今年からスポンサーが「AbemaTV」となり、さまざまな改革が進んでいる男子の下部ツアー。制度も変わり、レギュラーツアーと下部ツアーの選手の流れも活発になりそうだ。では、どんな選手がレギュラーツアーへと“昇格”できるのか。ゴルフスウィングコンサルタント・吉田洋一郎が話を聞いた。

下部ツアーで満足するか、レギュラーへの足がかりととらえるか

今季「AbemaTVツアー」と名前を変えた下部ツアー。獲得賞金ランキング20位までの選手に翌年のレギュラーツアーの出場権が与えられたり、競技日数が2日間から3日間へ変更されるなど様々なツアーを活性化するための施策が行われ、選手たちからも高い評価を受けています。

AbemaTVツアーにはレギュラーツアーの出場権を狙う伸び盛りの若手や、再起をかけるベテランなどさまざまなバックボーンを持つ選手がいます。

そんな中でも今季、下部ツアーを主戦場に戦う宮瀬博文は、レギュラーツアー7勝の実績と米ツアーにも挑戦した経験を持ち、最近ではテレビ中継の解説を務めるなど多彩な経験を持つ稀有なプレーヤーといえます。さまざまな舞台で多くの選手を見てきた宮瀬プロに下部ツアーからトップに駆け上がっていく選手の特徴を聞きました。

画像: 1989年にプロ転向、現在に至るまで様々な舞台に立ってきた宮瀬博文。今季は下部ツアーを主戦場に戦う(写真は2017年のホンマツアーワールドカップ 撮影/大澤進二)

1989年にプロ転向、現在に至るまで様々な舞台に立ってきた宮瀬博文。今季は下部ツアーを主戦場に戦う(写真は2017年のホンマツアーワールドカップ 撮影/大澤進二)

「自分は選手だからそこまで他のプレーヤーを見ている余裕はないけれど、しいて言うなら、やっぱりいい選手は練習をするね。しかも実践的で、内容もよく考えられている。上(レギュラーツアー)で戦っているところをイメージしている選手って、上がった(レギュラーツアーの出場権を得た)ときに、すぐに活躍できるんじゃないかな」(宮瀬)

そういった選手は、プレー中の雰囲気さえも変わってくると言います。

「上を目指している選手もいれば、ここで満足しちゃってる選手もいる。それには年齢は関係なくて、20代前半でも満足しちゃってる選手もいる。一緒に回っていても、言葉では言い表せないけれど雰囲気の違いがあるんです」(宮瀬)

プロの世界は非常に高い位置でレベルが拮抗していますが、「雰囲気の違い」は技術レベルとは比例しないようです。

「その”雰囲気”って言うのは練習やプレーの中に垣間見える『一生懸命さ』や『貪欲さ』といったものじゃないかと思います。この選手は貪欲でガツガツしてていいなーと思うのもいれば、もったいないなっていう選手もいる」(宮瀬)

今年から下部ツアーも3日間競技になったことで、上位フィニッシュするのは「一発屋」ではなく、実力が高い選手になる可能性が高くなります。レギュラーツアーを想定したセッティングが施されたAbemaTVツアーで、向上心を持った選手が腕を磨きすぐにレギュラーツアーで結果を出す。整備された飛躍のルートをどの選手が活かし切るのか注目したいと思います。

大器の予感「和製マキロイ」

個性的な選手がたくさんいるAbemaTVツアーで、私が注目をしたいのは東北福祉大学出身の幡地隆寛です。

画像: 平均315.5ヤード飛ばし、コントロールにも優れる「和製マキロイ」、幡地隆寛

平均315.5ヤード飛ばし、コントロールにも優れる「和製マキロイ」、幡地隆寛

現在24歳でこれまでレギュラーツアーに10試合参戦して予選通過はわずか1回ですが、188センチと恵まれた体格を生かした平均315.5ヤード(2017年レギュラーツアー計測対象2試合)のドライバーショットはPGAツアーのトップ選手レベル。

飛ばし屋と呼ばれる選手にはコントロールが定まらない選手もいますが、幡地の場合は完成度の高いスウィングをしているため球筋のコントロールにも優れています。250ヤードのパー3で、アゲンストの中2アイアンを振り切ったショットは見事にグリーンをとらえていました。その弾道はローリー・マキロイを思わせる見事な放物線を描いていました。「振ればまだまだ飛ぶ」という本人の言葉通り、更なる伸びしろがあると思います。

「学生時代に飛ばしで負けた記憶はないですね。ツアーでも飛距離には自信があります。今後の課題はシビアなピン位置を攻めたときのアプローチの精度ですね」という幡地。

下部ツアーの本格参戦は今シーズンからとのことで、より実戦の経験を積んでいけば状況判断能力やアプローチの引き出しが増えていけば、レギュラーツアー、そして海外でも活躍できる選手になるのではないかと思います。顔もプレーもマキロイを連想させる「和製マキロイ」の幡地。ワールドクラスの素質を開花させていく過程をAbemaTVで観戦するのも面白いと思います。

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