背筋を伸ばすから体がスムーズに回る
体を横(飛球線後方)から見たときの軸の話をしたいと思います。
基本的に、ゴルフスウィングは、背骨を軸に体が回転します。このとき、体を上手く回すためには、軸(背骨)は真っすぐなほうがやさしい。たとえば、背骨が真っすぐな状態で、背骨を軸に体を回転させたら、背骨の先についている頭は、その場から動かさなくて済みます。ところが、猫背になって背骨が曲がっていたり、必要以上に背骨を反らせたりしたまま回転すると、その背骨の先についている頭は、左右に大きく振られることになる。
これは、コマの軸が曲がっていたら、軸の先が大きくブレてしまうのと同じです。ゴルフのスウィングというのは、頭を極力動かしたくないので、これでは困るわけです。
また、背骨が曲がったまま頭を止めてしまうと、今度は軸(背骨)が左右に大きく振られてしまうことになります。すると、トップで体重が左足に乗り、フィニッシュで体重が右足に残る、いわゆるギッタンバッコンのスウィングになりやすい。このようなスウィングは、体重移動が上手くできていないことが原因だと言われることが多いようですが、本当の原因はアドレスにあることも多いのです。
目安としては、自分の背骨がどこにあるかが意識できて、自分の背骨がある程度伸びていると自覚できる程度の張りがあるといいでしょう。ただ、背骨を真っすぐにしましょうと言っても、背骨自体に真っすぐにする能力はありません。背骨は、頸椎から腰椎まで、20数個の骨でできています。その20数個の小さい骨が1個ずつ動くわけですが、それを動かしているのは、腹筋と背筋なのです。
ですから、背骨を真っすぐにするためには、筋肉を意識します。このとき、腹筋よりも背筋を意識するのがコツです。まずは背中に筋肉があるんだということを意識して、左右の背筋が平等の力加減になるように意識すると、背骨というのは真っすぐになりやすいのです。
体軸を真っすぐに、背骨を真っすぐにしてバランスよく立つ。これができて初めて、いいスウィングを作る準備ができあがります。
「本番に強くなるゴルフ」(ゴルフダイジェスト新書)より
写真/岩井基剛