPGAツアーだが、その中で3日目を終えてトップだった選手がそのまま優勝した回数は11回で、9回は逆転優勝を許している。今年の傾向で言えることは3日目を終えて首位の選手が勝つ確率は55%とほぼ半分ということだ。やはりタイガー・ウッズの強さは群を抜いていたということが、この単純な比較からも分かる。

画像: タイガー・ウッズは首位で最終日を迎えたときの強さは圧倒的。次最終日をトップで迎えるのはいつになる……?(写真:2018年ザ・ホンダ・クラシック)

タイガー・ウッズは首位で最終日を迎えたときの強さは圧倒的。次最終日をトップで迎えるのはいつになる……?(写真:2018年ザ・ホンダ・クラシック)

この勝者と敗者を分けるものはなんなのか? もう少しデータを見てみる。11回ある逃げ切りでの勝者の最終日のスコアだが、2人を除いて9人の勝者が最終日に3アンダー以上を記録していた。

その2人とは、CJカップ・アット・ナインブリッジズで最終日イーブンパーで優勝のジャスティン・トーマスと、ジェネシス・オープンで最終日2アンダーのバッバ・ワトソン。優勝スコアはトーマスが9アンダー、ワトソンが12アンダーだった。どちらも優勝スコアとしてはアンダーの数が少なく、コースセッティングが難しくスコアが伸びづらい試合だったことが分かる。

最終日に3日目を終えてトップだった選手が逆転を許した9回の内、最終日をトップでむかえ、かつ最終日に3アンダー以上のスコアで回っても負けてしまったというのは1度だけだ。それはキャリアビルダー・チャレンジでA・ランドリーが4アンダーでまとめたものの、プレーオフまでもつれ負けたというケース。優勝スコアが22アンダーと、比較的コースセッティングの難易度が低かったことも、最終日に3アンダー以上で回っても負けてしまった理由だろう。

当然の話なのだが、優勝するには最終日にスコアを伸ばすほうが良い。そして上のデータ分析から見て分かるのは3アンダーが勝負の分かれ目だということである。

最終日をトップでむかえ、3アンダー以上の成績を出せれば、ほぼ間違いなく優勝できるということを今年のデータは示している。つまり最終日をトップでむかえたプレイヤーは相手のプレーはおいておき、最終日をとりあえず3アンダー以上で回ることを考えてプレーすれば良いということだ。

では逆転優勝を狙う場合はどうだろう。9度ある逆転優勝の勝者の最終日のスコアは5、11、2、5、2、7、2、5、6アンダーで、5アンダー以上が6回で2アンダーが3回と爆発的なスコアで逆転というケースのほうが多いという結果になった。つまり2位以下の選手は5アンダー以上のスコアを出すのが逆転優勝の目安だと言えるだろう。

リーダーボードを凝視して優勝スコアを意識しすぎることはマイナスになることも多いので、上の数値を参考にとりあえず目標スコアを出すことに集中するほうが良いだろう。

画像: リーダーボードを見て優勝を意識しすぎるとマイナスの面が大きい(写真:2015年全英オープン)

リーダーボードを見て優勝を意識しすぎるとマイナスの面が大きい(写真:2015年全英オープン)

2017-2018のPGAツアーのデータを上記のようにまとめた結果、タイガー・ウッズが最終日をトップでむかえた時の強さは尋常ではないことが分かる。PGAツアー平均の勝率が55%なのに対して、タイガーは93%と信じられない勝負強さを見せている。

正直この差はデータ的な有意性から見ると異常な数値だ。単純に強いというレベルを遥かに超越している。ヘッドスピードも全盛期並に戻ってきており、アプローチ、トラブルショットなど、パー5でのパフォーマンス以外は、全盛期のタイガーの持ち味もほとんど戻ってきているように思える。

ショットという観点からすると、以前のタイガーに比べ、フェードを打つ傾向が強くなっているのがドロー有利と言われるマスターズに向けての不安要素ではあるが、基本的には戦う準備ができたと言えるのではないだろうか。メジャーでさらなる強さを発揮するタイガーだけに、ますます楽しみなマスターズになりそうだ。

写真/姉崎正

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