「いいアドレスがいいスウィングを生む」というようなことは聞いたことがあるだろう。では、いいアドレスとはいったいどんなアドレスだろう? 日本プロゴルフ協会の会長を務める倉本昌弘は「真っすぐ立つことがいいアドレスの条件」という。著書「本番に強くなるゴルフ」から真っすぐ立つ方法を教えてもらおう。

まずは真っすぐ立つことから始める

よく、アドレスはスウィングの基本などと言われます。いいアドレスができないと、スウィング中、体の各パーツが正確に動かないからです。では、いいアドレスの条件とは何なのか。それは、第一に真っすぐ立つことです。真っすぐ歩きなさいと言われたとき、体を左右に傾けて歩く人はいません。人間にとって真っすぐ立って歩くことが自然だからです。

ところが、多くのプレーヤーは、真っすぐ立てていません。その原因は錯覚にあります。自分では真っすぐのつもりでも、ちょっと傾いた状態が真っすぐだと錯覚する。さらに、ちょっとずつ、ちょっとずつその錯覚が大きくなってくると、体の傾きが大きくなっても気づかなくなってしまうのです。

しかし、そのままスウィングしたのでは、体を傾けたまま歩くようなもの。正確な動きなどできるはずがありません。ですので、まずは、鏡の前で気をつけの状態で立ち、真っすぐ立てているかチェックしてください。そして、前傾してアドレスしたときも体が左右に傾いていないか、誰かに見てもらうようにして欲しいのです。

また、アドレスでは、体の軸が上から下に安定しているということも大事な条件です。体重がかかとやつま先にかかっていると、バランスのいい動きはできません。そのような安定した構えを作るためには、縄跳びをして着地した状態からアドレスを作るといいでしょう。真っすぐ立ち、その場でトン、トン、トンと飛んで、着地したときの状態のままスタンスを肩幅くらいに開く。このような手順で構えると、体軸が真っすぐでバランスのいいアドレスを作りやすいと思います。

画像: 真っすぐ立っているつもりでも少し傾いていることが多いので、ほかの人に確認してもらうのもひとつの手だ

真っすぐ立っているつもりでも少し傾いていることが多いので、ほかの人に確認してもらうのもひとつの手だ

正面から見たときの体の軸は真っすぐがいいという話をしましたが、今度は体を横(飛球線後方)から見たときの軸の話をしたいと思います。

基本的に、ゴルフスウィングは、背骨を軸に体が回転します。このとき、体を上手く回すためには、軸(背骨)は真っすぐなほうがやさしい。たとえば、背骨が真っすぐな状態で、背骨を軸に体を回転させたら、背骨の先についている頭は、その場から動かさなくて済みます。

ところが、猫背になって背骨が曲がっていたり、必要以上に背骨を反らせたりしたまま回転すると、その背骨の先についている頭は、左右に大きく振られることになる。これは、コマの軸が曲がっていたら、軸の先が大きくブレてしまうのと同じです。ゴルフのスウィングというのは、頭を極力動かしたくないので、これでは困るわけです。

また、背骨が曲がったまま頭を止めてしまうと、今度は軸(背骨)が左右に大きく振られてしまうことになります。すると、トップで体重が左足に乗り、フィニッシュで体重が右足に残る、いわゆるギッタンバッコンのスウィングになりやすい。このようなスウィングは、体重移動が上手くできていないことが原因だと言われることが多いようですが、本当の原因はアドレスにあることも多いのです。

目安としては、自分の背骨がどこにあるかが意識できて、自分の背骨がある程度伸びていると自覚できる程度の張りがあるといいでしょう。ただ、背骨を真っすぐにする能力はありません。背骨は、頸椎から腰椎まで、20数個の骨でできています。その20数個の小さい骨が1個ずつ動くわけですが、それを動かしているのは、腹筋と背筋なのです。

ですから、背骨を真っすぐにするためには、筋肉を意識します。このとき、腹筋よりも背筋を意識するのがコツです。まずは背中に筋肉があるんだということを意識して、左右の背筋が平等の力加減になるように意識すると、背骨というのは真っすぐになりやすいのです。

体軸を真っすぐに、背骨を真っすぐにしてバランスよく立つ。これができて初めて、いいスウィングを作る準備ができ上がります。

「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より

写真/岩井基剛

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